モーガン・プラス

(2004年11月21日記載)

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 今回取り上げる"モーガン"は、とても希少だ。街中で見かけることは、まず皆無。"見かけない"と言う事に関しては、フェラーリやランボルギーニ以上である。かく言う僕も、街中でのモーガン撮影成功はたった一回のみ(それも小学校の時の話である)。誰よりも路上の車を執拗に観察し続けているカー・ウォッチャーの僕が見かけないのだから、本当に希少車なのだろう。今回は、この珍しいライトウェイト・スポーツカー"モーガン・プラス"について取り上げる。

 
モーガンのエンブレム

 さて、今後モーガンと言う車を取り上げる機会もないだろうから、モーガン社について軽くご紹介しておこう。日本ではなかなかお目にかかれないモーガンだが、本国イギリスでは、スポーツカーの歴史において主役的存在だった。1881年生まれのヘンリー・フレデリック・スタンレー・モーガンは、25歳の時に僅かな資金で自動車修理店を始めた。そして1909年、独自に三輪自動車(スリー・ホイラー)の開発に成功して、それをモーガン・ランナバウトと名づける。その後、改良版が大ヒットし、1912年にモーガン社を設立したのである。三輪車は基本設計を変えずに、1952年まで作られた。
 しばらく三輪車を作っていたモーガンだったが、1936年に4気筒エンジンを搭載したモーガン初の四輪自動車"モーガン4/4"が誕生した(4/4は、4気筒/4輪車の意味)。モーガン車は、大量生産方式を取らず一台一台手造りすると言う、世界でも数少ない製造方法を取っている。その分、細かく丁寧な製造が可能となっているのだ。

 モーガン・エアロ・スリー・ホイラー(石川県/日本自動車博物館にて)

 その後紆余曲折を経て、1950年に4/4の後継車種"モーガン・プラス4"が誕生。驚くべき事にシャーシー部は、なんと"木材"で組まれている(えっ!?木材!?驚いたでしょ?)。人手によって、一つ一つ部品が車体に組み込まれる。こうした手間は、値段では計り知れない。初代のエンジンは、2,088ccの直列4気筒エンジンを搭載し、出力68psを発揮した。全長は、3,560mmと(見た目の印象からすると)意外とコンパクト(車幅は1,420mm)で、車重も僅か862kgと軽い。このモーガン・プラス4は、ドライバーにかなりの力量(つまりドライビング・テクニック)が求められる。それが車のマイナス・イメージにならずプラス・イメージに働き、ファンを惹きつける魅力となっている。逆に言うと、この車に適応できれば、スポーツカーを操縦する楽しみが充分に味わえると言うことである。この後、エンジンはトライアンフのエンジンを積む等のバージョンアップを繰り返し、出力も90ps、100ps、104psと向上していった。プラス4の最速バージョンは、1961年から1968年にかけて生産されたスーパースポーツで、125psの出力を発揮し、8秒で100km/hに達した。最後のプラス4は、1969年12月に製造された。

 モーガン・プラス4(田園調布にて/小学校時代)

 1968年7月には、プラス8が誕生する。外形は、プラス4と見分けるのは難しいが、パワーは比較にならないほどアップした。ローバーの3.5リッターV8エンジンを積み、出力は160psを発揮。最高速度も、初期型から200km/hをマークした。シャーシーに長年使われてきた木材も、一部分を除いてスティール製になった。70年代、80年代と改良を続け、排気量も4リッターで190psにアップし(車体の軽さも手伝って)、現在世界でも屈指の加速性能を誇るスポーツカーの一つとなっている。1997年には、4.5リッターに拡大しパワーも220psにアップ。ボディには軽アルミニウム合金を採用する事で、935kgまで下がり、加速性能も一層向上した。しかし、相変わらずの手造り生産なので、生産ペースは週10台ほどで、納車まで6年かかったと言う話もある(笑)。
 1984年には、プラス4が130psのエンジン(フィアット製の2リッターエンジン)を伴って復活。1986年には、新しいローバー製の2リッター・エンジンを受ける(出力138ps)。
 こうして、未だに21世紀になっても、4/4、プラス4、プラス8がすべて製造され、販売されているのである。現在のモデルは、4/4のエンジンは121ps(1.8リッター直列4気筒DOHCエンジン)、プラス4は134ps(2リッター直列4気筒DOHCエンジン)、プラス8は190ps(4リッターV型8気筒OHVエンジン)。これだけ、車のモデルチェンジの早い世の中にあって、半世紀の長きに渡り(改良されているとは言え)同じモデルを作り続けているのは、敬服に値する。
 モーガンは、旧式のモデルを作っているだけではない。2000年に、BMW製の4.4リッターV型8気筒DOHCエンジンを搭載した、アエロ8と言うモデルを出している。出力は286psで、最高速度は257km/hに達する。ボディには軽アルミニウム合金をまとい、古きよき時代のクラシカルなデザインを現代風にアレンジしたそのラインは、新鮮でとても美しい。
 頑なに自分のスタイルを堅持し続けるモーガン社。世界で一社ぐらい、こう言う伝統的手法で生産を続ける自動車メーカーがあっても良いと思うのである。


追記:2005年6月、河口湖自動車博物館にて"モーガン・スーパースポーツ"を見ました。


追記:2007年9月、休日の通勤途中に、なんとモーガンを見ました!走行しているモーガンを見るのは、人生でまだ2回目!!停車したので、写真撮影の許可をドライバーさんに求めたら快くOKしていただき、気の済むまで撮影させてもらえました。タイプは、"プラス4+4"との事。超ラッキー!


追記:2014年8月4日、家族旅行で山中湖&河口湖に旅行に行った際、忍野八海の近くのセンターハウスでモーガンを見ました。このモーガンは、石原慎太郎がこよなく愛したモーガンで、日本に最初に輸入されたモーガンだそうです。















 マイ・コレクションより"モーガン・プラス4"

 マイ・コレクションより"モーガン・プラス8"

参考・引用文献
カーコレクション/モーガン・プラス (デル・プラド)
最新国産&輸入車購入ガイド   (JAF出版社) 他

巨匠が愛したフェラーリ女優が恋したモーガン―あの時代を駆け抜けていったセレブリティと名車の物語 (SAN-EI MOOK)

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