トヨタ・パッソ&ダイハツ・ブーン
(2005年11月20日記載)
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ここ数年の国産コンパクトカー市場は、とても元気が良い。トヨタ・ヴッィツから始まった日本の新コンパクトカー路線は、ホンダ・フィット、日産・マーチと快進撃を開始。マツダやスズキも、ベリーサや新型スイフトでそれに続いている。そして、昨年後半に登場したトヨタ・パッソとダイハツ・ブーン。パッソ&ブーンが登場した時、「おお、またまたグッドなコンパクトが登場したな…」と感心した。
トヨタ車としては、ヴィッツよりも小さいトヨタ最小コンパクトカーとなる。軽自動車をメインに作っているダイハツにとっては、軽からのステップアップを望むユーザーにちょうど良い存在のコンパクトカー。
トヨタ・パッソ(市内にて)
最近のトヨタのコンパクトカーは、すべてヴィッツのコンポーネンツをベースに作られているが、このパッソ&ブーンはダイハツが開発したコンポーネンツがベースになっている。自社で作った車を相手先ブランド名で販売するOEM供給(例えばスズキが作ったMRワゴンを日産がモコとして販売する)と違い、このパッソ&ブーンは完全にトヨタとダイハツの共同開発車である。トヨタが企画・デザイン・品質管理を行い、ダイハツが技術開発を担当した。コンパクトカー造りで勢いのあるトヨタと、軽自動車作りの歴史とノウハウのあるダイハツのコラボレーションによって、新しいコンパクトカーが誕生したのである。デザインや価格設定は、パッソもブーンもまったく同じ。その違いを見分けるのは、トヨタとダイハツのエンブレムのみ。
ダイハツ・ブーン(千葉県佐倉市にて)
性能に目を向けてみよう。エンジン設定は、水冷直列3気筒DOHCの1リッターエンジンと、水冷直列4気筒DOHCの1.3リッターエンジンの2種類。それぞれ71psと90ps。4WD設定があるのは、1リッタータイプのみ。トルクは1リッターカーとして普通のものだが、走り出しは軽快。高速走行等でのゆとりが欲しければ、1.3リッターがお勧め。運転すると、自然でスムースなステアリング操作感が味わえ、乗り心地は軽快でしなやか。運転初心者でも、気持ちよくリラックスして安心して乗れる。回転半径は僅か4.3mで、狭い都会の路地でも扱いやすいだろう。性能面では、過不足の無い仕上がり…との事です。
デザインも、なかなか良い。全長3.595mと言う超コンパクトな限られたスケールながら、上手く押し出し感を表現している。特に後方から見たフェンダーの押し出し感は、迫力がある。タイヤを車体の4隅に配したデザインは、どっしり感も醸し出している。車の前面の"顔"は、コンパクトカーにありがちな"可愛さ"だけではなく、睨みがきくような"いかつさ"も表現しているとの事。全体的には、近未来的な印象を受ける。
次に、室内に目を向けてみよう。車体の寸法はヴィッツよりも小さいが、室内空間容量はヴィッツよりも広いのである。その空間は、子供を抱えるファミリーユーザーが使いように工夫されている。僕がもっとも「良いなぁ」と思っている装備は、標準装備のジュニアシートだ。今、うちの車は幼児用のチャイルドシートを2つも付けているが、子供達がもう少し大きくなるとジュニアシートが必要になるだろう。これが初めから着いているのは、子供を持つ親には助かる(ただしジュニアシートは、左側後部座席のみに装備)。またロングクッションモードがあり、後部座席を前にせり出させて全部座席後面との隙間を埋めて、長さ720mmの空間を生み出せる。この機能は、停車時の赤ちゃんのオムツ替え等に便利だろう。エアコンは除菌ができるイオン発生器付き。車内には、収納ポケットがあちこつに設けられている。ティッシュボックスが納まるグローブボックスはグッド。Fパッケージ車には、助手席シートにアンダーボックスが付く。これも便利。荷室には、A型ベビーカーも収納できる。小さな子供を抱えるファミリーユーザーにとっては、至れり尽くせりの機能満載と言った感じ。
運転席周りのインテリアデザインは、いくつかの特徴がある。最大の特徴は、ステアリングと一緒に上下するコラムメーター。メーターがステアリングに直付けしてあり、ハンドルの位置を変えてもメーターが見にくくならない。これは、日産のスカイラインやフェアレディZと同じシステムである。メーターパネル自体の視認性や品質感も良い。コラムシフトを採用して、前席ウォークスルーが可能である。コラムシフトは、ガングリップ式を採用していて、出っ張りが邪魔にならない。インテリアは総じてシンプルだが、機能性は高い。
パッソの後姿(台東区内にて)
コンパクトカーながら、これだけのデザインセンスと性能、機能を持ったブーン。実は、僕もダイハツのディーラーで(試乗こそできなかったが)ブーンの運転席と後部座席に座ってみたが、とても好感がもてた。これで高いのなら当たり前だが、これだけ詰め込んで安いのだ。一番安いグレードで94万5千円、最も高いグレードでも119万7千円。近年価格が上昇している軽自動車と比較しても、コストパフォーマンスは十分に高い。決して豪華な車ではないが、自動車本来の"道具としての車"として高いレベルにあると思う。この車は、日本国内だけでなく、アジアからヨーロッパに至る世界の市場でも十分に通用すると思う。
マイコレクションより"トヨタ・パッソ"
参考・引用文献
パッソ&ブーンのすべて (モーターファン別冊)
国産&輸入車購入ガイド (JAF出版情報)
他
TOYOTAパッソ&DAIHATSUブーンのすべて (ニューモデル速報 (第340弾))
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