フォード・フォーカス
(2005年8月28日記載)
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このコーナーで、アメリカ車(以下アメ車と略す)を取り上げるのは稀なのだが、その中でもコンパクトなアメ車の紹介は今回が初めて。アメリカと言う国は、ヨーロッパや日本と違い国土も道路も広く、国内で石油が産出されることもあり、経済性の観念が我々と違う。そんな訳で、アメリカにはコンパクトかつエコノミーな車が生まれる土壌が無かった。アメ車は(すべてそうだとは言わないが)コンパクトカー作りが苦手で、大きなボディをトルクフルなエンジンで走らせるタイプの車が多かった。そんな中、ヨーロッパでも大ヒットしたコンパクトなアメ車がある。それが、今回紹介するフォードのフォーカスである。
１９９８年のジュネーブ・ショーで登場(日本に導入されたのは２０００年)。ヨーロッパ市場には、４ドアセダンや３ドアハッチバックも用意されているが、日本に輸入されているのは５ドアハッチバックとワゴンタイプ(※でも、先日３ドア車を見ました。３ドアタイプは、なかなかカッコ良いです。下の写真参照)。５ドア車はパッと見はけっこう大き目のボディに見えるが、全長は４,１７０mm(全幅・全高は１,７１０mm×１,４８０mm)と意外とコンパクトなのである。重量は５ドア２リッタータイプで、１,２４０kg。直列４気筒ＤＯＨＣエンジンを積み、１.６リッタータイプは１００psで、２リッタータイプは１３１psを発揮する。ドライブ感はアメ車でなく、もはやヨーロッパ車(なぜならヨーロッパ・フォードの作品だからだ)。フットワークは良く、ブレーキ性能は同クラスの日本車を上回る。価格は、現在約２１４～２６６万円。
フォード・フォーカス３ドア(浅草橋近辺にて)
キャビンは、コンパクトクラスとして不満はない広さ。アイポイントが高い乗車位置で、広々とした運転視界が得られる。インパネは、３角形を多用し複雑に交差させるけっこう挑戦的かつ斬新なデザインで、好き嫌いが分かれるかもしれない。快適装備は、日本車並みに充実している。
フォーカスは、ヨーロッパとアメリカの両方でカー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。さすが世界のフォードが本気で作った世界戦略車、コストパフォーマンスはけっこう高い。
フォード・フォーカス５ドア(秋葉原近辺にて)
２００２年にマイナーチェンジされ、顔付きががらりと変わった。２００３年には１７３psのエンジンを搭載したＳＴ１７０も登場(３ドア)。ＳＴ１７０は各部がチューンされ、走りは俊敏で、２００３年のＷＲＣの第６戦(アクロポリス)と第９戦(フィンランド)で優勝を果たした。ただし価格は他のグレードより高めで、３１５万円。２００４年には、エントリーモデルのＧＬＸに代わって、装備が充実したユーロ＋(プラス)が追加された。
余談だが、このフォード・フォーカスと言うクルマ、テリー伊藤や清水草一等は、一本筋の通った車として高い評価をしている。
フォーカスの後姿(自宅近所にて)
フォードには、フォーカスより更にコンパクトな"フィエスタ"と言うモデルがある。ヨーロッパでは２００２年に登場したが、日本には２００４年に導入されたばかりで街中ではまだあまり見かけない。こちらの全長は、３,９１５mm。エンジンは１.６リッター(100ps)のみの設定。ラテン・スピリッツとジャーマン・ヘッドがコンセプト(※理論的で冷静な"明晰な頭脳(ドイツ的)"と心から湧き上がる"熱い魂(ラテン的)"の両方みたいな意味だと思う)だそうだ。高い安全性能とスムーズな走行性能、素直なハンドリングが特徴と言うことらしい。フォーカスよりも全長が短いので、後席スペースは必要最小限。価格は、ＧＬＸが約１７８万円でギヤが約１９６万円。僕はフォーカスよりも、シンプルな外観かつコンパクトなフィエスタの方が好み。
今、アメ車の本国アメリカでのシェアは最低で、アメリカの自動車産業は危機に瀕している。彼らは、その根本的な原因をきちんと理解しているのだろうか。コンパクトカーやエコノミーな車が苦手なアメ車。２００４年３月のアメリカ国内での自動車人気ランキングのジャンル別トップは、８割が日本車だった。しかし、アメ車ではフォード・フォーカスがなんとか数少ないトップを獲得した。世界のフォードの対面を保った。しかし、フォーカスもフィエスタも、欧州フォード車なのである。環境問題や平和問題で、世界から孤立している大国アメリカ。僕個人は、一部のアメ車を除き、多くのアメ車に食指が動かない…繊細さに欠けたデザインが好きじゃない、あの馬鹿でかさが好きじゃない、あの燃費の悪さが好きじゃない、etc.(もちろんアメ車も多くの改善された部分があるのは知っているし、逆にこう言う大味な部分に魅力を感じるマニアの人もいますが、事実として全体的に売れていない)。米自動車メーカーも世界中のニーズをもっともっと吸収して物作りをしていかないと、アメリカ自動車産業界の未来は決して明るくないと思う。アメ車業界は、現在ふんばりどころ。
マイコレクションより"フォード・フォーカス・ラリー用(WRC2000型)"
参考・引用文献
国産＆輸入車購入ガイド (ＪＡＦ出版情報)
乗り物大好き・世界の車 (ＰＳＧ)
間違いっぱなしのクルマ選び
他
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