コニー・グッピー

(2006年11月5日記載)

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 さてスバル360以前の、軽自動車黎明期の軽スモールカーを取り上げるシリーズの3回目。今回取り上げるのは、コニー・グッピー。

 コニー・グッピーは、日本初の軽乗用車オートサンダルが発表されてから遅れる事10年、1959年に愛知機械工業から登場した。
 愛知機械工業の前身は、富士重工業と同じ飛行機屋。戦時中は愛知航空機と言う社名で、機体とエンジンを製造していた。戦後の1946年に、愛知起業と改称し、翌1947年にオート三輪自動車ヂャイアント号の生産に着手した。フライング・フェザーのページでも触れたが、ヂャイアント号はオートサンダルを作った中野自動車工業が製造・販売していたが、いくつかの経緯(※省略します)で同社に製造・販売権が移譲された。
 このオート三輪で業績を伸ばした愛知起業は、1952年に愛知機械工業と改称、業界第4位の生産・販売量にまで達した。市場の需要がオート3輪から軽3輪に移行すると、愛知機械工業も、1959年3月に"ヂャイアント・コニー"を発売した。359ccのエンジンを積む軽3輪だった。この車は、軽3輪で初めて丸ハンドルを採用したと言われる(※厳密にはフジキャビンが最初とも言われる)。ダイハツミゼットやマツダのK360から遅れての発売だったが、1961年まで生産された。
 1959年の第6回全日本自動車ショウで、愛知機械工業は軽4輪ピックアップトラック"初代コニー360(AF3)"を登場させた。シート下にエンジンを搭載すると言う珍しいレイアウトだった。搭載された354cc強制空冷4サイクル2気筒OHVエンジンの出力は、19ps。翌1960年には、ライトバン(コニー360AF)も追加された。エンジンパワーは18.6psで、2~4人乗りかつ積荷積載量は250~150kgだった。
 1962年の第9回全日本自動車ショウに、愛知機械工業は初めて軽乗用車の"コニー360コーチ"を参考出品した。これは市販化には至らなかった(…残念)が、この時開発された水平対向2気筒OHVエンジンが、フルモデルチェンジされた"コニー360"に搭載され発売された。

 コニー・グッピー(石川県・日本自動車博物館にて)

 愛知機械工業は、1961年にユニークな発想の軽自動車のピックアップトラック"コニー・グッピー(AF8)"を発売した。開発は1959年から始まり、軽乗用車とスクーターの間を埋めるミニマムカーとして位置付けられ、3輪自動車として開発される予定だった。しかし、並列の二人乗りでの走行安定性を考えて、4輪車に設計変更となった。
 自社製の199ccの2サイクル単気筒エンジンがミッドシップに搭載され、トルコン(※岡村製作所製)を組み合わせて2ペダル(※アクセルとブレーキの2ペダル)のドライブを可能にした。つまり、オートマチックだったのである(!)。全長は、僅か2,615mm(全幅1,265mm×全高1,290mm)。車体は少しでも軽くするために、サスペンションにゴムを使ったトーションスプリングが採用され(しかも4輪独立サス!)、重量は僅か290kgに抑えられている。タイヤは、極小の8インチ。たった199ccの11psの単気筒エンジンだったが、それでも大人二人と100kgの荷物を運んで、健気に走ってくれた。最高速度も80km/hに達し、小回り性能も抜群の、当時は世界にも類のない小さな高性能車として有名だった。
 デザインはなかなかに洗練されていて、細かな部分にもデザイナーの工夫が見られた。ピックアップトラックでありながらも、乗用車を基調とした独特のデザインのボディラインは、人々の注目の的となった。ドアは、後ヒンジの前開きタイプ。
 販売価格は22万5千円だったが、今ひとつ販売台数が伸びなかった。1962年の製造終了時には、グッピーの一部を改良し、日産自動車より"ダットサンベビー"の名称で、遊園地用の乗り物として"子供の国"に寄贈されたそうな…。
 コニーの愛知機械工業は、1962年に日産と技術提携を交わした後、1964年には実質的な子会社となった。1970年11月には、自主開発・生産車から完全撤退して、日産サニートラックやバネットトラックの生産を行う事となる。

 フライング・フェザー、フジキャビン・スクーター、コニー・グッピー…軽自動車の黎明期に登場したこれらの車達は、何物にも似ていない車ばかりで、個性的で、面白く、そして美しい。いずれも販売台数は僅かで、世に認められる大衆車とはなり得なかったが、後人達に道を作った先駆者として、その名前を日本の自動車史に刻むに足る名車達である。













参考・引用文献
かわいいクルマで遊びたい         (二見書房)
ガタピシ車でいこう!!風編 山本マサユキ著 (講談社)
スバル・ホームページ/カー・ヒストリー
日本自動車博物館説明プレート


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