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ファッション…について語らない   (2002年8月4日記載)

 前回と前々回で、衣・食・住のうち"食"「カレーライス」と"住"「トイレ」の話をしたので、今回は"衣"の話をしてみよう。とは言っても、僕はファッションのことは全然分からない。ブランド知識はほとんどないし、着る物にはあまりお金をかけない。何故かと言うと、ファッションにかけるお金をかける気もなかったし、実際そのお金がなかったからだ。
 社会人を15年もやっていてお金がないとは、何とも悲しい話だが…。概して、僕は着る物や食べる物にはお金をかけてこなかった。他のものにお金をかけてきたからなのだが。映像機器とパソコンにかけたお金が半端じゃないのだ(ここからしばらく自慢モードに入るので、読者は「へっ!」と口を歪めてください)。6インチのから36インチのワイドテレビに至るまで、買ったテレビの台数が7台。ステレオ・ミニコンポが5台。ビデオカメラが、4台。フィルムカメラとデジタルカメラの総数が、11台。DVDプレーヤー&ビデオデッキも、13台。パソコンに至っては14台、及び数々の周辺機器とソフトウェア。車やバイクにもけっこうお金をかけてしまった。バイクを6台、車を5台乗り換えた。これらを合計した金額が、2,000万円近くにもなる。実はこれ以外にも、住宅ローンを抱えていて、この十年に払った元金・利息の総額が約1,500万円。
 というわけで、この15年の間に機械と車と家に3,500万円を払ってきた(ここから悲惨モードに入るので、読者は「ざまあ見ろ!」とニヤリとしてください)。年平均にすると、200万円を超える。20代から30代にこれらのお金がかかったわけだから、当然のごとく生活はギッチギチでいつもお金が無かった。銀行員時代の初年度の年収が240万円ほどだったことと比較すると、200万円という額は僕にとって大金であることが分かる。映像制作会社へ転職した時は、手取り10万円そこそこの生活だった。その頃のカードローンの件数が…大ピンチ…なんと4件に達していた事もある。そんなわけだから、着る物・食べ物に関しては正に極貧の状態だったのである。

 最近、着る物にかけたお金を思い浮かべると、4足で1,000円の靴下と、アウトレットの3,900円のエドウィンのジーンズくらい…締めて5,000円ほど。ジーパンは今2本あるが、一度買うと擦り切れて破れるまでだいたい10年は履く。スーツも同様で、10年は着る。ワイシャツも、靴も同様。着る物にかけるお金は、年間数万円程度。多い時でも、せいぜい年10万円がいいところ。世の中には、一着で10万円もする服を着たり、5万円もする靴を履いたり、10万円以上するバッグを買う人もいる。僕は、それが不思議でならない。エルメスが何?グッチがどうだというの?何故、プラダ?と、いった具合である。しかし彼(彼女)らに言わせると、僕が映像機器やパソコンを何度も買い替えるのが不思議でならないだろう。「いったい、前のビデオデッキと今回のビデオデッキのどこが違うの?」ということである。「いや、今回のデッキは19ミクロンのアモルファスヘッドで、しかも・・・」と言ったところで、説得力はあまりない。「なんでパソコン買い換えたの?」に対し、「いや、今度のCPUは2GHzもあってレンダリングスピードが格段に速くて・・・」と言っても、「それが何?」である。要は、その人が関心のあることにお金も注がれていくということである。僕は、たまたまカメラや映像機器に興味があったのでそっちにお金を投じ、結果として"ファッション"にかけるお金が無くなってしまった。
 そのような僕ではあるが、ファッションに対する最低限の"こだわり"がある。①色合わせは、キッチリする。②毎日同じ物は着ない、履かない。③衣服は清潔に…の、3点である。
 ①「色合わせは、キッチリする」であるが、いくら服にお金をかけないからといっても、カラー・コーディネイトはする。ブランド物であろうが、なかろうが、色合わせで、着る服の印象はかなり違う。腐ってもCG屋である…色くらいは、合わせる。グレーのスーツには、緑系や赤系のネクタイ、黒の靴。黄土色のチノパンには、緑のシャツに、こげ茶の靴。白いポロシャツには、濃紺のジーンズに、スニーカー…とか。まあ、定番の組み合わせが多い。
 ②「毎日同じ物は着ない、履かない」であるが、これは銀行員時代に身につけた習慣。どんなに品質の良い靴でも、毎日履くと痛みが早い。路面で磨耗する物理的な傷みだけでなく、染み込んだ汗が乾ききらずに靴を劣化させるのだ。そこで、僕は同じタイプのビジネス・シューズを7足揃えている。そうすると、同じ靴を履くのは一週間に一度。一週間あれば、十分に靴が乾燥する。7足ともホーキンス製で、トラベラーとエアー・ライトの2種のみ。シチュエーションに幅を持たせるため、"黒"の他に"薄茶"と"こげ茶"も用意している。一週間に一回しか履かないと、毎日履くより明らかに靴の"持ち"が良い。スーツも同様。夏のスーツも、冬のスーツも、それぞれ5着づつ用意している。これを日替わりで着ると、十分乾燥するのでとても"持ち"がよくなる。事実、スーツはだいたい10年間は持つので、あまり買い替えない。
 ③「衣服は清潔に」であるが、これも銀行員時代に身に着けた習慣。客商売だと、第一印象でお客の態度が決まってしまうことも多い。顔や身長などの容姿はそうそう変えられないが、スーツやYシャツを清潔にしておくことはできる。仕事中、スーツは定期的に肩のフケを払う…フケがあろうが、無かろうが。Yシャツは、洗濯後必ずアイロンをかける(昔クリーニング屋でバイトをしていたので、アイロンがけは得意だ)。取りあえず、清潔にしておけば極端に嫌われることもなかろう…。

 ちなみに、僕はCGの仕事を生業としているが、"スーツを着て"、"ネクタイを締めて"、出勤している。これも、お客さんの第一印象を大事にしているからだ。テレビ局や映像プロダクションの方々は、ポロシャツやジーパンで仕事をしている人が多い。しかし、一般企業や役所に行って映像打ち合わせをすることも度々あって、そこでは職員はたいていネクタイを締めて仕事をしている。そこへノコノコとジーパンなどを履いていくと、「社会人のくせに学生みたいなかっこうしやがって…」みたいに思われるが、スーツはニュートラルなので印象は悪くならないようである…これは僕の経験則なんだけど…。「ちゃんとしている人だな」とか「信頼できそうだな」という第一印象は、その後の打ち合わせの進行のスムーズさや、そして見積もり額にまで影響する。クリエーターらしい自由な格好こそ個性的でカッコ良く、お客さんの好感を得られると思っているクリエーターは多い…CGクリエーターと呼ばれる人でスーツを着て仕事をしている人に、僕はまだ出会ったことがない。他のCGクリエーターが絶対しない格好をしているCG屋さんということで、僕は十分に個性的であるとは言えないだろうか?


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