JOLLYBOYの教育について考える

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4.3歳から就学前まで (2004年7月11日記載)

 さて前回、三歳までの育児が子供にとって如何に重要であるかを見ました。しかし、ほとんどの子供は三歳以前の記憶がありませんが、三歳以降は様々な出来事や体験を記憶するようになります。また、生活も多方面に渡って、大人と似た行動を取れるようになります。大人と同じような食事へと移行し、トイレの仕方も覚え、様々な道具を使えるようになり、感情も複雑かつ豊かになります。そして、幼稚園(もしくは保育園)に入る頃には、自分以外の子供とうまく付き合っていくための社会性を少しずつ身につけるようになります。こうした期間、私達が日ごとに急成長していく子供に、どう対処していくべきか考えてみたいと思います(年齢ごとに話を進めていますが、子供によって成長の度合いが違いますので、あくまでも参考&目安です)。

・自我の芽生え/自己表現とがまんする力

 1才半にもなると、子供は「自分でやる!」の自己主張が始まります。これは、子供の成長の証で、自立の第一歩です。食べることでも、着替えでも、色々と自分でやりたがります。親はイライラしてしまう場面の連続ですが、「やりたい」と言う気持ちをできるだけ尊重してあげましょう。見ているとまどろっこしくて、つい親が手を貸したくなりますが、ここはぐっと我慢。そして一人でできた時には、誉めてあげましょう。満足感を得られた子供は、次も自分でやってみたいと思います。
 ただし、公共の場では話は別で、周りの迷惑になる行為は、きっぱり止めさせるか、その場から離れ去りましょう。「人の迷惑になることは、いつだっていけない」と言う、首尾一貫した親の態度・言動が大切です。
 2才半にもなると、自己主張がピークになり(第一次反抗期もしくは第一自己主張期)、親子の葛藤の連続となります。赤ちゃん時代は感情や情動の発達が優位を占めますが、2才からは論理的に処理する能力の発達が優位になります。子供は、感情と論理の狭間で、バランスのコントロールが難しくなり、わざと人の嫌がることを言ったり、親の言うことを聞かない、などの反抗的な態度をとってしまいます。子供の言うなりになって甘やかすのも間違い、かと言って子供の自己主張をすべて抑え付けるのも良くない、と言うなかなかたいへんな時期です。簡単な問題解決法はなく、親に根気と忍耐力が求められます。ここを乗り越えられると、後の子供のしつけは楽になるそうです。
 3才を目処に、集団生活(幼稚園や保育園)に入る子供も多いでしょう。3才を過ぎても落ち着きが無く、入園をもう一年待った方が良いと幼稚園から言われる子もいますが、子供によってセルフ・コントロール(がまんする力)の発達の度合いが違います。親があせって、乳児から始まる万能感(自分でできるぞ!感)をたっぷり味あわせる時期をすっ飛ばすと、いつまでたっても子供のセルフ・コントロール能力は育ちません。しつけと称して、ことある毎に叱るのではなく、子供のプラス面に目を向けましょう。それらの経験が積み重なって、子供は万能感を得るようになり、次のステップに進めます。大事なのは、「万能感を得る」→「自己主張を抑える」というステップを順々に踏むことです。大人でも切れやすい人がいますが、こうした順序を踏まず育った人は、我慢する前に相手に暴力などの危害を加えてしまうのです。
 セルフコントロールができると、他人の気持ちを思いやったり、社会のルールを守ったり、親との約束を守れるようになります。この「我慢」できるかどうかは、親のフォローにかかっています。子供が「おもちゃが欲しい」と言ったら、全部頭ごなしに却下して厳しく抑え込むのではなく、「誕生日になったら買おうね」と言うように、子供が我慢しやすい状況を作ってあげることが大切です。欲求をあきらめさせることすべてが、「我慢できる」ことではありません。欲求を先延ばしにする、別の物で満足させる、かなわない思いを誰かに共感してもらって満足する、等で対処できることが「我慢できる」ことです。
 さて、4~5才になるとも再び反抗期が訪れます。この反抗は、2才代の頃よりバージョンアップしたもので、他者を意識できるようになったため起こります。「これしたら、ママ怒るなぁ~」、「ママには、これを言っちゃいけないなぁ~」と推論した上で、子供は自己主張するのです。親にとっては試練ですが、これらの多くの衝突や葛藤を乗り越えていかないと、子供の発達はあり得ないのです。親には忍耐が求められますが、冷静に見守る姿勢が必要です。
 また、4才児ともなると、知的好奇心がますます旺盛になってきます。「なぜ?」「どうして?」と言う問いかけが多くなります。「どうして?」と言う質問は、本当の原因や理由を尋ねていると言うよりは、目的を知りたがっていると考えた方が良いようです。例えば、「ジェット機は、どうして空を飛ぶの?」と聞かれたら、「ジェットエンジンが燃料を・・・」と説明を始めるよりも、「たくさんの人をあっという間に遠くへ運ぶためだよ。お空は道路よりもすいてるしね」と言う答えで良いようです。また、子供の想像力が広がるような答えも良いでしょう。また、親が全部調べたり答えるのではなく、子供自身が考えてみるような答えも良いでしょう。
 同様に、子供は絵本が大好き。3才ぐらいになると、想像の世界を楽しむことがより上手になってきます。絵本を読んであげるにあたって、字を覚えさせようとか、早期教育をしようと言うのは避けましょう。子供は、本から離れてしまいます。本を読む楽しさは、子供のその後の人生をより豊かにしてくれます。

・食事のしつけとマナー

 さて、前回離乳食について触れましたが、1才半頃から自分で食べたいと言う意欲が増してきます。しかし、当然スプーンなどうまく使えませんから、食べ散らかしもひどくなります。この時期は叱っても意味が分からないので、食べこぼしても良いようにビニールクロスを引いたり、すこしずつあげたり、親の方で環境を整えます。子供が、食べることは楽しいと思えるようにすることが大切で、無理強いはよくありません。
 2才頃には、食べ物の好き嫌いが出てきたり、「遊び食べ」がピークになります。3歳を過ぎると自然におさまるので、ここは親の我慢のしどころです。好き嫌いは、親の好き嫌いに起因する場合もありますから、親がまずそうに食べたりしていないか等、見直してみましょう。また、嫌いなものを無理やり食べさせると、返って逆効果です。時間を空けるとか、調理法を変えるとかしてみましょう。
 3才あたりから、「いただきます」や「ごちそうさま」が自分から言えるようになります。背筋を伸ばして座ること、箸と茶碗はそれぞれ反対の手で持つこと、肘をついてはいけないこと、汁物は音を立てて吸ったり、食べ物をほおばったまましゃべらない等、教えるべき食事のマナーは、数多くあります。箸についても、箸の握り方から箸でしてはいけないマナーまで、色々と覚えることがあります。食事のマナーと言うのは、身につくのに時間がかかるものです。すべてを3歳までにきちんと教えるのは無理でしょうから、小学校にあがるまでにきちんと身につけば良い、ぐらいの気長さで根気良く取り組みましょう。

・トイレ・トレーニング

 親にとって、トイレ・トレーニングのタイミングは難しいものです。1才からできる子もいれば、4才でようやくできる子もいたりと、成長の度合いによってまちまちです。早い遅いを気にしすぎず、子供が自分から「おしっこに行きたい」と思えるまで、オムツを無理に外す必要はないようです。
 子供が、おしっこをしたいと言う意思表示をするようになったら、トイレに誘ってみます。その時おしっこがでなくても、親はイライラしてはいけません。まずは、トイレという場所に慣れさせることと、トイレが楽しい所(怖くない所)であることを教えることが大事です。トイレが上手くできたら、誉めましょう(僕は、幼少時代トイレがすごく怖かったと言う思いがあります・・・)。
 以前、僕がCGで関わった幼児教育のビデオでは、トイレの歌を歌ったり踊ったり、便器に楽しいシールを貼ったりと、子供が楽しくなれるような工夫をしていました。

・あいさつ&会話のルール

 子供は、話せるようになる前から、他の人の発する音声を聞いています。どんな時に、どんな挨拶をするのかを学習しています。親が、日頃、オハヨウゴザイマス、コンニチハ、ときちんと挨拶していれば、自然と子供も真似をしてみたくなります。親の首尾一貫した生活態度・姿勢が、何より大切です。ただし、2才ぐらいでは人見知りをする子供もいますので、挨拶できなかったからと言って叱ったりせずに、ゆったり構えましょう。
 3才になると、言葉の数がぐっと増えます。語彙が、日々どんどん増えていきます。自己主張がピークで、セルフコントロールできませんから、自分の言いたいことを言うだけです。同年代の子の会話は、銘々が言いたいことを言うだけで、会話はまるで噛み合っていません。こう言う子供に対し、親は少しずつ会話にはルールがあることを教えていかなければなりません。家事で忙しい時、お客さんと話している時、電話で話している時等、子供が話して良い時、良くない時を少しずつ教えていく必要があります。
 会話のルールは、親がお手本です(と言うか、ほとんどすべてのことは親が手本になります)。相手の目をみながら話す。相手の話しが終わってから、自分の話しを始める。相手の内容が分からなかったら、きちんと聞き返す。他の人の話し中に、自分の話しをするために割り込まない。・・・こう言ったルールは、子供が初めからできるわけがないので、辛抱強く繰り返し教えていくしかありません。会話のルールを身につけるのは、やはり毎日の食卓が一番良いでしょう。ただし、食卓が親の小言の場になってしまっては、子供にとって苦痛の場となってしまい、自己主張できなくなります。ここでも、親の忍耐力が必要となります。

・仲間意識&社会性


 
友達と共同で遊びを展開できるようになるのは、3才以降のことです。しかし、それより前でも、友達と一緒にいる楽しさを十分に味合わせてあげましょう。1才半では、それぞれが勝手に遊ぶ並行遊びです。しかし、その頃でも、他の子のおもちゃをほしがったり、逆に自分のおもちゃを取られたりするシーンが見られるようになります。双方の親が、この年齢ではまだおもちゃの借り貸しができない、と言う了解をし合っていることが大切です。どちらかが大泣きしたり、乱暴な行動に出ない限り、親は見守っていましょう。おもちゃを貸してくれた時や、返す場合は、必ず親が子供といっしょにお礼を言いましょう。そう言うことに関しては、まだ親の助けが必要な時期です。3才後半ともなると、子供も相手の気持ちを理解できるようになってきます。
 ただし、滑り台やブランコの順番を守ると言った社会的なルールを破る場合は、泣きわめいてもきちんとルールを守らせなければなりません。逆によその子が割り込んだ場合も、親はその子にきちんと注意しましょう。子供は、そう言う親の一貫した姿勢を見ています。
 3才を過ぎると、幼稚園や保育園などの集団生活に入ります。この年齢は、同年代の子供との関わりが大きな刺激となります。親は、子供が集団生活にスムーズに移行できるよう、早寝早起きができる環境を作ってあげましょう。親の夜更かしに子供を付き合わせるのは駄目です。親も、一緒に生活のリズムを見直しましょう。子供が夜寝られないようなら、昼間たっぷり運動させましょう。
 また、2~3才になると、子供は「ごっこ遊び」を始めます。おままごとの茶碗でごはんを食べるふりをしたり、椅子に座って車を運転するふりをしたりと。そういう友達との遊びを通じて、子供は社会性を育てていきます。人間関係を学ぶ場ですから、ちょっとぐらい泣くことがあっても、危険な行為で無い限り親は子供に色々な経験をさせましょう。3~4才児は、親から離れて外の世界を広げます。しかし、外で経験したことを、安全基地である親のところへ帰って報告したがります。経験を、親と共有したいのです。家事で忙しいからとか言わずに、その感動を聞いてあげましょう(手が離せない時は、必ずあとで聞いてあげましょう。フォローは早く)。聞き方も、子供の言う事に興味を持って聞き、共感してあげましょう。
 4~5才では、ほとんどの子供が幼稚園や保育園に通うようになります。集団生活の中で経験する様々なことから、子供はたくさんの事を吸収し、社会性を育てていきます。色々な人との出会いは、子供に他者との違いを知り、自己主張の必要性、挫折した時の立ち直り方など、様々な事を学ばせてくれます。親は、集団生活で動揺したり興奮したりする子供の安全基地でいましょう。この頃の子は、友達付き合いが増えて子供に仲間意識が芽生えてきて、子供同士で秘密の約束を交わしたりします。家の約束よりも、そっちを優先したがり、親と衝突することもあります。これも、子供の成長の証として、親はあたたかく見守りましょう。もちろん、子供達だけで危険な場所に行ったり、知らない人に連れて行かれるなどの危険がないとは限りません。子供だけで遊びに行かせる時は、必ず行き先と、一緒に行くお友達を確認し、帰宅時間を約束させましょう(危険な行為、社会ルールに反する行為は、絶対に駄目だと言う毅然とした一貫した態度で言い聞かせましょう)。この友達との遊びを通して、好奇心は育ち、知恵、言葉、表現、人間関係を学んでいきます。それは、つまり子供の「生きる力」になると言うことです。「遊び」は、幼児期の子供の発達の基礎であり、発達を刺激するものです。大人が遊びのルールを決めたり、声を差し挟んだりするのは、極力避けたいものです。
 一方、友達ができれば、ケンカも起こります。子供は、ケンカを通して、自分の思い通りにはいかないこと、他人の気持ちを思いやること、他人と折り合う方法を学びます。友達とたくさんケンカして、たくさん仲直りできることで、子供は人間関係にタフになり、その子の「生きる力」になります。ただし、小学生と違って4~5才児では、ケンカをセルフコントロールできないので、どちらかがケガをしそうになったと判断した段階で、親が間に入った方が良いでしょう。子供のケンカでは、相手の親の顔を伺うよりも「子供にとって最善の策は何か?」と言う視点で考えましょう。親同士の考え方は必ずしも同じではないので、それで親同士の関係がギクシャクしても、それはある程度割り切りましょう。子供が一方的に暴力をふるわれるようなら、「嫌なことは、イヤとはっきり言うのよ」と教える必要があります。逆に暴力をふるう子なら、子供とよく話し合う必要があります。「自分が叩かれたらどんな気持ちがする?」「お母さんはとても悲しんでいるの」など、納得の行くまで話し合いましょう。
 0~2才は、家族との関係が非常に密な時でした。2~3才は、外へ向かって友達との関わりの面白さをだんだんと体験します。4~5才は、集団の面白さを体験する時です。こうした集団で育まれた自我は、チャレンジへの原動力となるだけではなく、他人との「かかわる力」を育むもとにもなります。最近の深刻な社会問題は、すべて対人関係のつまづきが関係しています。「他人とうまくかかわれる」とは、つまり「相手の言うことを聞く力」と「自己主張する力」の2つのバランスが取れていると言うことです。この2つのバランスは、集団の中で芽生える自我への信頼感があってこそ育まれます。だからこそ、子供は園での友達や地域の子供と遊ぶ機会がいっぱい必要なのです。こう言う経験をきちんと積んでいかないと、このバランス感覚を取ることが難しくなってしまうのです。

・約束やルールを守ること

 3才は約束の大切さが分かる頃です。約束は、必ず相手がいます。約束を破ると、相手が悲しんだり困ったりする・・・と言う事を理解できないと、子供には約束の大切さが分かりません。子供が最初に約束を交わす相手は、まず親でしょう。親との約束は守らねばならないことを、子供に理解させましょう。子供は、親との約束を破ったことを、嘘をついて隠そうとすることがあります。その場を逃れようとする知恵のついた3才ぐらいの子の、自己防衛のための嘘です。食べたのに、「食べていない」とか。もし嘘が続くとしたら、親が日ごろから過度に叱っている可能性もあります。そう言う状況だったら、多少大目に見て、子供が気楽にいられる雰囲気を作ってあげても良いかもしれません。
 また、約束には「ルール」と言う意味もあります。社会で守らなければならない、交通ルールや社会のルールなどがこれです。ルールは守られないと、人に迷惑をかけたり、人や自分を危険に巻き込みます。子供でも、守らなければならないものです。
 3才代の子供が交わす約束は、友達との世界が広がるにつれて増えていきます。例えば、借りた物は返すのは、約束の基本です。最初のうちは、「○○ちゃんはもういっぱい遊んだから、××ちゃんに返してあげようね」と親がフォローする必要もあるでしょう。ブランコの順番は守る、友達をぶったりして泣かせたら謝る、友達の嫌がることはしない、などの約束事は、友達と楽しく遊ぶためには必要なことであると、子供にきちんと理解させたい。
 このくらいの年齢の子になると、公共の場に行くことも増えます。電車やバスに乗るのに、おおはしゃぎするかもしれません。セルフコントロールの難しい2~3才の子でも、「公共の場で、他の人の迷惑になることをしてはいけない」と言うルールを教えねばなりません。マナーを教える基本は、「親が手本を示す」、「子供が納得できる言葉で話す」、「繰り返し教える」です。公共のマナーを守れない場合には、強硬手段も必要になります。「騒いだら、電車を降りるよ」と約束し、騒いで注意しても聞かないようなら、電車から降ります。子供は泣くかもしれませんが、約束を破られて親がいかに悲しんでいるかを真剣に話し、子供に約束の大切さを伝えます。マナーが身につくまで、繰り返し教えていくしかありません。間違っても「あのおじちゃんに怒られるよ」と他人のせいで静かにしなくてはいけないように思わせたり、「静かにしたら、おもちゃ買ってあげる」と言う交換条件を持ち出したりするのは厳禁です。公共の場では、そう言ったことと関係なく静かにするものだと教える必要があります。親にとって、一番たいへんなのは、お菓子売り場やおもちゃ売り場での対応でしょう。そういう場所に行く場合には、初めに「お菓子は一つだけ」とか約束をしておきましょう。約束を忘れ、売り場で泣き喚いたり、寝転がったりしたら、親は抱えあげてでもその場から立ち去りましょう。常に親が一貫的な態度を示していれば、やがて子供も「泣いても無駄だ・・・」と悟るようになります。また、子供は自分の持ち物と他の家の子の持ち物と比較をしますが、「よそはよそ、うちはうち」と自信をもって言いましょう。しかし、毎回我慢させるのだはなく、誕生日とか、クリスマスとかに、ご褒美を買ってあげて良いでしょう。それまでに、子供は何が欲しいかじっくり考えるのです(その一方で、親が浪費癖を示していてはいけません・・・説得力が無くなりますから)。
 マナーやルールと言うのは、対人関係を円滑に行うためにあるもので、社会生活の潤滑油です。年齢的には、4才の中ごろがマナーを身につけるには絶好の時期となります。この頃には、公共の場でのふるまい、食卓での所作、あいさつ、言葉遣いなどを丁寧に教えてあげましょう。また、ルールと言うのは、危険から子供自身を守ると言うことでもあります。残念ながら、子供を狙った犯罪者が世の中にいます。交通事故なども起こります。交通ルールを教えたり、危ない目にあったらどうするか等のルールを子供に教えましょう。家の中も安心とは言えなくなりました。悪質な訪問販売、強盗、火事などから守るため、電話や火の元に関するルールも、子供に教えておきましょう。

・その他・・・赤ちゃん返り、お手伝い、お小遣いの事など

「赤ちゃん返り」・・・下の子が生まれると、上の子が赤ちゃん返りを起こすことがしばしばあります。今まで親の愛情や世話を独り占めできていたのに、ライバルが出現したのです。食事もトイレも着替えも一人でできていた子が、突然「ママ、やって」とお母さんに甘えるようになります。また、下の子をいじめると言うようなことも起こります。ここで大切なのは、上の子の思いを受け止めてあげることです。「ママは忙しいのだから」とか「ママを困らせないで」と言うと、子供はますます不安になります。下の子の世話が一段楽したら、上の子を抱きしめてあげたり、遊んだりしてあげましょう。上の子が下の子の世話を手伝ってくれたら、誉めてあげましょう。自分が誉めてもらったことで、満足感や兄・姉としての誇りを覚えます。また、下の子が大きくなってケンカが始まると、上の子ばかりを叱るのは考えものです。上の子に不平等にならないように、叱りましょう。下の子には言ってることが分からないかもしれませんが、上の子の気持ちが救われるのです。
「お手伝いについて」・・・3才ともなると、子供は大人の真似が上手くなります。お手伝いを進んでしたがるのもこの頃から。ぎこちなく危なっかしい動きですが、親は素直に受け入れましょう(ただし、お手伝いを教育目的で強制するのは避けましょう)。お手伝いは、色々な道具を使ったり、手順を考えたり、先を見通せるようになる等、高度に知的な訓練につながります。気楽に手伝わせる工夫をしましょう。お手伝いの見返りにお小遣いをあげる家庭もありますが、できればそれは避けたいものです。お手伝いは「して当然のこと」なのか、「お駄賃の対価」なのか、どうでしょう?お手伝いの延長には、基本的な生活習慣を身に付けるという目標があります。
「お小遣いについて」・・・4~5才ぐらいでは、まだお小遣いをあげていない家庭が多いようですが、5歳ぐらいからあげている家庭もあるようです。どちらが良いかは、一概に言えません。しかし、お金の大切さは小さい頃から教えていいと思います。買い物をするお金は、親が一生懸命に稼いだもの。そして、陳列された商品は、そのお金と引き換えに手に入るもの。そう言うことを、きちんと教えていくことが必要です。お小遣いを上げる場合は、必ず約束の日に渡します。無くなったからと言ってすぐにあげずに、約束の日に渡します。他の家の子のお小遣いが多い場合もあるでしょうが、「よそはよそ、うちはうち」と我が家のルールを教えましょう。住宅ローンなどで家計が厳しいなら、家族の中ではオープンにしておいた方が良いでしょう。子供も、なんとなく「家がたいへんである」ことを理解します。子供も、家族の一員と言う自覚も生まれます。

・就学前の準備

 小学校入学が近づくと、親の心配の種は尽きないもの。
 まず、文字や数はどこまで知っていれば良いか、と言うのはすごく心配でしょう。小学校では最初の一ヶ月ぐらいの授業で、全員ひらがなが読めるように指導していますから、ちょっと文章を読むのが遅れている子も安心して良いでしょう。文字は、読むより書く方がたいへん。入学前には、自分の名前がひらがなで書ければ十分です。かく言う僕は、幼稚園時代、ひらがなで自分の名前すら"書けません"でした。みんな画用紙の裏に自分の名前を書くのに、僕はまごまごするだけで書けなかった記憶がありますが、小学校には普通に入学しました(笑)。とは言っても、5才になったら、友達や親に手紙を書く郵便屋さんごっこ等の文字に親しむ工夫を、親はしてあげて良いでしょう。字を覚えるのには、「活字のはっきりした」絵本を読むのも良いです。数は、10ぐらいまで数えられればとりあえず十分です。もし計算に興味を持たせたければ、具体的に視覚を利用しましょう(りんごを二つ、三つ用意するとか)。
 早生まれと遅生まれでは1年近い差があるのですから、その子供達が同じ組になって同じ事をして、同じ事を覚えようとするのですから、本人にとっても親にとってもたいへんな事です。就学前の準備として、年上の子と比較して追い付かせるために「あせる」必要はありません。世話を焼き過ぎずに、ゆっくりでも自分でできるようにする事が大切です。質問などには、分かった事には答えて、考えても分からない時は、黙っていないで「分かりません」と言えるように指導すれば良いでしょう。
 小学校では、集中力が必要になります。授業は40分とか50分になりますから、授業に集中する体力が必要です。何か特別な運動は必要ありませんが、毎日元気に遊ばせたり、お手伝いさせたりしましょう。集中力を高めるには、好きな事に熱中させるのが良いでしょう(しかし、テレビやゲームは止めましょう)。同様に学校生活は規則正しくなるので、食事の時間やおやつの時間を規則的にするようにけじめをつけましょう。また、学校での生活は、園での生活よりも集団で活動することが増えます。子供の社会性が未熟だと、友達と協力して何かを成し遂げるのが難しくなります。掃除当番や給食当番も、きちんどできなくなります。子供の社会性を育てるには、やはりたくさんの子供と遊ばせることが必要です。友達との関わりが、子供にとって社会の基本なのです。
 学校での生活での基本は、「自分のことは自分でする」です。「一人で着替えられる」、「脱いだ服をたためる」、「おもちゃをしまえる」、「トイレが一人でできる、また行きたくなったら先生に言える」、「明日持っていくものを、自分で用意できる」、「自分の傘や帽子を忘れず持ち帰れる」等のこう言った生活習慣は、身につくまで親が協力しましょう。親が口で言うだけでなく、具体的な行動で教えてあげましょう(例えば、交通規則を教える時には手を引いてあげるとか)。
 その他に、(このページでもいくつか触れた)身に付けたいマナーが色々あります。公共の場でのルール、言葉遣いや会話のルール、食事のマナー、よその家に行った時のマナー、等です。いずれにせよ、親にとって根気のいることですが、忍耐強く子供に教えていきましょう。

 さて、駆け足で、就学前までの子供への対応を見てきました。3才から5才ぐらいまでの成長の中で、最も大きな変化は"社会性"だと僕は思います。2才ぐらいまでは、主に家庭内が子供のメイン・ステージでした。それが、広い外のステージへと移っていき、友達ができてきます。そこで、子供は色々な葛藤を覚え、経験し、社会性を身に付けていくのです。親が教えたルールが通用しない場面もでてきます。例えば、幼稚園や保育園のお友達の中には、親のヤンキー口調を真似て「てめえ」とか「ぶっころすぞ」と言う汚い言葉を使ったり、暴力を振るう子もいるでしょう。また、街中で交通ルールを守らない人を見たり、ゴミを道に投げ捨てる人に遭遇することもあるでしょう。子供はそういう場面に遭遇して色々と悩むと思いますし、親も同様に悩む事になるでしょう。しかし、親はいつでも子供の安全基地として、首尾一貫した毅然な態度を取っていてあげたいものだと、僕は思います。親の言動がフラフラしていつも違う事を言っていると、成長段階の子供も不安になってしまうのではないでしょうか。親も欠点をたくさん持った不完全な人間なのだと、いつかは子供も気づきますが、まだ小さい時には親はしっかりとした頼れる大木でありたいと思うのです。


ティー・タイム/大人の時間、子供の時間

 年齢を重ねるに従い、時間の経過が早くなるように感じている方は、多いのではないでしょうか(
)。20代、30代の時間の流れと言ったら、それそれは速いもので、1年はあっという間に過ぎ去っていくような気がします。幼稚園や小学生の頃などは、もっともっとゆっくりと時間が流れていたような気がします。子供の頃、朝起きてから寝るまで、本当に色々なことができたように思います・・・朝起きて朝ご飯を食べ、学校に行き授業を受け、休み時間には遊んで、お昼には給食を食べ、放課後は友達と遊び、家に帰って宿題をし、テレビを見て、夜は家族との団欒など。夏休みの一日も、すごく長かったように感じます。それに引き換え、社会人になった我々大人の一日の速く過ぎ去ることと言ったら・・・。同様に、休日の一日もあっという間に過ぎ去ってしまいます。その時間感覚の差は、単に気のせいだと思っていましたが、最近では本当に子供と大人では、流れている時間が違うのではないかと感じています。
 いつだったか、「ぞうの時間、ねずみの時間」と言う本を読みました。ゾウは何十年も生き、ネズミはそれよりずっと短い寿命です。ネズミはちょこまかと素早く動き、ゾウはゆったりと動きます。人間の我々から見ると、ネズミは随分とせわしなく且つ短い生涯を送っているなぁ、と感じます。しかし、ネズミもゾウも、一生の内に心臓が打つ回数は15億回だそうです。実は、ネズミの生涯は(我々の感覚からすると随分短いですが)、ネズミ自身は、ゾウが一生を送るぐらいの時間的な長さを味わっているのかもしれません。逆にゾウはゆったりと動いているようですが、ゾウが一生と感じる時間は、ネズミが一生に感じる時間と変わらないのかもしれません。・・・時計で測る絶対的な時間とは別の、それぞれの生物が持つ相対的な時間と言うものが流れているのかもしれません。
 そんなことが、人間の子供と大人にもあるのかもしれない、と最近感じます。子供は、大人よりも脈拍が速くなっています。成人の平均的な脈拍は65~80回程度ですが、赤ちゃんの脈拍は110~140回、2~6歳児では100~110回、8~10歳児では80~100回程度です。脈拍を基準に考えると、成人が24時間と感じている時間は、赤ちゃんには40時間ぐらい、小学生低学年には30時間ぐらいに感じているのかもしれません。子供は寝る時間も長いですが、起きている時間も長く、その中でたくさんのことを体験・吸収しているのかもしれません。
 赤ちゃんは3歳になるまで毎日のようにすくすくと成長していて、親である我々を驚かせます。私達は赤ちゃんの頃の事を覚えていませんが、大人よりはるかに長い一日を生き、密度の濃い時間を過ごしているからこそ、あの目覚しい成長をしているのかもしれませんね。そんな風に考えると、赤ちゃんと接する時の親の心構えも変わってくるような気がします。私達親とは違う時間を生きているかもしれない子供と過ごす時には、子供の時間に合わせて忍耐強く接する必要があるのかな、と思ったりもするのです。

※齢を重ねると時間が早く流れるように感じる事を、"ジャネーの法則"と呼ぶそうです。ジャネーによれば、年を取った人が一年の経過を次第に早くなるように感じるのは、老人にとっての一年の人生に占める比率が、若い者よりも低いからだそうです。3歳の子に取って1年は過去の人生の1/3にも達しますが、60歳の人にとっては1年間は1/60でしかありません。だから、年齢を重ねた人は、時間を相対的に早く感じる…そう言う理屈を述べています。そんな法則もありますが、僕は"ぞうの時間・ねずみの時間"の方が納得できるなぁ。




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