ロンドン・タクシー

(2003年10月5日記載)

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 世界で最も個性的なタクシーは、ロンドン・タクシーではないだろうか。ニューヨークのイエローキャブも個性的だとは思うが、ロンドン・タクシーはその遥か上を行っている。真っ赤な二階建てバスと共に、ロンドン・タクシーはロンドンの名物となっている。日本では、様々なメーカーの色んな車種のタクシーが色んな模様の塗装で走っているが、それが逆に日本のタクシーの印象を薄くしている。何せ、一つのタクシー会社でさえ色んな最新型の車種を使っているのである、日本では。しかし、イギリスと言う国は、伝統や古いものを大切にする。街の建物は、どこまで行ってもレンガ造り。車もまたしかり。近代的なデザインのタクシーにしないで、頑なにクラシックなスタイルを保っている。もちろん中身は、最新のものではあるが。
 イギリスに行って以来、僕はロンドン・タクシーについて、色々と疑問に思っていたことがあった。タクシーには、ローバーとも、フォードとも、トヨタとも表示されていない。どこのメーカーが作っているのだろう…と。すべて同じデザインだが、たった一社で作っているのだろうか?そもそも、タクシー会社は一社なのだろうか?それとも、国営企業なのだろうか?車種が一種と言うのは、何か規制でもあるのだろうか?トヨタのクラウンや、メルセデス・ベンツなどのタクシーは、ロンドン・タクシー業界には参入できないのだろうか?…等々の数多くの疑問があったのだ。

 FX-4(セントポール教会前にて)

 イギリスのタクシーの起源は、700年前の有料船まで遡るのだが、車両タイプは1625年登場のハクニーと言う馬車である。ロンドンでは馬車に対する交通規制があって、政府から許可証の発行を受ける必要があった。規制のため、イギリスのタクシー業界は、次第に系統化されていった。20世紀には、ヨーロッパの都市にこうしたハクニーが登場する。料金メータ(タクソメーター)を装備して、公平で統一的な料金を提示するようになったので、ハクニーは、タクシー(taxi)と呼ばれるようになったのである。
 こうした中、イギリス政府はロンドン警察部管轄の「パブリック・キャリッジ・オフィス(PCO)」を設立して、タクシーの安全規格の監視・管理を担当させた。その後の詳細は全部省くが、第二次世界大戦後、馬タクシーが全面的に廃止されて、1947年、ロンドンのタクシーは自動車のみに統一されて、正式に「ロンドンタクシー」が登場した。戦前のイギリスでは、いくつかのメーカーが旅客輸送専用の自動車を生産していて、オースティンもそうしたメーカーの一つだった。しかし、初期のオースティン・のタクシーは「PCO」のテストを通過できなかったが、その後開発したタクシーで認可を得ることができた。そして戦後、オースティンはFX-1やFX-2と言ったテストバージョンを作り、1948年に完成版のFX-3をリリースした。2.2リッターのディーゼル式のガソリンエンジンを積み、最高出力は52ps(最終的には68ps)。とても高い耐久性を持ち、補修もし易い設計で、1958年まで使用され、生産台数は7,000台に達した。

 ペイントされたFX-4(ウェストミンスター教会前にて)

 オースティンは、その後1958年にFX-4を発表。オースティン社は、このFX-4のボディ製造を任せていたカーボディーズ社に、1979年正式に車の生産権を譲渡した。こうして、FX4の工場マークはオースティンからカーボディーズに変わった。しかし、カーボディーズ社やLTI(ロンドン・タクシー・インターナショナル)がリリースした一部の車種は、依然としてオースティンから発展したローヴァーのエンジンを採用していた。1989年にLTIが新型のFX-4「フェアウェイ」をリリースした時に、エンジンは四速オートマティック・トランスミッションと組み合わせた日産の2.7リッター・ディーゼルエンジンに切り替えられた。FX-4型のタクシーは長く愛され、1997年まで生産された。
 さて、LTIは、新しいロンドン・タクシーの開発に着手していた。そして1997年10月14日に開催されたモーターショーで、ついにTX1と名付けられた新型のロンドン・タクシーが発表された。デザインは、FX-4の輪郭を残しつつ、しかも現代的なデザインとなり、乗り心地も向上し、安全性、利便性も高いタクシーとなっての登場。エンジンは、依然として日産の2.7リッターディーゼルであったが、排気ガスの排出量を30%も削減して、全ヨーロッパの排気ガス規制をクリアーしている。
 ちなみに、2000年にはLTIはイギリスの全タクシー市場の80%を占め、イギリス最大のタクシー会社となっている。当然、この新型のTX1もロンドン・タクシーの主流となったのである。
 ロンドン・タクシーは、昔から世界でもファンが多く、一部が外国市場に輸出されている。自家用車としては決して安くはないが、日本でも観光地やホテルで送迎用に使われたり、世界中で愛好家達に大切に乗られたりしているようである。

P.S.「ちょっと一言」…日本のタクシーを個性豊かにするには!?
 何回か述べているのだが、日本のタクシーには個性が感じられない。では個性豊かにするには、どうしたら良いのだろう?世界で有名なタクシーと言えば、N.Y.のイエローキャブと、イギリスのロンドン・タクシーだろう。両方に共通しているのは、統一感である。イエローキャブは、"黄色"と言う色で統一されている。ロンドンタクシーは、車両自体が統一されていてすべてクラシックなイメージ。一方、日本は車種も色も模様も(つまりすべてが)バラバラ。せめて、色と模様ぐらい統一すれば、とても印象的になると思うのだが。
 ずらっと並んだ同じデザインのタクシー
先日、麹町の日本テレビの前を歩いていたら、停車しているタクシー十台ほどが、全部同じ"パステル・グリーン"の車両だった(理由は知らないが、都内各地から集まっているようだった)。日頃、バラバラの模様のタクシーが並んでいるのしか見たことしかないので、とても強烈な印象だった。日本のタクシーも、全部真っ赤にするとか、青にするとかすれば、もっと印象深くなるだろうなぁ。もっとも、「タクシーなんて別に個性的じゃなくていいじゃん」と言われてしまえばそれまでだし、タクシー会社の数があまりに多いので、まあ、無理なんだろうなぁ…。逆に、一台残らず全部違うデザインにしてしまうとか?…あぁ、これはもっと無理か。

追記:2005年8月、千葉県内某所にて、自家用車として使われているFX4を見ました!!とても珍しいですね~。



 マイ・コレクションより"FX-3型"

 マイ・コレクションより"FX-4型"

 マイ・コレクションより"二階建てバスとロンドンタクシー"



参考・引用文献
カーコレクション No.84          (デル・プラド・ジャパン)


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