日産・マーチ
(2004年3月21日記載)
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最近の優れた国産コンパクトカー3台、最後の3台目の紹介は日産のマーチ。
今回紹介するのは三代目のマーチだが、初代と二代目もさらっと軽くご紹介。
初代マーチは、「心がウキウキ~、街にマーチがやって来る~」と言う近藤真彦のCMソングに載せてお茶の間のテレビに登場したのが、1982年。下の写真を見ても分かる通り、どことなくワーゲンゴルフを彷彿とさせるシルエットをしていた(もっともこの頃のコンパクト・ハッチバックカーは、だいたいゴルフに似ていた)。
初代マーチ(千代田区岩本町・現事務所近くにて)
初代は、3ドアハッチバックの1000ccのみだったが、その後、1983年に5ドア車、1985年にターボチャージャー、1989年にスーパーターボのバリエーションも増えていった。1987年には、キャンバストップも追加されている。
初代マーチ・キャンバストップ(地元市内にて)
二代目マーチは、1992年に登場。更に洗練され、初代マーチよりも丸みを帯びたデザインが特徴的である。二代目は爆発的なヒットとなり、飛ぶように売れた。そして、日本カー・オブ・ザ・イヤーと、RJCニューカー・オブ・ザ・イヤーの二冠を獲得した。それだけではない。ヨーロッパでも大人気で、日本車で初めてヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞もした凄い奴なのである。エンジンは、新設計の1000ccと1300ccの二種類で、3ドアと5ドアの二種があった。そして、5速MT、4速ATの他に、革新的な無段階変速ベルトドライブのN・CVTがあった。1997年には、マイナーチェンジもされた。
二代目マーチ(千代田区市ヶ谷・前事務所近辺にて)
古くからの友人も二代目マーチを買って、僕も何度か乗せてもらったが、とても良い車である。また、二代目マーチにはカブリオレタイプ(1997年登場)もあって、オープンエアーを満喫する事ができる(未だに町中で度々見かけることがあり、ちょっと羨ましい車の一台である)。他に、ボレロタイプや全長の長いBOXタイプも発売された。
二代目マーチ・カブリオレ(千代田区半蔵門近辺にて)
二代目マーチのボレロタイプ(市内にて)
二代目マーチBOX(ワゴン)タイプ(秋葉原近辺にて)
さて、いよいよ三代目マーチの登場であるが、僕が最初にこの車を見たのは、モーターショーの参考出品車の"mm"としてであった。その頃すでに、(下の写真を見ても分かる通り)今のマーチとほぼ同じデザインが出来上がっていた。
市販タイプが発売されたのは、2002年3月の事である。
モーターショー参考出品車"mm"(銀座日産本社ギャラリーにて)
ぱっと見た第一印象は、ワーゲン・ビートルやシトロエン2CVのような円を基調とした丸みを帯びたクラシックなデザインと、近代的なモダンデザインの融合、と言った感じだった。レトロなデザインが好きな僕は、「おお、こんな車ならぜひ乗ってみたい」と素直に思った。しかも、デザインが良い割りに、スペース・ユーティリティーがあまり犠牲になっていない。角の無い丸みを帯びたデザインに見えるのだが、よくよく見ると思ったより丸くないのだ。これが三代目マーチのデザインの凄いところである。スペース・ユーティリティーを追求すると、どうしてもティッシュ・ボックスを重ねたような四角い長方形型の車にならざるを得ない。デザイン優先で、丸い車にすると室内空間に無駄がでる。事実、ニュー・ビートルなどは、デザイン優先車として割り切っているので、後部座席のヘッドクリアランスは無いし荷室も狭く、実用車としては使いづらい。ところがニュー・マーチは、第一印象は丸いのだが、よくよく観察すると極限までボディ・ラインが四角形に近づいていて、室内スペースが意外と広いのだ(丸く見えるボンネットは、エンジンを収めるべくギリギリまで出っ張っている。後部のハッチバックも、デザインを損なわない程度にギリギリまで後退している)。全長は、2代目マーチより25mm短いのに、後席は先代プリメーラ並に広い。そしてA型ベビーカーが、楽に収まるラゲッジスペースを確保しているのだ(赤ちゃんがいる家庭は、このありがたみが分かるにちがいない)。
下の写真は、偶然ニュー・マーチとニュー・ビートルが並んだところを撮影したものだが、二台を並べてみると、ニューマーチがビートルほど丸くないのがよく分かる。これだけ室内空間を稼ぎ出しながら、丸みを帯びた美しいボディ・ラインにしていると言う点で、日産のデザイナーと技術者に対して惜しみない拍手と賛辞を贈りたい。ヴィッツとフィットとマーチは、僕の中で同率2位なのだが、ただ一点デザインに搾って言えば、マーチがダントツでトップである。
マーチとニュービートル(東神田・現事務所近くにて)
そもそも、このニュー・マーチは新型マーチとルノーの次期型コンパクトカーの共有プラットフォームとなるべく開発されたのだ。だから、ヨーロッパテイストに溢れているのも当然なデザイン。デザインとスペース・ユーティリティばかり誉めたが、メカの部分も進化しているのだ。1000cc。、1200cc、1400ccと3種類のエンジンを用意しているが、そのいずれもが、「超-低排出ガス車」に認定されている(出力は、それぞれ68ps、90ps、98ps)。最少回転半径は、わずか4.4m。軽自動車並である。走りは、多くの点においてフィットを除く(※スポーティなフィットの走りは別格)同サイズのライバル車達より、優位に立っているようだ。
その他、インテリジェントキーシステムとか、車速感知型のワイパーとか、6つのエアーバックとか、色々と凄いところがあるのだ。多彩な小物収納スペースなどの細かいところも、見逃せない。機能面だけでなく、人間の感性まで含めた使いやすさや、心地よさを追求している。
2002年秋には、「e・4WD」も追加された。後輪をモーターで駆動させる、新開発の4輪駆動システムなのだ。これがなかなか有用で、軽敏で頼もしい実力を持つらしい。スキーなどには、重宝しそうだ。
三代目マーチ(友人のマーチ)
前述の二代目マーチに乗っていた友人は、その後三代目のマーチに乗り替えた。それだけ、このマーチと言う車に惚れ込んでいるのだろう。僕も何度か乗せてもらったが、ホントに良い車。見ていても楽しい、乗っても楽しい車なのだ。
三代目マーチ・スポーツドレスアップ車(銀座にて)
三代目マーチのスポコンカー(秋葉原近辺にて)
ところで、僕は1年ちょっと前、子どもが生まれると言う事で、新たに買うファミリーコンパクトカーを探していた。夫婦でいくつかのディーラーを廻ったのだが、家から一番近い日産のディーラーにも行った。新たに発売されたモコとマーチを見るためだ(と言うより、買う気満々だった)。ところが、そのディーラーの中に入ると、店の人たちから「いらっしゃいませ」の挨拶もなく、店内には他にさほどお客もいないのに、どのスタッフも僕らを案内しようとしなかった。結局、カタログだけもらって(それすら時間がかかった)帰ってきたのだが、あまりの対応・サービスの悪さに、夫婦で「あの店で買うのは絶対によそう」と言うことになった。その後いくつかディーラーを廻り、とても対応の良かった三菱のディーラーでekワゴンの二百台限定車の割高のミフィールを買ったのである。日産は、買う気満々のお客を一人、自ら逃がしてしまったわけである…日産が、かつて低迷していた要因の一つをかいま見た気がする。ゴーン体制になっていくら車の性能やデザインが良くなっても、最前線の売る人が変わらないとダメなのじゃないかな…その店だけが、たまたまそうだっただけかもしれないけれど。
追記:2005年2月、新マーチのボレロタイプを見ました(日産本社ギャラリーにて)
追記:2006年12月、バンデンプラス風2代目マーチを見ました(千代田区内事務所近辺にて)
追記:2008年2月、マイクラC+C(※マーチのカブリオレ)を見ました(日産本社にて)
※後席をのぞきましたが、大人が座るのは無理です(^_^;;)。
追記:2008年2月、花咲かマーチを見ました(日産銀座ギャラリーにて)
追記:2014年8月、今更ながらですが、2010年にモデルチェンジした4代目マーチを撮影しました。
< マイ・コレクションより"日産マーチ"
マイ・コレクションより"日産マーチ(モーター内蔵・自走)"
参考・引用文献
最新国産&輸入車購入ガイド2003 (JAF出版社)
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