ダイハツ・オプティ・ビークス

(2006年5月21日記載)

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 ここのところ、日本の軽自動車を連続で取り上げているが、奇しくもタントに引き続き連続でダイハツの軽自動車の紹介になってしまった。しかし、どうしてもこのオプティ・ビークス(Beex)だけは取り上げたかったのだ。

 タントのところでも述べたが、日本の軽自動車は基本的な方向性として、実用性重視、言い換えれば軽の規格の中でどれだけ荷物を積めるかという方向で開発・生産が続けられてきたと思う。実用性を考えれば、1BOXカー、ないし2BOXカーの方が遥かに効率が良いに決まっている。過去の例を見ても、軽自動車で3BOXレイアウトを採用するのは、カプチーノやコペンといった2シータースポーツカー等僅かな軽カーのみだ。ところがこのオプティ・ビークスは、贅沢にも四人乗りで3BOXのハードトップセダンとして世に登場したのである。積載量を考えたら、こんな無駄なスペースの使い方は無い。しかし、「血迷ったか、ダイハツ!」等と言ってはいけない。人の記憶に残るアートと言うものは、時には斬新過ぎて人々には理解されがたいものなのだ(※それは、企業の利潤とは別の次元の話しだが)。むしろ、こんなオリジナルな車を出してくれたダイハツに、我々は感謝しなければいけない。ビークスは、個性的な車として僕の脳裏にしっかりと焼き付いているのだ。


 オプティビークス(事務所近辺にて)

 実は軽自動車の4ドア車と言うのは、オプティ・ビークスが初ではない。軽自動車初の4ドア車の栄冠は、1963年9月に登場したマツダ・キャロルの4ドアバージョンに冠せられるだろう(※マツダ・キャロルについては今後このコーナーで取り上げる予定)。しかし、極最近の軽自動車としては珍しい4ドアハードトップセダン。下の写真をよく見てほしい。小さいながらも、しっかりとトランクがついているのだ。僕は、この申し訳程度のトランクの付いたビークスが気になって仕方なく、ダイハツのディーラーに行って運転席と後席に座り、帰りにカタログをもらって帰ってきた。トランクは小さいが、全体的なフォルムはとてもバランスが取れていて、美しい車だと思う。特に、上面から見た造形が美しい。

←ビークスのトランク

 こう言う車は性能を云々する車ではないが、そこは現代の車だから日常生活に不満の無い性能と装備を持っているのは言うまでも無い。基本的には、ミラとシャシー等の基本的なコンポーネンツを共有する。1998年11月のデビュー当時には、ノーマルセダンタイプとビークスシリーズだったが、2000年にはビークス(Beex)シリーズとクラシック(Classic)シリーズになった。
 エンジンは、TOPAZシリーズ3種類。直列3気筒DOHCターボエンジン(64ps)のビークスS、可変バルブタイミング機構付き直列3気筒DOHCエンジン(58ps)のビークスLとクラシック、直列3気筒SOHCエンジン(48ps)のクラシックLスペシャル。駆動方式は、FFと4WDを選べた。ミッションは、CVT(燃費重視)、4AT(ロックアップ機構付き)、3AT、5MTのいずれかとの組み合わせ。サスペンションはフロントがストラット方式、リヤはトレーディングアーム(4WDは3リンク)方式。ダイハツの高性能エンジン"TOPAZ"シリーズとあいまって、優れた走行性能を実現している。燃費は、エンジンやミッションの設定によって異なるが、15.6~23.0km/Lと言う悪くないなかなかの燃費。

 安全装備として、全車に運転席エアバッグ搭載し、衝突時にドアロックが解除される衝撃感知安全システム、フォースリミッター&プリテンショナー付きシートベルト等が標準で装備された。また、1998年11月から発売されたこのオプティのシリーズは、衝突安全ボディTAF(Total Advanced Function)ボディを採用しており、高い衝突安全基準を達成している。

 後から見たビークス(事務所近辺にて)

 エクステリアは、ビークスSは14インチのアルミホイールを装備し、新意匠のリヤライセンスガーニッシュ(メッキモール付き)やリヤコンビネーションランプを採用した。クラシックは、メッキパーツの専用バンパーやグリルを採用していた。インテリアは、ビークスSがシルバー塗装のセンタークラスター採用し、クラシックはウッド調のセンタークラスターを採用し、ウッドステアリングを標準装備していた。運転視界は悪くない。

 軽自動車と言う限られた規格内での4ドアセダンなので、1BOXや2BOXの軽自動車に乗りなれた身には、たいへん狭い室内と荷室に感じるのは仕方ないところ。しかし、荷物と人の空間が別々と言うのは、近年の4人乗り4ドア軽自動車では唯一であり、空間確保志向の軽自動車とは一線を画する希少な存在。その価値を認め、"良し"とすれば、この車に乗る意義は決して小さくない。
 ボディカラーは、ブラックマイカ、シルバーメタリック、メイプルレッドマイカメタリック、パールホワイトの4色が設定されていた。価格は、81万円台~129万円台だった。

 クラシックタイプ(地元市内にて)

 国産車は、軽自動車に限らず「売れた車に右に習え…」的な似通った車が増殖してしまう。それは車好きとしては、たいへん悲しい。そんな意味で、唯一無二のオプティ・ビークスのような車の存在は凄くうれしい。余計なお世話だが、オプティ・ビークスのオーナーには、この車を大事に乗ってほしい。そしてそのような心配をする必要も無く、僕が街中で見るビークスやクラシック達はたいへんきれいに乗られているのであった。

追記:2009年10月、ワークス仕様にしている珍しいオプティビークスを見ました。How Original ! Very Good !













参考・引用文献
Kカースペシャル  (立風書房)
オプティビークス・カタログ
ダイハツ・ホームページ
ヤフー自動車ホームページ