ルノー 4CV&4(キャトル)&カングー

(2007年4月22日記載)

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 ヨーロッパのコンパクト大衆車と言うのは、個性的なものが多い。ミニしかり、フィアット500しかり、ワーゲン・ビートルしかり。そんな中でも、フランスの大衆車と言うのは、ヨーロッパの中でもより一層個性的に映る気がする。以前紹介したシトロエンの2CVしかり、そして今回紹介するルノー4CVや4(※キャトルと読む)しかり…。ルノー4は、運が良ければ今でも稀に市街地でも目にする事ができる。

 ルノー4CVは、ドイツのKdF(※後のワーゲン・ビートル)に大きく影響を受けた車で(※メカニズムもフォルムも酷似している・・・ホントそっくりだよ~)、1946年に完成した。4CVのプロトタイプがあまりにもKdF(ビートル)に似ていたことから「設計者はポルシェ博士?」と言う逸話があるが、ポルシェ博士は設計してはいない。
 ポルシェ博士と義理の息子が、1945年に拘束されてパリに送られ、その時にルイ・ルノーの邸宅の中で比較的自由に過ごしたことがある。また、ルノーのエンジニア達は、試験的な4CVが完成した時にその性能に満足せず、ポルシェ博士に、特にサスペンションのアドバイスを求めたそうだ。また、そんな訳で、ルノー4CVはポルシェ博士の伝説とペアになったらしい(※百歩譲って仮にポルシェ博士が設計していたと仮定しても、フランス人並びにルノーは絶対認めないだろうけどね・・・)。

 4CV(日野ノックダウン生産製/日野オートプラザにて)

 1945年2月、ルノーは国有化され"ルノー公団"となった。ルノーは、ルイ・ルノーによって1897年に設立された会社だが、1944年に投獄されたルイ・ルノー(戦中ドイツ人に協力したと言う理由)に代わり、レジスタンス・メンバーであったピエール・ルフォショーが新しい指導者になった。彼は、戦前からあるフェルナン・ピカールのアイディアのプロトタイプを開発する事を決断した。しかし、この車は「斬新過ぎ、小さすぎ、違いすぎ」との理由で、ルノーの社員は「成功しない」と思っていた。しかし、先見の明のあるルフォショーは、戦後の物不足や燃料の供給不足等を見越していた。
 4CVは、1946年9月にパリ・サロンで発表された。車長は僅か3,610mmだが、しっかりと4枚ドアを持つ。19psの水冷4気筒の760ccエンジンをリアに積み、最高速度は90km/hだった。しかし4CVは、すぐには販売されなかった。生産スピードが追いつかず、ようやく1947年7月に発売される。4CVは大ヒットし、1961年の生産終了までに110万台以上の4CVが生産された。
 ルノーは生産開始から生産終了まで、あまり仕様の変更はなかった。加えられた変更は、ほとんどエンジンに関するもので、1951年に排気量を747ccに落としたり(21ps)、1953年には42psの高性能エンジン(最高速115km/h)が導入されたりしている。ほとんど設計変更がなかったと言う事実が、いかに4CVの初期のコンセプトと設計が優れていたかを示している。
 4CVは、経済性・実用性に優れていた。4CVの後継車はルノー・ドーフィン(200万台以上生産された車!)だが、一方4CVの"経済性"に"多様性"を盛り込む事をコンセプトとして、1961年にルノー4が登場する。

 後方から見た4CV(日野生産製/日野オートプラザにて)

 4CVはリア・エンジン、リア駆動のRR形式だったが、新しいルノー・4はフロント・エンジン、フロント駆動のルノー初のFF形式を採用した。FF方式の方が、より大きな室内空間を確保するのに適していたからである。最初、このモデルには3つのタイプが用意された。3(トロワ)、4(キャトル)、4Lである。3と4の違いは直列4気筒OHVエンジンの排気量で、3のエンジンは603ccで、4と4Lのエンジンは747ccだった。出力は、それぞれ21psと26.5psだった。4と4Lの違いは、装備の違いと若干の外観の違いだった。4Lよりも更に上級の、"4シュペール"も加えられた。サイズは全長3,610mm(全幅1,490mm、全高1,460mm)、車重は540kgで、たいへんコンパクトかつ超軽量だった。
 サスペンションは、フロントが縦置きのトーションバー・スプリングを用いたダブルウィッシュボーン、リアが横置きトーションバーを用いたトレーリングアーム(尚このリア・サスの影響により左右のホイールベースが異なっていた!!)。


 ルノー4(山梨県河口湖近辺にて)

 1963年には、4シュペールと輸出仕様に、845ccエンジンが搭載された。翌年には、シュペールと同等装備の747ccの"エクスポート"がデビューし、シュペールは消えた。この年には、女性週刊誌とのタイアップモデルの"パリジェンヌ"も登場した。
 1965年には、ベーシックグレードの4も消え、バリエーションは、ルクス、エクスポート、パリジェンヌの3種となった。1968年には、別々だったフロント・グリルとヘッドランプが一体となり、ギアボックスは4速となった。尚、この年でパリジェンヌは消えた。またオープン・モデルの"プレン・エール"と言う名のバリエーションも加わった。
 1972年、4のベーシック・エンジンは、782ccに拡大された。3年後には、フロント・グリルがマイナー・チェンジされた。1976年には車種が見直され、LとTL、サファリの3タイプとなった。

 後から見たルノー4(港区赤坂にて)

 1978年には、4TLの上を行く、4GTLがデビューした。フロント・グリルやバンパー、ドア・ノブ等を、つや消しのグレーで統一しサイドモールなどで、現代的に装飾した。4GTLは、排気量1,108ccの水冷直列4気筒OHVエンジンを積み、出力は34psを発生。余裕のあるドライバビリティを可能にした。ちなみに、ブレーキは前がディスクで後がドラム。この年をもって若者向けのサファリが消え、4はL、TL、GTLの3グレード構成となった。このままの体制で1980年代に突入する。
 1983年にはベースエンジンを850cc、1987年には950ccと排気量を拡大した。ルノー4シリーズは、経済性・実用性が評価されていたが、1990年代前後から表面してきた安全性や環境対策と言う問題に対しては、さすがに1961年生まれのルノー4は対処できなくなり、惜しまれつつ1992年に生産終了し、ルノー5へとバトンタッチした。

 ルノー4GTL(地元市内にて)

 さてルノー4は生産終了してしまったが、その後、新たな姿として蘇ったのがルノー・カングーと言っても良いだろう(日本には2002年から輸入されている)。もちろん、メカニズムやスペックは現代の規格に沿った全くの別物で、エクステリアも現代的なデザインである。ベース車両はルーテシアで、全長3,995mm(全幅1,675mm、全高1,810mm)とコンパクトに仕上がっている。車重は、1,180kg。4m未満の小さなボディに、可能な限りの積載能力と空間利用術を盛り込むコンセプト。その広大な空間は、"無駄"にさえ感じるほどだと言う(笑)。リアドアは、左右両側ともスライド・ドアを採用。低いラゲッジ開口部は荷物が積みやすく、後席を倒せばMTBも積める。天井には、旅客機のようなオーバーヘッドコンソールも便利。すべて機能的で飾り気の無いのが特徴で、正に"道具"に徹しているが、それでも知的でお洒落な感覚に満ちているのはさすがにフランス車である。75psの1.4リッターの直列4気筒SOHCエンジンは、トルクフルでキビキビ走る。簡素だが掛け心地の良いシートは、長距離運転でも苦にならないとの事。

 ルノーカングー(銀座にて)

 2003年にマイナーチェンジされ、エンジンは95psの1.6リッターエンジンになり、パワーもトルクもアップした。フェイスリフトが行われ、ボディは全長4,035mmと僅かに拡大。2004には、5速マニュアル車の設定も加えられた。バットドアは、ハッチバックと、左右に開くダブルバックドアが選べる。価格は、195万円~205万円ほど。
 さすがに、フランスの旧車"ルノー4"を買うのは維持や管理を考えるとためらわれるが、経済性・実用性(積載力)そしてデザインを考えると、ルノー・カングーにはちょっとそそられる。いや、本音を言うと欲しい。せめて、一度、乗ってみたいな…。


2019年3月9日追記:ライド中に、ルノー4を見ました。














 マイコレクションより"ルノー4CV"


参考・引用文献
ルノー4CV & 4  (カーコレクション/デルプラド)
ガタピシ車でいこう!! 山本 マサユキ 作 (講 談 社)
国産・輸入車全モデル購入ガイド      (JAF出版)



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