変ったコンセプトの国産車達

(2003年7月20日記載)

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 さて、番外編と言うことで、街中で見かけた「変ったコンセプトの国産車達」を取り上げよう。実用性を絵に描いたような車ばかり作る日本自動車界ではあるが、「ム、ム、ム!」と思わされる変った車達が、時折現れる。それらは、たいていコンパクトカーか軽自動車である。開発費用のかかる高級車ではちょっと冒険できないが、大衆車や軽自動車なら、少しぐらい冒険しても良いかな~?と言うことなのだろうか。

トヨタ・セラ

 まずは、売れ筋商品一点ばりの車生産の代名詞のような"トヨタ"から。トヨタも、たまには変った車を作る(…こともある)。最近のWillシリーズなどは、その最たるものだろう(でも、最新のあの"成長する車"って何?トヨタは、本当にあれで良いのか?)。
 しかし、僕が最も気に入っている変り種トヨタ車は、"セラ"。大衆車を、少しスポーティーにしたようなデザインなのだが、なんとこの車、ガルウィングなのである!ガルウィングと言えば、メルセデスの300SLやデロリアン、果てはランボルギーニ・カウンタックと言ったような高級スポーツカーにしか採用されていないドアの形状…ドアが、上に開く"あれ"である。それを、トヨタは大衆車に付けてしまったのである。

 トヨタ・セラ(僕の住む市内にて)

 しかし、この車、屋根部もグラスなので日射が暑かったり(昔、ホンダのCR-Xにもそんなのあったね~)、ウィンドウの開くスペースが小さかったり(カウンタックみたいやね~)等、実用大衆車的な割には色々と不満部分も多かった車。逆に言うと、ガルウィングだけが、この車の存在価値と言うことになろうか。あんまり評判良くなかったし、売れなかったらしい。でも、こんなトヨタ車らしくないトヨタ・セラが、僕は大・大・だ~い好きである。

日産・EXA

 対する日産だって、負けてはいない。日産も、時折思いっきり力の抜けた車を出すこともある。斬新なデザインの"Be-1"から始まった、あの路線である。二代目の"フィガロ"のボディラインは、刑事コロンボが乗ってるボロボロの車みたいな味を出していて、好感が持てた。でも、デザインを重視したあまりか、後部座席は異様に狭くて一体誰が座れるのだろう…と思ったのも事実。"パオ"に至っては、キャッチコピーが確か「な~んにも考えていないのが、強みです」とか何とか言うコピーだったと思うが、確かに何にも考えてない車だった…。
 そんな強力なライバルを差し置いて、僕が変った日産車に押したいのが、"EXA"。この車も、当時流行りのリトラクタブル・ヘッドライトを採用したりしていて、けっこうスポーティーな顔立ちをしていた。この車の開発コンセプトは、凄かった!車の形状をアタッチメントの交換によって変えてしまおう、と言うのである!下の写真のような、ワゴンタイプにもなる。後方のワゴンの屋根部分(※カーゴ部の屋根)を取れば、ピックアップ・タイプやオープンにもなり、別な屋根を取り付ければクーペ・タイプにもなる…と言う、まるでプラモデルのような凄いコンセプトだったのである!考えても見て下さい…デートの時には、クーペスポーツ。キャンプに行く時には、ワゴン。荷物をいっぱい載せての移動時には、ピックアップトラック…。凄いではないか!

日産・EXA(中央区銀座にて)

 しかし、このコンセプトは、お蔵入りとなった。当時の貴重な車雑誌を全部処分してしまったので、微かな記憶を頼りに書いているのだが、通産省(※現在の国土交通省)から認められなかったのだったと記憶している。車の形状(※タイプ)を変えるのは、ダメだとか、何とか…そんな理由だったと思う。EXAは発売されたが、クーペがワゴンに変身することは無かった、と記憶している。おしいなぁ…。

スバル・ヴィヴィオ・Tトップ

 さて、色んな意味で変なのが、このスバルの"Tトップ"。バブル崩壊以前には、ホント色んな車が発売された。このTトップもそんな一台。バブルに沸いた日本…軽自動車業界でも、オープン・スポーツカーが発売されると言う異例の時代だった。ホンダからはビート、スズキからはカプチーノが発売された。しかし、同じ軽自動車業界でも、ダイハツは堅実な車だけ生産して(しかし、技術者の中にはオープンスポーツに対する熱い思いがこの頃からあって、後日コペンとして結実する)いて、リーザのスパイダータイプをモーターショーで発表する等で留まっていた。
 そして、やはり軽自動車を生業とするスバルは、一体どうしたかと言うと、ダイハツと同様、新設計のスポーツカーで冒険する余裕は無かったようだ。で、このヴィヴィオのTトップを限定生産で出したのである。普通のヴィヴィオをベースに、オープンカーに仕立てた。カプチーノに似たシステムを採用していて、ハードトップ、Tバールーフ、タルガトップの3形態に変身した。しかも、この車の凄いところは、カプチーノやビートと違ってなんと4人乗りで、しかも荷物もそれなりに積載できるようにしたのだ!

スバル・ヴィヴィオ・Tトップ(僕の住む市内にて)

 軽なのに、オープンカーで、4人乗りで、荷物もそれなりに積める…。しかし、軽の規格内でそんなにでき過ぎた話があるわけがない。まず、ボディのデザイン。上の写真を見ても分かる通り、どっちが前だか後ろだか分からない…このデザインが"かわいい"と思い込めればOKだが、そうでないとかなり辛いデザイン。そして、4人乗りである所の後部座席。実車を見た時、「え~!ここに人が座れるの???」と言うスペース。前部の座席を前にずらせば、子供が乗れなくも無いが…エマージェンシーシート…と言ったところか。とても、オープンカーで、大人4人で出かけられる車とも思えない。当時の軽自動車専門誌も処分してしまったので詳細は不明だが、記憶によれば確かエンジン出力や足回りも、ほぼノーマルのままだったはずなので、スポーツ走行にも不向きだったと思う。
 ありとあらゆる要素を軽自動車に詰め込んだTトップだったが、すべてが中途半端な車だった。しかし、僕はこんな中途半端で変な形の車が、「だ~い好き!」なのである。僕は、人が乗らない変な車にひかれるのかなぁ…。


マツダ・AZ-1

 さてさて、軽自動車の変り種と言って忘れてはならないのが、このマツダの"AZ-1"(OEM供給でスズキから"キャラ"としても販売された)。ビートやカプチーノの後発となったが、そのインパクトは、ビートやカプチーノに負けてはいなかった。この車、単なるスポーツカーではない。志は、もっと高かったのだ。「軽自動車で、スーパーカーを作ったらどうなるか?」…そんな凄いコンセプトが、この車の生れる背景にはあった…バブル時代を象徴するようなコンセプトである。
 スーパーカーと言えば、流れるような流線型、かつ車高の低いデザインで、ミッドシップエンジンの二人乗りが定番。もちろん、AZ-1はそれらの要素を満たしている。それだけではない。なんとAZ-1は、ガルウィング(※上記の"トヨタ・セラ"を参照)を採用したのだ!カモメの羽のように開くドア…もちろん、市販軽自動車では初である!こうして、ビートやカプチーノと言ったオープンスポーツとは一線を隔す、スーパー軽自動車が誕生したのである。

マツダ・AZ-1(僕の住む市内にて)

 しか~し!!!現実は、そう甘くはないのだ…。軽自動車と言う限られた規格内でそんなことをすれば、必ずどこかに無理が生じるのは、ヴィヴィオのTトップでも見た周知の事実!このAZ-1とて、例外ではない。この軽のスーパーカーは、荷物が積めないのだ!同じミッドシップのホンダのビートも、小さなバッグが入るスペースしかないが、このAZ-1は更に小さいと言われる。大げさに言うと、テニスラケットがせいぜいと言ったところか。まして、大人二人が荷物を積んでの宿泊旅行など、土台無理な話である。この車は、セカンドカーとして、峠へのドライブや近場への買い物用である(気がする)。でも、軽でここまでやってくれたAZ-1には「◎(二重丸)」をあげたい。本物のスーパーカーだって、実用性で言えば似たようなもんだからね(雨の日にはガレージから出さないとか、段差のあるファミレスに入れないとか、音が煩くて会話が聞こえないとか、etc.…)。

Q-CAR「Qi」(キューノ)

 さて、最後に変った国産車の帝王を紹介しよう!その名も、"チョロQカー"ことQ-CAR。あのおもちゃのチョロQのコンセプトを、実車版にしてしまったのがこの車。充電バッテリーを搭載した、電動モーターカーである。一人乗り。もちろん、ちゃんと公道を走れる。ただし、原付扱いなのでスピードはだせない(※四輪なので、もちろん普通自動車免許は必要)。8時間の充電で、航続距離は80km。最高速度は、50km/h。街中のちょい乗り用である。


チョロQカー(中央区銀座にて

 こういうレベルの車になると、もう実用性がどうの、とか言ってはいけない。このチョロQのコンセプトを理解し、ゆとり&ユーモアのある方に乗っていただく、そう言う種類の車である。もっと言うと、大きなガレージの中に車を二台も三台も持っている方が乗る…そう言う車。
 上記の写真はオープンカータイプだが、この夏に屋根付きも出るという情報もある。将来、どういうバリエーションを展開していくのだろうね?


マイコレクションより"チョロQカー"


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