マーコス・ミニ

(2005年1月23日記載)

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 さてライトウェイト・スポーツカーを取り上げて今回で5回目だが、気が付けばずっと英国車ばかり取り上げている。やっぱりライトウェイト・スポーツカーと、英国はよく似合うと言うか、切り離せない関係にある感じがする(アウトバーンがあるヨーロッパ本国の車のように、ただ馬力と安定性があれば良いと言うお国ではないのだ)。そんなわけで、今回もイギリスのマーコス・ミニを取り上げる。
 この車のコーナーで一回目に取り上げたのがミニだったが、マーコスは"ミニ"をベースにしている。初めてこのマーコス・ミニの存在を知ったのは、西風のマンガ「GTロマン」でだった。マンガの中で、ロータス・セブンをぶっち切るマーコス・ミニが登場する(マンガの中のはJEM・GT)。そして実物を見たのが、妻の実家へ帰る途中の千葉県松戸市の"AUTO TRADING"と言うカー・ショップ。ウィンドウ内にきれいなマーコス・ミニとアルファロメオが展示してあって、いつも通り過ぎる度にじっくり見てみたいと思っていた。2004年の初夏のある日、時間のある時に店を訪問してみた。店長のA氏が快く迎えてくれ、色々話を聞くことができ、写真も撮らせていただいた。

 マーコス・ミニ(松戸市内・AUTO TRADINGにて)

 さてこのマーコス・ミニだが、英国のフォーミュラのチャンプのジェム・マーシュ氏と有名なカーデザイナーのフランク・コスティン氏の両名の力で、1959年に完成(マーコスと言う名は二人の名から取られている。"マー"シュと"コス"ティン)。この車はキット・カー(※組み立てるタイプの車)で、マーコス社を起こしたジェム氏は、3つの方針を示したと言われる。①必要なパーツは全てミニから流用できる事、②グラスファイバーのモノコックボディである事、③流用パーツは加工無しで装着できるモノである事・・・の三つである。
 キットカーゆえに同じ仕様の車は無いとも言われるが、おおよその性能を見てみよう。全長は3,050mmでほぼベースのミニと同じで(全高1,340mm、全幅1,410mm)、車両重量も僅か700kg。正に、ライトウェイト・スポーツカーである。当然、エンジンもミニのエンジンが使われる。
 カーボディのデザインは、今見てもかっこ良い。グラスファイバー・ボディの制作を、ジェム氏はマルコム氏と言う人に依頼する。このマルコム氏は、なんとあのACコブラのボディ等も作った人らしい。だから、このマーコス・GTのボディが美しいのも頷けると言うものである。
 マーコス・ミニは単に人気を博しただけでなく、1966年のル・マン24時間レースに出場した事もあり、最下位だが英国車として唯一完走して伝説となっている。こんな素晴らしいマーコスGTだったが、1970年代に入って英国を襲った不況で一時生産中止に追い込まれた。

 マーコスの後ろ姿(松戸市内・AUTO TRADINGにて)

 しかし、その後1981年に製造を再開。1991年には、マーコス・ミニ再生産も開始された。いずれにせよ、マーコス・ミニは日本ではもともと登録車両がたいへん少ないので、程度の良い中古車を探し出すのはたいへんな努力を要するだろう。正に、伝説のライトウェイト・スポーツカーである。

 フロントのアップ(松戸市内・AUTO TRADINGにて)













参考・引用文献
GTロマン(西風画/集英社)
AUTO TRADINGでの説明  他