ホンダ・フィット

(2004年2月8日記載)

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 僕の中でのお気に入り最新国産コンパクトファミリーカーの2台目の紹介は、ホンダのフィット。
 フィットの話に入る前に、ホンダついてのお話し…"僕のホンダ論"をちょっと。僕が大学を卒業して初めて買った車が、ホンダのインテグラだった。その頃、僕はホンダの車が大好きで、ホンダの車以外の購入はちょっと考えられなかった。で、社会人になって、わくわくしながらホンダ・ベルノ店へ行き、ようやくクイント・インテグラを買ったのである(もちろんローンである)。その後も、中古車ではあるが、ビガー(※アコードの姉妹車)を買った。大学時代初めて買ったバイクが、ホンダCB50-JXだったし、当時の僕はプチ・ホンダ党であったと言える。
 高度成長期からバブル期にかけてのホンダの成長と言うか、勢いは目覚しかった。車の好調な販売に呼応するかのように、GPレースやF1レースなどの世界のメジャー・シーンで、ホンダ・マシン(もしくはエンジン)は素晴らしい活躍を重ねていった。ホンダは、小型車からスポーツカーまで魅力に溢れていた。大衆小型車のシビックやバラードでも、十分にホンダスピリッツを感じ取ることが出来たのである。ホンダは、販売の業績で日産を抜き、日本ではトヨタに継ぐ2位の地位を得るまでに成長した。
 ところが、いつからだろう…僕はいつの間にか、ホンダの車に魅力を感じなくなっていた。バブルが弾けてしばらく経った頃からだったろうか…ホンダイズム、ホンダスピリッツが僕の中でリアルに感じられなくなったのだ。トヨタや日産との違いが、一体何なのか分からなくなっていた。例えば、ホンダ・ロゴと言う車が発売されたのだが、以前シティやシビックで感じたワクワク感はそこにはなかった。車を好きになると言うのは、どこか異性を好きになるのと似ている。ドキドキ感、ワクワク感の感じられない車には魅力を感じない。と言う事は、その車にプロポーズしないと言うことである。ある雑誌で、モータージャーナリストが本音を書いていた。「今だから言えるが、ロゴは正直言って評価のしにくい車だった」と。車の評論家は、自動車メーカーの手前、あまり新車に対して批判記事を書けない(招待状が来なくなったり、取材しにくくなったり…色々あるようだ)。だから、この評論家は過去の話・後日談として、ロゴについて"う~ん、これを評価しろと言われてもなぁ…"と言っているのだ。誤解の無いようにフォローしておくともちろんロゴは実用車としては優れた車であるし、市場に出しても恥ずかしくない車である。しかし、魅力が感じられなかった。
 何故、そんなことになってしまったのか?バブルが弾けて、ホンダはコストの削減を図った。ロゴのような新車も従来のシャーシーやエンジンをベースに開発しなければならなかった。つまりボディは新しくとも、中身はほぼ既存のままだったのだ。これで、魅力を感じてくれと言う方が酷だろう。ホンダには、旧くはNやS、そしてシビック、インテグラ、アコード、ビート、NSX他数々の名車達を作った優秀な技術者達が大勢いるはずなのだが、彼らのスピリッツや技術は若い人々に継承されていないのだろうか?ホンダは、OJTが他より進んでいる企業なのではないのか?僕は、企業家としての本田宗一郎が好きで時折著書を読むのだが、本田宗一郎が生きていて、もしまだ現役の経営者だったら、お客さんに対してそう言う商品を提供しなかったのではないか、と思っている。

ホンダ・フィット(千代田区秋葉原近辺にて)

 その後、僕は長らくホンダに見向きもしなかった。と言うか、できなかった。ユーザーの要望(つまりニーズ)に合わせて、色々な車種を展開してくる。アンケートで取った最大集約数的なホンダ車と言うのは、僕には考えられない。いつの間にか、ホンダはニーズに合わせて車を作る企業になっていたのか?そう言う車は、トヨタや他の国内メーカーに任せておけばよいじゃないか?ホンダの車はニーズに合わせるのではなくて、自らニーズを作り出すところに真骨頂があるのではないのか?革新やチャレンジが、ホンダ・スピリッツではないのか?…そう言う思いが、僕の中にずっとあった。それが原因かどうかは分からないが、ホンダはいつしか日産に抜かれて2位から3位に下降していた。元プチ・ホンダ党としては、悲しいことである。
 そんなうやむやを晴らしてくれた車が、S2000やニューNSXではなく、"フィット"だった。ホンダは、元々MMMM(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)を提唱していたと記憶しているのだが、このフィットは、それを具現化したような車に思える。エンジンなどのメカの部分は最小限にして、人間や荷物を積むスペースを最大限にとる…それが、MMMM。それを突き詰めてしまうと、ティッシュボックスを積み上げたような直方体になってしまうのだが(事実、昔のワゴンはそんな形をしていた)、現代の社会では、そう言う車は、安全上からもデザインセンスの面からも、受け入れられなくなっている。そして、このフィットと言う車は、それをうまく体現している様に思える。わずか3.83メートルの全長ながら、男性の大人が4人乗っても余裕のスペースで、荷室も広い。フィットのラゲッジスペースは、ヴィッツ208リットルに対して、なんと382リットル。いかに広いかが分かる。後席を折り畳むと、フィットのウルトラシート(空間マジック)により、同クラス他車を圧倒するラゲッジスペース容量が確保できる。これは、燃料タンクをセンターのシート下にレイアウトすると言う、新たなる試みによって達成されたスペースである。最大限の車内空間を確保する為、メカ部分は信じられないほどコンパクトにまとめられている。
 車内を広くした分、エンジンなどのメカ部分が犠牲になったかと言うと、そんなことはまったくないのがフィットの凄いところ。1,339ccの水冷直列4気筒のホンダPGM-F1エンジンは、86ps/5,700rpmの出力と12.1kg.m/2,800rpmのトルクを発生する(後に1.5リッター110psタイプのスポーツモデルも追加された)。パワー的には一般的なレベルだが、そこはホンダ車、走りは大型のスポーティーカーのような乗り味。乗り心地は、硬めながら極めて高いボディ剛性によって重厚感がある。中低速域での力強さ、ステアリングのシャープさも見逃せない。そして燃費なのだが、なんとリッター23kmと言う超低燃費!常に革新性を追い求めてきた"ホンダ・スピリッツ"が、このフィットによって僕の元に戻って来てくれた気がする(もう少し早くこう言う車が誕生していれば、僕はエスクードを買わなかったのに…愚痴である)
 他にも、フィットについては言いたいことがあるのだが、あえてもう一言だけ言うとすれば、車体のデザインである。これだけ室内空間を広く確保し、メカの性能も犠牲にしないとなると、普通はボディのデザインに皺寄せが行くものなのだが、デザインが良くできている…ここは重要なポイントだ。先ほどの話に戻るが、異性にアピールするのには第一印象が大事だが、車も同じ。いくら中身(※性能)が良くても、かっこ悪ければ敬遠されてしまう。フィットのデザインは、なかなかがんばっている。室内が広くて、性能も良くて、カッコもそう悪くない。これぞホンダ車!

 ホンダ・フィット(自宅近辺にて)

 ユーザーと言うのは正直である。メーカー側がプレスで何を発表しようと、僕らには実はあまり関係ない。そりゃあ、CMも見るし、パンフレットや雑誌だって読む。けれど、車の良し悪しは、最終的に"車自ら"が物語る。その車を見た時のインスピレーション、乗り込んだ時の雰囲気、試乗して見た時のドライブ感覚…結局はそれで決まる。このフィットも、たたずまいからして自らの"存在"を語っている。だから、フィットが売れない分けがない。2001年6月にデビューし、発売1ヶ月の受注台数が4万8,000台!2002年には、なんと遂にトヨタ・カローラの連続No.1販売記録にストップをかけ、4~9月の6ヶ月間連続一位の座をゲット!元プチ・ホンダ党としては、溜飲の下がる思いである。がんばれ、ホンダ!

2008年1月追記:2007年のカー・オブ・ザ・イヤー受賞のニューフィットを早くも街中で見ました。
買ったばかりらしく、ピカピカでした。















  マイ・コレクションより"ホンダ・フィット"

参考・引用文献
最新国産&輸入車購入ガイド2003 (JAF出版社)
ホンダ・フィットのすべて    (モーターファン別冊) 他

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