入口 ＞トップメニュー ＞経済学入門 ＞現ページ
2．社会主義と計画経済 (2001年7月9日記載)
さて前回は、「資本主義と市場経済(自由経済)」についてざっと見てきた。で、今回は「社会主義(もしくは共産主義)と計画経済」について考える。なんせ、２０世紀の半ばから終わり頃まで"資本主義vs社会主義(共産主義)"の対立の緊張の中、歴史は動いてきたのだから、学んでおく価値はあると思うぞ。
・社会主義とは何ぞや…「みんなで財産を共有して助け合って生きていく、そういう理想の社会を作りましょうよ！」という思想は、かなり古くからあったんだけど、近代の社会主義はあのカール･マルクスから始まるの。彼は、資本主義は必ず社会主義へ発展すると主張したのね。それには科学的根拠があると力説して。資本主義を分析し、その崩壊は必然的で、やがて社会主義の時代が来ると。資本主義経済では、労働者が経営側から賃金を搾取されている。ヘロヘロになるまで懸命に働いている労働者が搾取されないためには、労働力と生産手段とがすべて労働者側にあれば良いじゃないか！と考えるのである。そこで、革命が起こって資本者階級は追い出されて、平等な労働者階級だけの社会が到来すると。マルクス以外の社会主義思想も色々あったのだけど、共通するのは「私有財産制度の撤廃」。つまり、生産手段だった企業は、国の物、皆の物になるというわけ。
・計画経済の到来…で、社会主義はどんな経済理論が成り立つかと言うと、「計画経済」なのね。企業は全部国の経営だから、国が生産から何から全部管理するのです。何をどれだけ生産しようか計画をして、それを忠実に実行に移すの。人々は、ただ「能力に応じて働き、必要に応じて与えられる」わけ。これが、社会主義の「計画経済」の基本。特権階級は姿を消し、平等な幸せな労働者だけの理想の社会になるはずなのね。
・社会主義の光と影…もう、歴史では過去のこととなってしまって明らかなんだけど、社会主義(もしくは共産主義)は大失敗だったの。理想郷は、幻影だったのね。社会主義だった国はどこもひどい惨状で、かつては栄華を誇った国々も、とても貧しい国になってしまったのです。それは何故か？まず第一に、すべてを計画して実行･管理するなんてのは、「人間には絶対無理」だから。食料一つとってみても、日照り続きで不作で、計画の半分も取れなかったら、民衆の多くが飢餓に苦しんでしまう。あらゆる産業をすべてうまくいくように、あるゆる要因を考慮に入れて、国家規模で計画・実行･管理するのは、どんな天才学者や政治家、官僚が集まっても、絶対不可能。それが「計画経済」の限界。第二に、社会主義ではみんなの労働意欲が無くなっていくの。そりゃあ革命当時は、みんな燃えていたかもしれない…みんなで平等な新しい世界を作ろう！なんてね。でもね、そのうちね、いくら働いても儲かるわけでも財産が増えるのでもなかったら、ほとんどの人がまじめに働かなくなるって、絶対。日本を見てても、分かるじゃない。民間企業だったら、自分の成績上げないと出世や給料に影響が出るし、下手すりゃリストラだから、死ぬほど一生懸命働くよ(たまに本当に死ぬ)。一方、(引き合いに出して申し訳ないが)公務員は営業成績なんてないし、がんばってもがんばらなくっても、退職するまで皆だいたい給料･待遇は同じ、よほどのポカが無い限り首も飛ばないし、退職金も民間企業の数倍。それじゃ、一生懸命働く気もなくなるって、懸命に働くポーズだけ決めて楽するさ…みんな５時に帰るって。第三に、平等であるはずの社会主義に、特権階級が出来てくるのね。お金や権力を持つ政治家や軍人や官僚が増えてきて、絶対その権益を離さなくなるの。腐敗や汚職が蔓延してきて(この辺は民主主義国家だろうが王制国家だろうが、政治形態を問わず似たり寄ったりだけどね)、最悪の場合は都合の悪い秘密を保持するのに秘密警察が暗躍するようにさえなるのね。恐怖政治の下で権力と富を維持する特権階級、その一方で計画経済の行き詰まりで、あちこちで民衆が飢えている。結局、２０世紀後半には社会主義革命と逆のことが起きて、世界の各地で社会主義が崩壊していった。社会主義の失敗の根源的原因は、「人間の持つ欠点」が全然分かっていない点にあると、僕は思う(一方、資本主義は、悲しいかな「人間のエゴ」を最大限に利用しているので、なんとか機能している)。で今は、もう僅かな国が社会主義･共産主義を標榜するのみなのです。
新品価格
￥907から
(2014/11/11 08:02時点)
新品価格
￥1,404から
(2014/11/11 08:04時点)
新品価格
￥929から
(2014/11/11 08:06時点)
