スズキ・スイフト

(2005年12月25日記載)

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 最初に一言。この車は、とても良い。もし、今年の今月の正に今日、車を買い換えるなら、これを買うかもしれない。それぐらい良い。シボレー・クルーズのところでも述べたが、スズキと言う車は過小評価されている気がする。軽自動車をメインに作っているメーカーと言うことで、確定的な理由がないまま"なんとなく"過小評価している人が多いのではないだろうか。高価なメルセデスのような大きい車を、多くの人が良い車として念頭においてるためかもしれないが、限られた製造コストで性能の良い小さな車を作る技術と言うのは凄いと言う事が理解されていないのかもしれない。あのコストの鬼、大メーカーのトヨタでさえ、軽自動車製造で利益を出すのは困難だと言われている(トヨタがダイハツを傘下に収めるのは、そう言う意味で意義のあることなのである)。スズキと言うメーカーは、開発と製造コストのバランスを取りながら、次々と新車を投入してくる。正にコンパクトカーのエキスパート。長年、軽自動車販売No.1を維持したのは、伊達ではない…決して、偶然やラッキーではない。時には、他のメーカーが出さないような斬新かつ個性的な自動車をズバッと出してくる。ジムニー、カプチーノ、ワゴンR、ラパンをはじめ数々の面白い車を世に送り出し、世間の車好きを驚嘆させる。没個性的な自動車が多い国産自動車にあって、こう言うスズキの姿勢も大好きだ。

 スズキ・スイフト(品川区内にて)

 今回紹介するこの新型スイフトのルーツは、2002年のパリ・モーターショーと2003年のフランクフルト・モーターショーで出展されたコンセプトSと言う車だ。3分割式の回転電動格納式のオープントップ・システムを採用したユニークなコンセプトカーで、こんな車が市販されたら楽しいだろうなぁ…と思わせる4人乗りの2ドアタイプのオープンカーだった。同じ2003年の東京モーターショーでは、コンセプトS2として出展された。
 コンセプトSのデザインをほぼそのまま踏襲し、2004年11月に登場したのが新型スイフト。ほめたいところはいっぱいあるのだが、まず走りからほめようと思う。エンジンは、基本的に2タイプある。1.3リッターと1.5リッターの直列4気筒DOHCエンジン(VVTエンジン)で、パワーはそれぞれ91psと110ps(他に先代スイフトのプラットフォームを使用したスポーツタイプがあるが、ここでは割愛)。FFと4WDがあり、1.3リッタータイプはマニュアル車も選択できる。ベースのプラットフォームは新開発され、新設計ボディは高い衝突安全性能を持っている。4輪ABSとブレーキアシストは、標準装備。走りは欧州のドイツの道などで磨かれ、正にドイツ車に乗っているような感覚に近い。僕は、今年3月にスズキのディーラーにて、1.5リッタータイプのスイフトに試乗させていただいた。周囲の道路を15分ほど走行したが、とてもしっかりしたドライブ・フィールを味わえた。室内は静かで、乗り心地もしっかり感があり、加速力も良い。ハンドルを切った時の感じもとても良く、ステアリングから情報が伝わってくる感じだ。1.3リッタータイプは試乗していないが、日常の足としては十分だと言う事だ。両タイプとも、峠道を果敢に攻めるようなスポーツカータイプではないが、十分にレベルが高い走りを提供してくれる。現在スポーツタイプは、先代スイフトのスポーツ・タイプ(※WRCラリーでも活躍した)だが、近い将来スポーツタイプの新型スイフトが登場してくれるとうれしい。
 …等と思っていたら、なんとつい先日の9月、スイフトのスポーツが発売された。専用エンジンを積んで、専用の足回りやエクステリア、インテリアで身を固めての登場だ。エンジンは、鍛造ピストンやピストンクーリングジェット等、モータースポーツから得たノウハウがたっぷり使われた1.6リッターのエンジンで、125psを発揮する。気持ちの良い吹き上がりと、パワーフィールを備えていると言う。シフトは、5MTと4ATから選べる。専用の足回りは、モンローのショックアブソーバーを採用するなどして、乗り心地と操縦安定性を高次元でバランスさせている。
 エクステリアデザインについては、前部の印象はあまり変わらないが、後部の印象はかなり変わった。2本出しマフラーとなり、それに伴ってバンパーのデザインも変更され、ルーフエンドスポイラーが装着されている。インテリアは、専用のセミバケットシートを装着している。オプションでレカロも用意されているが、専用のセミバケでも十分だろう。スイフト・スポーツ…いいなぁ…欲しいな、これ。

 後方より見たスイフト(僕が試乗したスイフト)

 走りと共に好きなのが、新型スイフトのデザインである。ヴィッツやマーチも凄いとは思ったが、スイフトは一歩その先を行っている気がする。全長は、3,695mm(全幅1,690mm×全高1,510mm)。最近大型化傾向のあるコンパクトカー市場にあって、ほぼマーチと同格のこのコンパクトさはグッド。イタリアでデザインを学んだと言う、重心が低くワイドなスタイリング、スポーティでダイナミックなフォルムは、いかにも走ってくれそうな雰囲気を持っている。スズキのデザインは時折僕を唸らせるが、このスイフトのデザインは、どこか僕の好みの"ツボ"にはまる魅力で溢れている。前から見ても、横から見ても、後ろから見ても、美しくかっこ良い("可愛い"のとは違う)。このデザインだけでも、スイフトに乗る価値があると思える。

 エクステリアだけでなく、インテリアも落ち着いた上質感としっかり感があって僕は好きだ。ダッシュボードやインパネがとても渋いのに、お洒落感もある。ドアを開けて、運転席に座る。ドアの開閉音が、メーター・パネルが、ハンドルが、シフトノブが、それら一つ一つのパーツが統合的に私に働きかけ、「これから走るぞ」と言う気にさせてくれた(もちろん実際に走ると、もっと楽しい)。
 デザインに凝ったからと言って、実用性に難があるわけではない。後部座席も、大人二人がしっかり乗れる(※規定乗車人数は5人)。荷室も、平均以上の広さを持っている。もちろん後部座席は畳める(6:4分割式)ので、多量の荷物も積める。

 デザイン、走行性能、室内空間を、高い次元で融合させた新型スイフト。ドイツやイタリアで磨かれたこのスイフト…国産車と言うよりは、もはや欧州車に近い。この素晴らしい車が、価格101万円ほどから購入でき(もっとも高いスポーツでも161万円ほど)と言うのはうれしい限りだ。このスイフトの登場前は、プジョー206やワーゲン・ポロ等に目が向いていたが、それらはスイフトに比べたらずっと価格が高い(206やポロの最下位グレードでさえ180万円近くするのだ)。子育てが終わって、今乗っているekワゴン・ミフィールがその使命を終えたら、次はスイフトのような車を買いたい。

 このスイフト、色んな意味で素晴らしい車だと思っているのだが、もしこれが日本であまり売れないようだったら、「日本人のセンスって、その程度なのかなぁ…」と悲しくなってしまうだろう。それぐらい良い車だと思う。ぜひ売れて欲しいと思っている車の一台なのだ、スイフトは。

…などと思っていたら、やはりスイフトは、日本カー・オブ・ザ・イヤーで特別賞の「Most Fun」を受賞した。それに、月平均4千台以上売れているとの事。まだまだ日本人の車に対するセンス、捨てたものじゃない!と一安心。














 マイコレクションより"スズキ・スイフト・スポーツ"

 マイコレクションより"スズキ・スイフト・チョロQ"

2012年1月29日追記:雑誌の懸賞で、スイフトのマウスが当たりました。
 


参考・引用文献
スズキ・スイフト・カタログ
2003年東京モーターショー特集 (モーターマガジン社)
国産&輸入車購入ガイド     (JAF出版情報)

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