フェラーリ ３４８、F３５５、３６０モデナ
(2008年3月16日記載)
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前回のランボのガヤルドに引き続き、紹介するのはスモール・フェラーリ達である。まあ、スモールと言ったって、僕にしたら随分とビックでヘビーで高価なんだけどね。以前、既に２４６ＧＴや３０８ＧＴ、２８８ＧＴ、３２８ＧＴなどのスモール・フェラーリには触れたので、今回はＦ３４８、３５５、３６０と言う比較的最近のスモール・フェラーリ達を取り上げたい。
前も書いたかもしれないけれど、１２気筒エンジン以外のフェラーリを｢小物｣と軽視したり、認めないと言う頑固なマニアや専門家が未だにいるらしいが、スモールフェラーリは、今やフェラーリ社経営の屋台骨を支えるマシンである。３４８tb＆tsは、３２８ＧＴＢ／ＧＴＳの後継車として、１９８９年のフランクフルトショーで登場。エンジンは、ＤＯＨＣの３２バルブ９０度Ｖ型８気筒エンジン。排気量は３,４０５cc(３.４リッター)で、出力は３００ps。シャシーはモノコックで、これはフェラーリ初採用である。サスペンションは、前後ともダブルウィッシュボーン。ブレーキは、前後ともサーボ・ディスク。ミッションは、５速マニュアル。日常的な使用から、スポーツ走行までをカバーしたパワーとハンドリングを兼ね備える。
エクステリアは、３０８や３２８の延長線上にあるが、テスタロッサをも髣髴とさせるピニンファリーナ・デザイン。サイズは、全長４,２３０mm、全幅１,８９５mm、全高１,１７０mm。車重１,５００kg。ボディはベルリネッタの３４８tbとデタッチャブルトップの３４８ts。ワンメイクレースである"３４８チャレンジ"が各国で開催されてイメージは向上し、世界的バブルの後押しもあって３４８は大ヒット車となる。
フェラーリ３４８スパイダー(フェラーリ美術館にて)
この後、より進化した３４８ＧＴＢ＆ＧＴＳに、１９９３年バトンタッチ。エンジンの排気量は変えず、吸排気系等を改良して３２０psのパワーを発揮する。また３４８シリーズには、オープンタイプのスパイダーモデルも１９９３年に追加された。デイトナ以来約２０年ぶりの、フェラーリのオープンモデルである。
しかしニュー３４８は短命で終わり、翌１９９４年にＦ３５５へと受け継がれる。
３４８チャレンジ(フェラーリ美術館にて)
１９９４年、Ｆ３５５が登場。Ｖ８エンジンは３,４９５cc(３.５リッター)にアップすると共に、Ｆ１で培った技術(※１気筒５バルブや８連スロットル、チタンコンロッド等)が投入されて、３８０psと言うビッグ・パワーが与えられた。モノコックフレームもより剛性を上げられ、サスも前後とも電子制御の可変ダンパー付きのダブルウィッシュボーン。ビックパワーを持ちながらも、エアコンやパワーステアリングまで装着されたＦ３５５は快適なスポーツカーとなった。
デザインは３４８の延長上にあるが、Ｆ３５５ではやや丸みが強調された。サイズは、全長４,２５０mm、全幅１,６００mm、全高１,１７０mmと３４８よりも極僅かに大きくなったが、車重は１,４４０kgと約６０kgの軽量化が図られた。このＦ３５５シリーズは、フェラーリ社の空前の大ヒット作となった。
フェラーリＦ３５５(千代田区内にて)
３５５のスパイダータイプは、遅れて１９９５年４月に追加された。
この頃、日本のホンダＮＳＸやポルシェ９１１ターボなどのライバルの驚異にさらされていたスモール・フェラーリであったが、このＦ３５５はこのクラスで無敵のスポーツカーとなった。
１９９７年には、３５５にＦ１タイプが追加された。フェラーリのＦ１マシンが採用していた所謂"パドルシフト"のセミＡＴが、３５５Ｆ１に装備された。完全オートマ・モードも選択できる半自動変速だった。Ｆ１マシンの先端技術を投入したこのＦ１タイプも、大ヒットとなった。
フェラーリＦ３５５スパイダー(千代田区内にて)
３４８に引き続き、このＦ３５５でもワンメイクレースの"Ｆ３５５チャレンジ"が行なわれた。３４８チャレンジ時代は、メーカー販売のチャレンジ・キットが組み込まれたが、３５５では初めからキットを組み込んだレース専用車がフェラーリ社で制作され、(レース参加希望者に)販売された。
Ｆ３５５チャレンジ(フェラーリ美術館にて)
Ｆ３５５の後を引き継ぎ、１９９９年ジュネーブ・モーターショーで３６０モデナが登場。先進技術を駆使し、大幅な軽量化対策が行なわれた(※１,４３０g！)。シャシーフレームやボディ、サスペンション類はアルミ合金、エンジンブロックやシリンダーヘッド、トランスミッションケースも軽合金製。結果、剛性がアップしたにも関わらず軽量なボディとなった。これは、フェラーリ社が本気で製造過程を大きく変えた結果であり、フェラーリ社の革命と言っても良い。
Ｖ８エンジンは、ストロークを長く取る事で３,５８６cc(３.６リッター)にアップし、出力は４００psと言うビックパワーとなった。サスは、４輪ともダブルウィッシュボーン。ブレーキは、ブースター付きのブレンボ製ディスク。従来のＶ８コンセプトを受け継ぎながら、Ｆ３５５をずっと上回る高性能が与えられていた。最高速度は、２９５km/hに達する。
フェラーリ３６０モデナ(港区内にて)
フェラーリ３６０モデナ(足立内にて)
エクステリア・デザインだが、スタイルは刷新されてＦ３５５までのイメージとガラリと変わった。伝統的なオーバル型のグリルに代わり、フロントにはダブルエアインテークが設けられた。スケルトン仕様のエンジンルームは、Ｖ８エンジンの美しいメカニズムが外側からみえるようになっている。人々がフェラーリに求める流麗な美しさを３６０モデナは持っているが、このスタイルはスムースな空気の流れが得られるようにデザインされていて、後期抵抗値は３.３５と言う数値を得ている。５,４００時間もの風洞実験を得た上でのデザインであり、ピニンファリーナの面目躍如たるデザインである。２０００年には、オープンのスパイダーも追加された。
サイズは、全長４,４７０mm、全幅１,９２５mm、全高１,２１５mmと、Ｆ３５５以前のマシンよりも一回り大きくなったが、車重は先ほど述べたように軽量化されて１,４４０kgとなった。
上からから見た３６０モデナ(エンジンが見える／品川区内にて)
一方インテリアは、シンプルだが個性的に仕上げられている。人間工学に基づいたシートは本革が奢られ、そのシートの中にもアルミパーツがふんだんに使われている。ちなみに、革の色は１２色から選べる。シート後方にゴルフバックを積載可能なスペースも設けられ、日常の実用性も併せ持っている。
３６０モデナは、様々なオプションが選択できるようになっている。Ｆ３５５から採用されたＦ１式オートマチックだけでなく、マニュアルミッションも選択できる。その他、電子制御式駆動、自動調整サスペンション、電動シートも用意されている。要望があれば、特別色のペイントも可能だと言う。
価格は、Ｆ１タイプが１,７６５万円、Ｆ１スパイダーが１,８９８万円だった(ＭＴタイプは、それぞれ少し安い)。価格も、間違いなくスーパーカーである。
後方から見た３６０モデナ(栃木県内にて)
３４８、Ｆ３５５に引き続き、２０００年から"３６０チャレンジ"も行なわれた。Ｆ３５５同様、初めからキットを組み込んだレース専用車がフェラーリ社で製作されて、レースシリーズ参戦希望者に限定販売された。車重は、更に２００kgも軽量化された。専用のマフラー等で排気系にモデファイを受け、ロムも専用品に交換されている。サスは、レーシングタイヤ用にセッティングされた。
３６０チャレンジ(フェラーリ美術館にて)
さて、最新のスモールフェラーリは、２００５年にＦ４３０に引き継がれているけれど、まだ街中で１回しか見ていないし、写真も良いのが撮れていないので、良い写真が撮影できたらＵＰします！
追記：２０１３年５月２３日、上野でようやくＦ４３０のまともな写真が撮影できました。
追記：２０１３年１１月１７日、隣町でフェラーリ４５８を見ました。
追記：２０１４年８月、隣町で４５８と４３０を撮影しました。
マイコレクションより"フェラーリ３６０モデナ"
マイコレクションより"フェラーリ３６０モデナ・スパイダー"
マイコレクションより"フェラーリＦ３５５ベルリネッタ"
参考・引用文献
エンツィオ・フェラーリ／跳ね馬肖像
ブロック・イェイツ著・桜井淑敏訳 (集英社文庫)
フェラーリ美術館説明プレート
フェラーリコレクション (アシェットコレクション)
国産・輸入車全モデル購入ガイド (ＪＡＦ出版)
他
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