JOLLYBOYの教育について考える

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3.誕生~3歳まで (2004年2月1日記載)

 赤ちゃんが実際に誕生してから、親も子も様々なことを体験します。生まれる前は色々と教育について考えているのに、実際生まれてしまうと、ミルクをあげたり、オムツを替えたり、その合い間に家事をしたりと、育児と家事に追われてその日が終わってしまう…と言うのが現実でしょう(うちもそうです)。それだけでもたいへんなのに、真夜中に突如熱が出て大声で泣いて救急病院に担ぎ込んだり、ハイハイや歩き出したりすると、部屋中の危なそうな物を高い所へ上げたり、始終片していなければならなかったり。それこそ寝る時間もなくてヘトヘトになる日々が、終わる事もなく延々と続いていくのです。誕生前に思い描いていた幼児教育なんて、もう絵に描いた餅、どこかへ吹っ飛んでしまうことでしょう。
 とは言うものの、やっぱり幼児教育と言うのは、どこか心の隅に引っかかっているのではないでしょうか。何故かというと、3歳までの教育がいかに大切かと言う事が、あちこちでさんざん言われているからです。古くから「三つ子の魂、百まで」と言われる如く、3歳までに子どもの性格や生活習慣の基本が出来あがってしまうと一般に思われています。だから、三歳までに英語の発音に馴染ませようとネイティブの英語教室に通わせたり、3歳までに絶対音感や音楽センスを身に付けさせようと音楽教室に通わせたり、0歳児をプールに入れてみたり、と必死な幼児教育をする親が存在するわけです。しかし、それらが長期的な臨床などによる科学的な裏付けがあるかどうかは、実はまだよく分かっていなかったりします。最近の研究成果を交えて、3歳までの幼児との関わり方、教育の仕方などを、具体的な事例・局面を見ながら考えていきたいと思います。

・母乳と離乳食

 第二次大戦後から現在に至るまで、人工乳(※粉ミルク)育児が主流を占めています。感染病対策のための母子異室や、ミルク栄養学の普及がこの背景にあります。しかし最近になって、栄養と母子の触れ合いの両方の面から、母乳育児が見直されています。母乳には色々な利点があることが分かっていますが、女性にとって授乳は重労働であり、早期に母乳から粉ミルクに替える方が多いようです。現在日本の医療機関では、あまり母乳の重要さを教えていないようです。母乳が出ないと言う話を良く聞きますが、本当に母乳が出ない人は100に一人か、せいぜい数人だそうです。では、母乳には具体的にどのような利点があるのでしょうか。
 母乳には、もちろん赤ちゃんを育てるために必要な栄養分が含まれていますが、それだけではありません。母乳で育った赤ちゃんは、人工乳で育った赤ちゃんより病気になりにくく、治りも早いことが知られています。出産直後の初乳は、黄色っぽくてねっとりとしているそうですが、初乳には「分泌方免疫グロブリン」が、普通の母乳の10~20倍含まれているそうです。この物質は、消化酵素に対する抵抗性が強いため、消化されずに、超粘膜に広がるそうです。その結果、細菌やウィルスや異種たんぱく質が腸から進入できなくなるのです。母乳で育った赤ちゃんは、気管支炎や中耳炎も少ないようです。この他、ラクトフェリンなど様々な免疫を高める成分が含まれています。
 また、歯科的な面からも、母乳は重要なようです。母乳は一回に出る量が限られるため、乳房を噛むための運動が一日に何度も繰り返され、咀嚼筋が強くなります。哺乳瓶の人工乳首は吸うのが容易で一度に大量に飲め、また人工乳は母乳よりも胃に留まる時間が長いため、哺乳回数も減り、結果として口腔器官の発達が劣ってしまいます。口腔器官が正しく発達していないと発音がうまくできなかったり、歯並びが悪いと虫歯や歯周病になり易かったり、噛み合わせが悪いと頭痛や肩こりの原因になったりします。このように、顎の発育や歯並びにも母乳育児が大切なようです。
 ちなみに、母乳育児を行う上で、出産後30分以内の授乳と頻回授乳が重要なようです。赤ちゃんは生まれてしばらくすると深い眠りに入ってしまうので、その前に乳首を吸わせてお母さんのおっぱいを記憶させると、その後の授乳がスムースになり、お母さんのほうも24時間以内に7回以上授乳することで母性にスイッチが入り、自然に母乳がでるようになるそうです。母乳が本格的に分泌されるには、出産後2~3日かかるそうですが、一方赤ちゃんの方も3日分の栄養を持って生まれてくるようです。いずれにせよ、感染症などの医療事故を嫌う風潮が日本の病院には根強いので、母子同室が可能な病院かどうか調べておく必要はありますし、そうでなければ担当の先生とよく話し合っておいても良いと思います。

 次に、いつ離乳食へ移ったら良いかと言う問題ですが、一時期、日本でも早ければ早いほど良いと言う情報が駆け巡り、早い人で6ヶ月ぐらいから離乳食へ移行していた事もあったようです。しかし、これが実は良くないということが分かっています。WHOでは、最低2年以上の母乳の継続を勧めていて、これが国際的基準になっています。口腔、皮膚、腸内の常在菌は、だいたい2~3歳でその比率が確定すると言われます。一度、菌の分布・比率が確定して安定化してしまうと、別の菌がその中に入り込みにくいと言われています。例えば、3歳までに虫歯菌に感染しなければ、一生虫歯知らずで過ごせると言われますし、そう言う人は全人口の2~3%ほどいるそうです。
 腸内の細菌にもそれが言えるのですが、乳酸菌などの善玉菌が腸内に安定化するにはやはり2年程度はかかると言われます。ミルクには善玉菌を育てるオリゴ糖などが含まれていますので、善玉菌の数を維持するのに必要なのです。反対に早期に離乳食に切り替えてしまうと、腸内の善玉菌の数が減っていき、大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌の比率が増えていき、2歳ごろまでに増えた悪玉菌と減った善玉菌の比率が確定してしまいます。そうして育った子は、大きくなってから便秘や、逆に下痢などで後々まで悩まされることとなります。成長してから、食事などで腸内細菌の比率を変えるのはとても困難な事で、いかに離乳食への切り替え時期の見極めが大切かと言う事がわかります。
 腸のことだけではありません。母乳は、赤ちゃんの体の栄養分であるだけでなく、心の栄養でもあり、赤ちゃんの精神安定剤の役割も果たしますから、自然に母乳を卒業する"卒乳"を待つべきなようです。実際には、「早く授乳から開放されたい」と言う母親も多く、なかなか卒乳までの忍耐も難しいようですが・・・。

・這い這いとタッチ

 「胎教について考える」の項で、赤ちゃんが胎内にいる時の活動の成長は見たので、生まれてからの赤ちゃんの活動を見ていきます。
 生後まもない赤ちゃんは、つかむことはできないが、手を伸ばして取ろうと言う意思を持った行動が見られます。そして、その行動は一旦姿を消します。これは、行動を再組織化するために、一時的に能力が低下するためとも考えられています。生後4ヶ月になると、再び手を伸ばし実際に物をつかむ子もいます。赤ちゃんの行動には、こうした「いったん消失して再び現れる行動」があります。他に、胎児期から一生消えない行動、胎児期にあったのに生まれると消えてしまう行動、の3種類の行動があるそうです。つまり、赤ちゃんの行動は、胎動→新生児→乳児への連続性の中で考えることが大切なようです。。
 赤ちゃんの成長の中で、生後2ヶ月が大きな転換点のようです。生後間もない赤ちゃんは、間断なく体のあちこちの部位を動かしています(※GM=ジェネラル・ムーブメントと言うそうです)。ところが、生後2ヶ月になると四肢の動きは円を描くような単純な動きになり、3、4ヶ月には再び複雑な動き(GM運動)をします。そして、生後5ヶ月頃になると、手を合わせたり、物をつかんだり、といった随意運動(※意識に従った運動)がみられるようになり、GM運動は姿を消します。運動面だけでなく、光刺激に対する大脳皮質の反応も、生後2ヶ月を境に劇的に変化します。
 さて、親がとても気になるハイハイですが、生後4ヶ月頃、赤ちゃんが夜と昼に合わせて寝たり起きたりし始める直後に、ハイハイが出現します。これは、睡眠覚醒リズムを司る脳幹のアミン系神経系が発達して、ハイハイが可能になるそうです。ハイハイと言うのは、手足の強調運動の最初の出現と考えられます。赤ちゃんは歩けないからハイハイをしているのではなく、ハイハイをしながら脳を発達させているのです。
 そして生後一年を迎える頃、ある日突然立ち上がり二足歩行を始めます。最初は数歩進んで倒れますが、毎日の練習でスムーズに歩けるようになります。生後数ヶ月間に、色んな行動が出たり消えたりするのは、歩行のための準備期間とも考えられるようです・・・様々な神経間の複雑な連絡を少しづつ発達させているのでしょうか・・・ですから、消えてしまう活動も、決して意味の無いものではないのです。つかまり立ち等も、二足歩行の準備と考えられます。そうして、三歳ごろになって、ようやく複雑な筋活動パターンを持つ成人型歩行が完成するのです。この後述べるように、言葉の習得もだいたい三歳でほぼ完成しますので、赤ちゃんは3歳ぐらいで色々な能力が一通り集大成されるようです。

・言葉の習得と外国語のレッスン

 さて、親にとって子供の言葉の習得は、ハイハイや歩行と同様にとても気になるもの。子供は、段階を追って言葉を学んでいきます。赤ちゃんは生後3ヶ月までは、アーとかクーと言った"音"しか発声できません・・・これは、単に鼻から音が抜けているだけです。生後3ヶ月から咽が発達して、かなりな音量で発生する下地が出来上がり、この頃から笑えるようになります。「ハハハ」と言うのは、母音と子音が組み合わさった立派な言葉です。笑い声のレッスン並びに発声器官の成長は生後9ヶ月頃まで続くのですが、この間に赤ちゃんは言葉の認知と言う作業も行っています。赤ちゃんは、人の声を音楽のようなメロディーとして聞いていて、それがいくつかの音の単位の連鎖であることが分かってきます。この頃には、親が絵本を読んであげる事がとても良いらしいです・・・絵本が嫌いな赤ちゃんは、まずいません。何度も繰り返し呼んでいくうちに、記憶が自然にたまっていきます。面倒くさがって、テレビに言葉を覚えさせようと言うのは駄目です。親がそばにいて一つ一つ丁寧に相手をしてあげないと、効果がないのです。
 生後9ヶ月では、ある程度の単語の記憶が頭に蓄積され、つたないながらも50音に近い声を使って話し出そうと試みます。「マンマ」「パアパ」「ブーブ」と言う具合に、練習を続けます。この間に、子供は「属性の絞り込み」と言う難しい作業を行っていて、例えば「これ」が本であり、「あれ」も本であることを、無数の特徴・属性から対象物を絞り込んでいきます。赤ちゃんは、これを体全体を使って認識します(眺めたり、触ったり、嗅いだり、投げたり、また眺めたり・・・)。
 属性を絞り込み、基本的な意味を理解する作業は、一歳半ぐらいから始まって、三歳になるまでにほぼ完成します。生まれてから言葉を獲得するのに、人間は三年もの月日を必要とすると言うことです。子供の言語能力を伸ばすには、①生後直後からたくさん話し掛ける②静かな場所で③子供の興味に合わせて④短い文章で分かりやすく⑤ゆっくり大きめの声で赤ちゃん言葉や擬音語、繰り返しを使って、と言ったことが大切なようです。逆効果なのが、答えさせるための質問や、言い直しをさせたり、無理やり注意をむけさせる、などと言う無理に「しゃべらせる」工夫・・・これは良くないようです。

 さて、次に考えたいのが、英会話などの外国語の習得の問題です。結論から言うと、「なるべく早いうちに始めたほうが良い」と言うのと、「あわてることはない」と言う二つの立場があって、どちらが良いかと言う結論は出ていません。今まで私達が聞いていた主流な意見は、前者です。「幼い頃に外国語の発音に耳を慣らしておくと、ヒアリングや発音など外国語習得にとって有利である」、「赤ちゃんには鋭い言語能力が備わっていて、年とともにその能力は失われていく」と言う主張が、現代の幼児の語学教育の前提になっているようです。
 一方で、その立場に反対する主張も数多くあります。「母語(日本語)がおぼつかない段階で、英語(別の言語)を同時並行で教えることは、子供の脳を混乱させるだけ」と言う主張は、そうしたものの一つです。ヨーロッパのように言語体系が似ている言葉ならともかく、日本語は特殊な言語です。しかも、バイリンガル環境で育てても、子供を待ち受ける社会は単一言語社会なのです。つまり英語圏の子がフランス語を習うのと、日本にいる子が英語を習うのを、同列で語ることはできないと言う意見があるのです。
 子供が何ヶ国語を学ぼうと、同時に二つ以上の言葉でものを理解したり、考えることはありません。子供は一つの言語で自分の世界を築き、外界を少しづつ理解して成長し、第二言語は第一言語を使って習得することに気がつきます。しかし、バイリンガルの子供と言うのは、複眼視なのです。一つの人間の中で、二つの文化が闘っているわけで、子供は(そしてその親も)悩むことになります。複数の言語が別々の言語体系であることを理解できず、子供の脳が混乱した結果、「レッツ・イート 朝ご飯」とか「おしっこの気持ちがする(※おしっこがしたいと言う意味)」と言うような、おかしな言葉遣いになってしまうのです。子供の第二言語習得プロセスは、一般的に考えられるよりも遥かに論理的な仕組みに支えられているようなのです。
 確かに「赤ちゃんは天才」であり「子供の能力は無限」と言えるかもしれませんが、まず母国語の語彙や表現力、論理的な展開力をしっかりと養い、考えたり、理解する力の基礎を作ることが大切なようです。「ネイティブスピーカーのような発音は、今でないと間に合わない!」と実利的にあせるのは気持ちとしては(私も親なので)良く分かるのですが、子供の脳を混乱させるようなら、無理をして早くから外国語を教える必要もないのではないでしょうか。
 余談ですが、外国語習得について触れたので、その他の習い事についてもちょっと考えてみたいと思います。幼児の外国語習得は、幼児のバイオリンやピアノ等の音楽教育やその他様々な幼児教育にも通ずるものがあります。「子供の能力は無限大」とばかりに、小さいうちにあれもこれもと色んな教室に通わせるわけです。優れた英語の発音、優れた楽器の演奏、素晴らしいダンスなど、子供が優れた能力を獲得できるように、親は必死になって努力するのです。鈴木メソードで有名な、鈴木鎮一先生の下に子供を連れてきた母親が、よくこう言うと言います。「うちの子は、"モノ"になりますか?」と。それに対して鈴木先生は、「いいえ、物にはなりません。しかし、立派な人間にはなります」と答えたと言う。親が、しっかりと肝に命ずるべき言葉ではないでしょうか。優れた能力を獲得させようと奮闘するあまり、子供の心を見失い、子供の心の豊かさを奪っては本末転倒です。言葉の習得の所で述べましたが、最悪の方法論は子供に"無理強い"をすることで、これが最も効果が薄い方法だと言われます。色んな習い事は、無理に始めさせるのではなく、子供自身が興味を持つようになってからやらせても良いのではないでしょうか。興味こそ、最良の意欲促進剤です。

・テレビとの付き合い方

 言葉の習得とも関わりが深いのが、テレビ(同様にビデオも)との付き合い方です。テレビを見せると赤ちゃんはじっと画面を見るので、親が家事などで忙しい時は重宝して、ついついテレビに育児をさせてしまいがちです。我が家でも、朝の忙しい時間帯は、"いないないばあ"や"お母さんといっしょ"を見せてしまいます。ところがこのテレビを見させる行為が、子供の発育に多大な悪影響を与えることが次第に分かってきました。
 生後1ヶ月の赤ちゃんは、漫然と画面を見ているだけですが、生後2~3ヶ月になるとテレビの画面をじっと注視します。しかし、このぐらいの赤ちゃんが番組の内容が理解できるはずもありません。赤ちゃんは、ただ単に画面から目を離せない"強制注視"の状態にあるのです。次から次へと画面が変わって刺激が続くから、目が離せないのです。
 それともう一つ重要なのが、テレビやビデオは送り手側からの一方通行だと言う点です。大人には内容が良い番組だと思えても、子供には一方的なものでしかありません。「おお、うちの子は英会話のビデオをじっと見ている。小さいのに、関心、関心。天才かもしれない。」などと喜んでいてはいけません。さきほども述べた通り、子供は単に画面から目を離せないだけで、内容を理解して集中しているわけではありません。テレビやビデオの情報は一方通行なので、子供の理解と関係なくどんどん先に進みます。結果として、子供に家族や友人との"コミュニケーション障害"を引き起こすこともあります。一日何時間もテレビを見せられて育てられた子どもの中には、言葉もほとんど話せず、親とも目を合わせず、表情も乏しい、と言った症状が起きる事が報告されています。テレビを消すと、異常に泣いたり暴れたりして切れる子供は、画面から次々発せられる刺激にはまっているのです。こうした研究結果の末、専門家の中には3歳までのテレビ視聴は百害あって一利なしと言い切る人もいます。テレビは、本人が見たいと思うようになるまで、見せる必要はないようです。
 もし、テレビを見るにしても、良い番組を選んで、視聴は1日30分ぐらいにして、必ず親がそばに付き添って、子供とコミュニケーションをとりながら番組を楽しむのが良いようです。親の都合でテレビに育児をさせれば、その時は楽に乗り切ることができますが、ゆくゆくは"ツケ"として自分の所に戻ってきます。"子供の言葉が遅い"、"表情が乏しい"、"すぐに暴れたりして親とコミュニケーションが取れない"、などと言う問題が追々噴出するかもしれません。テレビに育児をさせない方が、良いようです。

・子供のしつけ


 周囲の親の意見を聞くと、やはり3歳と言う年齢がしつけのキー年齢であるようです。
 一方で、3歳までは叱られても、その子は叱られた内容を理解できないのだから「叱るべきではない」と言う意見があり、もう一方で3歳までのしつけが子供の人生の基本となるのだから、「きちんと叱るべきだ」と言う意見があります。
 前者の意見が出てきた背景として、「あれもいけない」、「これもいけない」と行動を制止していると、せっかくの子供の外部への興味や想像力を阻害してしまう、と言う考え方が根底にあるようです。後者の意見の背景として、昔からある「三つ子の魂、百まで」と言う例えにある通り、小さい頃あまり野放図にしておくと将来わがままに育ってしまう、と言う心配があるようです。
 一例ですが、我が家では次のような方針を出しました。①子供が本棚等を漁ったりするのは、「あきらめ」て適度に「自由にさせておく」。②個人的に大事な物や本は、子供の手の届かない所に置いておく。③包丁、はさみ等危険物が入っている場所には、チャイルド・ロックを掛けておく(ベビーショップなどで売っている)。④刃物、火、お湯などの危険物を触ろうとした場合は、「その場」で、「怒りながら」、「その手を叩く」・・・と言うような、暗黙の了解を夫婦間で立てています。その場ですぐ叱るのは、犬のしつけと同じで、後で叱っても何故叱られているのか、赤ちゃんはその因果関係を理解できないからです。火や刃物やお湯の危険性について、赤ちゃんの段階ではまだ理解できていないのですから、親の方が注意していなくてはなりません。その場で叩くことによって、(すぐには理解できなくとも)反復して叱ることによって、その場には近寄ってはいけないと言うことを、次第に分からせることにしています(正に犬のしつけです)。
 物事が理解できる3歳になってから、急にきびしくしつけようとすると、「今までOKだったのに、なんで今回はダメなんだ!」と言う事になって、返って反発したり、言う事を聞かなくなると言うこともあるそうです。
 子供を叩くと言うのは、DVのようで気がひけるかもしれませんが、大事故で火傷や大きな傷を負うよりは遥かに良いと思って、そう言う方針にしています。もちろん「叩く」と言う行為は、親が注意を巡らして危険に近寄らせない配慮をした上での、「最終的な叱咤」と言う位置付けにしています。いずれにせよ、しつけと言うのは、子供のキャラクターにもよって対応が違うと思うので、僕らも夫婦間で今後も色々と悩みながらしつけていきたいと思っています。

・病気やケガとの闘い

 子供の病気は、親にとってたいへん心配です。夜中に突然高熱が出て(何故かいつも深夜なのである・・・)救急に駆け込むのは、日常茶飯事と言いたくなるぐらい頻発します。僕ら夫婦が、子供を病気で初めて小児科に連れて行ったのは、生後4ヶ月の時です。夜中に熱が出たので、「風邪薬をもらって帰るか」ぐらいの軽い気持ちで小児科に行ったのですが、先生はうちの子を一目見ただけで、「これはいかん!すぐ市立病院に行って、入院しなさい!」と言うのです。僕ら夫婦は、何が何やらさっぱり分からず紹介状をもって慌てて市立病院に行きました。採血や採尿したりと色々と調べましたが、すぐには原因が分からず、翌日には熱が40度に達しました。最終的な診断は、「尿路感染症」と言うことで、赤ちゃんは尿管が短いため尿が逆流して感染したのだろうと言うことでした。結局、うちの子はそのまま5日間も入院を余儀なくされ、生後一歳まで抗生物質を飲むことになりました。まさか、最初の軽い気持ちで行った小児科だったのに、こんな大事になるとは思ってもいませんでした。しかしそれが良かったのか、「子供に何が起こってもおかしくない。まずは慌てない」と言う決意が、私達親の側にできました。
 子供の風邪も、避けて通ることはできない病です。昨年12月の後半から今年の1月の中旬まで、わずか一ヶ月の間にうちの子が3回連続で風邪をひきました。39度の熱が、3日間連続で出たこともあります。咽が痛く鼻が詰まって呼吸が辛く、子供がまったく眠れない日々もありました。「親はいったい何をしていたのだ?」と思われるかもしれませんが、外出時のマスク、帰宅時のうがい、手洗いをして、室内も加湿器を付けていました。それでも、ひく時はひいてしまうのです。子供の病気の様子を見ているのも辛いものですが、看病する親の側もたいへんです。3回も連続で風邪をひかれると、看病する親も睡眠不足が続き、体力が落ちて風邪をひいてしまいます(実際に夫婦揃って風邪をひきました)。夫婦で看病を交替したり、可能なら両親にも育児や家事を手伝ってもらった方が良いと思います。
 病気と共に気を付けなければならないのが、子供のケガです。子供と言うのは、時として思いもよらない行動をとったりします。「しつけ」の所でも述べましたが、事故が起こってからでは遅いのです。先日も、うちの子が母親の後を追ってリビングルームをハイハイで抜け出し、階段から転げ落ちました。その転落する音と泣き声を聞いて、3階にいた僕は顔面蒼白になりましたが、"たんこぶ"一つできただけで大事にいたらずホッとしました。「もし首の骨が折れていたら・・・」と思うと、ゾッとします。それ以来、必ずリビングルームのドアを閉じる事にしました。子供が安全に行動できる場を工夫するのも、親の務めでしょう。
 また子どものオムツの中身を見ていると、予想もしないものが出てきます。ビニールの断片だったり、みかんの皮だったり、なんだかよく分からない固形物だったり・・・。子供が、普段色々な物を口に入れていることが分かります。口に入る大きさの物に対する注意は、し過ぎると言うことはないでしょう。特に、薬物、尖がった物、ボタン電池などは、注意です。
 親(特に母親)は、子供に常にまとわり付かれたり、逆に子供の後ろを追っかけたりと、とてもしんどい毎日を送ることになりますが、子供を守ることができるのは、常に側にいる親にしかできないことなのです。いつかは自分自身で、危険なものとそうでないものを判断できる日が来ますから、それまでなんとか事故を防いで乗り切りましょう。

・我々、親として・・・

 最後に、子育てと言うテーマからはちょっと外れますが、「なんで私が、毎日毎日こんな育児なんてしてなきゃならないの!子育て以外にやりたいことがいっぱいあるのに!」と言うふうに思って、嫌々ながら子育てをしている母親もいると言う話を聞きました。独自の教育論で有名なソニーの創業者の井深大氏(故人)は、「そんなにしたいことがあるなら、40歳でも50歳でもさんざん好きなことをやってから子を産めばよい。」と言うようなことを言っています。もちろん、これは皮肉で言っているのです。井深氏の「幼稚園では遅すぎる」と言う本は、"早期教育"や"英才教育"のバイブルのように思われていますが、井深氏が意図しているのは「本当に必要なのは、知的教育よりも、心の教育であり、私が問いたかったのは、そのために母親が果たす役割の大切さ」なのだと言います。確かに本ページで見たように、能力や性格の基本は3歳までに形成されますので、この時期の可能性はとても高いものです。だからと言って、教育とは本来、子どものお尻を叩いて塾に通わせ、語学や音楽の天才を作るためにあるのではなく、親と子が適切な時期に適切な関わり方をすることなのです。井深氏は、育児と教育は同じものであり、親にとって子の教育や子との関わり以上に重要なことが果たしてあるのだろうか、と言っているのです。特に子供と過ごす時間の長い母親の愛情が大切なのは、言うまでもありません。嫌々ながら育てられた子と、愛情いっぱいに育てられた子の将来は、到底同じとは僕にも思えません。「親は無くとも子は育つ」と言うのは、真実ではないと思います。親の代替え品など、ないのです。


ティー・タイム/夫婦が協力して育児をすると言うこと

 さて、うちの子も生まれて今月でちょうど一歳である。この一年を振り返ると、初めての育児と言うこともあって、色々とたいへんだったと思う。私は日中仕事に行ってしまうので、一日中子どもと一緒にいる妻は特にたいへんである。最近、テレビで親が自分の子を殴ったり蹴ったりと言ったDV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力)や、食事を与えないと言った育児放棄のニュースが、日常的にマスコミで流れている。中には、死亡する悲しい事件も起きている(現代はDVが異様に多いように思えるが、単に昔は表沙汰にならなかったものが、表面化しただけなのかどうか)。DVには色んな原因があると思うのだが、僕なりに解釈すると、"わがままに育った世代の結婚"や"全国的に進んだ核家族化"などが原因ではないかと思う。
 「わがままに育った」と言うのは言い過ぎかもしれないが、生まれた時には既に何不自由なく揃っていて、蝶よ、花よ、と育てられた世代は、僕らの親の世代に比較すると、遥かに物事に対する忍耐力が低下していると思う。いわゆる、すぐに"切れてしまう"人が増えている。それが、親になったからと言って急に忍耐力が高まるわけがない。最近は、町中でヤンキー口調で子どもを叱り付けている母親の姿を目にする事が多くなった。僕らの少年時代では、あまり考えられない事だ。
 そして、それは核家族化とも無縁ではない。少人数の核家族の下だと、子どもを下にも置かない"王様"にしてしまうことがある。子供は、「自分が一番!」の超わがままっ子として育つ。大人数の大家族の下で生活していると、両親の姿を見て祖父母を敬ったりと、その中で社会性を身につけやすい。私の姉夫婦のところには、三人の男の子がいていつもケンカしているが、ケンカも次第に限度をわきまえるようになるし、兄弟内の序列やルールというものも自然にできていく。また大家族で生活していると、親の育児の知識や経験の不足を祖父母が補うことができる。もちろん、大家族にもそれなりの問題はあるのだが、子育てに関してはメリットも多いようだ。
 しかし、現代の家族はほとんど核家族である。母親の負担は、相当に大きい。何もかも初めての育児。夜は、子どもにミルクを上げる為、定期的に起きなければならない。父親は日中仕事で家にいないし、母親は一日中子どもと二人っきりで過ごすこととなる。父親は、家に帰ってきても「仕事で疲れているんだ」と言って、育児には見向きもしない。母親の寝不足とストレスは、増していくばかりである。そんなことから、夫婦間で口論になる事もあろう。
 我が家も色々と話し合った結果、育児を可能な限り交替する事にした。原則的に、月曜日から金曜までは、妻が夜の育児をする。そして土曜や日曜等の休日の前日は、余程疲労していない限り、私(夫)が夜の育児をする(赤ちゃんは夜に起きてミルクをせがむので、夜の間に2~3度ミルクを上げる事となる。オムツの交換も、一度ぐらいはすることとなる)。夫の睡眠時間は減るが、一週間ずっと寝不足の妻の事を考えれば、まだ楽なはずである。核家族の社会にあっては、夫婦が協力して育児や子の教育をすることが大切になっていると思うので、きちんと夫婦間で話し合っておいた方が良いだろうと思う。







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