コスモスポーツ

(2004年1月18日記載)

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 日本のスポーツカー、否、世界のスポーツカーの歴史において、決して忘れてはならない車がある。その名は、コスモスポーツ。東洋工業(現在のマツダ)が送り出した、世界初の2ローターのロータリーエンジン搭載スポーツカー。宇宙船のような近未来フォルムと、最先端技術が搭載されたメカニズム。東洋の小国・日本の一メーカーが、世界にチャレンジしたスポーツカー。それが、コスモスポーツ。

 コスモ・スポーツ(石川県/日本自動車博物館にて)

 ロータリーエンジンは、理論的には、スポーツカーにうってつけのエンジンだった…部品点数が少なく、軽量コンパクト、そして高回転型の性格。しかし、ロータリーエンジンを実用化するための開発は、困難を極めた。レシプロのエンジンと比べ、扱いにくい。
 1961年、東洋工業は西ドイツ(当時、ドイツは東西に分断されていた)のNSU社と、ロータリーエンジン開発で技術提携した。NSU社がロータリーエンジンの開発に成功していたためだ。契約上は、マツダ側がまったく不利な内容だった。NSU社の契約内容は、従業員8,000人分の給料に相当する契約料の支払い、東洋工業の取得した特許は無償でNSU社へ提供し、ロータリー車一台ごとにロイヤリティーを支払うと言う一方的不利な契約だったが、マツダは契約せざるを得なかった。ところがNSU社が開発したと言うロータリーエンジンが、実用には程遠いお粗末なエンジンである事が分かったのは、契約後の事だった…後の祭りである。完成には程遠いエンジンだったからこそ、NSU社は自社でロータリーの量産車を作らなかったのである。ここから東洋工業のロータリー47士の苦難の道程が始まる。彼らの努力は実を結び、日本の自動車メーカーを見下していたドイツのNSU本社の技術力を追い越し、遂に実用に耐えうるロータリーエンジンを完成させる。

 コスモスポーツに搭載されたロータリーエンジン(秋葉原交通博物館にて)

 それから2年後、1963年にプロトタイプ第一号が発表された。1967年5月には、販売が開始された。世界初の量産"2ローター・ロータリーエンジン"搭載車"コスモ・スポーツ"である(※世界初のロータリーエンジン量産車は、1963年のNSUのヴァンケル・スポーツである)。コスモスポーツに搭載されたのは10A型と言うエンジンで、491cc×2基で最高出力は110ps/7000rpm(最大トルク13.3kgm/3500rpm)を誇った。最高速度は200km/h、ゼロヨン加速は15.8秒を記録していると言う。後期型では、最高出力は128psまでアップされた。ロータリーと言うコンパクトなエンジンのおかげで、設計に自由度が増し、フロントサスペンションにはダブル・ウィッシュボーンが組み込まれ、リアにはドディオンアクスル&リーフと言う凝った形式のサスペンションが採用されている(注:この時点で筆者…私…は、それがどんなサスペンションなのかまったく理解していない)。ブレーキは、フロントのみディスクブレーキ(リアはドラム)。全高は1.180mで、とても低い車高(全長4.155m全幅1.595m)。重量に至っては、僅か940kg。
 スポーツカーであるにも関わらず、ロータリーのエンジン音は静かだった。価格は148万円。当時の大卒初任給が3万円ほどだったから、いかに高価なスポーツカーだったかがご理解いただけると思う。1972年まで、コスモスポーツは1176台が販売された。

 少年時代に撮影したコスモ・スポーツの後姿(田園調布にて)

 しかし、開発されたばかりのロータリーエンジンには、問題も多かった。燃費の悪さ、エンジンが発する熱…等数多くの解決すべき課題があった。そして時代はオイルショックを迎え、ガソリンを撒き散らして走るロータリーエンジンは、最も過酷な不遇の時代を迎えることとなった。しかし、マツダのスポーツカー魂とロータリーエンジンに対する熱意は、脈々と受け継がれていったのである。その後、サバンナ、ファミリア、ルーチェのGTカーの心臓として熟成されていき、遂にRX-7誕生へと至るのである(RX-7については、別の機会に取り上げたい)。マツダ車のル・マン優勝は、記憶に新しい。
 さて、このコスモスポーツは、"帰ってきたウルトラマン"でマット・ビハイクル(MAT・Vehicle)として登場した。僕らが、初めてコスモスポーツに出会った瞬間である。子ども心に、かっこいいと思った。今、コスモ・スポーツを街中でみることは困難であるが、コスモスポーツのオーナーズクラブがあって、北海道から九州まで全国に11の支部があるそうだ。未だに、根強いファンのいる名車である。


追記:2008年1月追記、お台場ヒストリーガレージの特別展示で、マットビハイクルを見ました!超ラッキー!
こぼれ話(↑本当はビークルなんだろうけど、当時"vehicle"の発音をそのままローマ字読みしてしまったそうな・・・時代だなぁ。)


追記:2008年9月追記:お台場ヒストリーガレージで、コスモスポーツを見ました。


追記:2019年12月13日、子どもの頃撮影したモノクローム写真をCGでカラーライズしました。

















マイ・コレクションより"コスモ・スポーツ

マイ・コレクションより"コスモ・スポーツ

マイ・コレクションより"マット・ビハイクル"


参考・引用文献
昭和の名車        (JTB・MOOK)
夢のロータリーエンジン (NHK・プロジェクトX/宙出版)


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