シトロエン 2CV

(2003年9月7日記載)

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 さて、以前このシリーズで、「スーパーカーって何だろ?」もしくは「何をもってスーパーカーとするか?」について考えたことがある。では反対に、究極の大衆車とは何だろうか?大衆車…読んで字の如く、"大衆"が乗る"車"。大衆車の第一の条件は、やっぱり価格が安い事だろう。みんなが買える値段でないと…。第二の条件は、同様に維持費も安く済むこと。燃費が良いとか、故障しにくいとか、メンテナンスがしやすいとか。第三の条件としては、大人が4人ないし5人乗れること…つまりは家族で出かけられること。第四に、同様に荷物がそれなりに積載できること。家族が乗れても荷物が積めないなら、出かけられない。そして最後に、上記の条件をクリアーしつつも、コンパクトであること。何故なら、(特に都会部では)駐車スペースの確保が難しいし、あまり大きいと狭い路地などで取り回しがたいへんだ。サイズ的には、4メートル以下が望ましいだろう。だいたいこれらの条件をクリアーした車ならば、究極の大衆車と呼んでも良いのではないだろうか?
 そんな条件を完璧にクリアーした車が、半世紀以上も前にフランスにあった。1948年に発表されたシトロエンの2CVである。2CVには、長い長~い物語がある。話は1948年よりも前に遡るが、1934年12月にアンドレ・シトロエンは、株主の決定によって倒産してしまい、7ヵ月後に彼自身もガンによってこの世を去った。しかし、彼の有能な部下ピエール・ブーランジェは、1935年8月に部下に注文を出した。「2人の大人と50kgのジャガイモを積んで、60km/hの時速が出せ、100kmあたり5リットルの燃料で走れる車を設計せよ」。その上、こう付け加えた。「その車は農村の中でもいちばん狭い道を走る事ができ、未だかつてハンドルに触った事のない初心者の女性でも運転できるくらい簡単な構造でなければならない」…50年以上前にしては、凄い注文である。何故彼がこんなことを言い出したかというと、農村地区での激しい渋滞を目撃したからである。農村では、人々が馬車や手押し車で荷物を運搬していたのだ。車なんて、いろんな意味で農民には遠い存在だった時代である。

シトロエン2CV(石川県/日本自動車博物館にて)

 プロトタイプは1937年に完成したが、その後改良を重ねていき200台以上がテストされた。不幸なことに第二次大戦が勃発し、フランスはナチス・ドイツ占領下になってしまった。フランス側は2CVの情報漏洩を恐れ、シトロエン上層部は2CVプロトタイプの破棄の命ずる。しかし、プロトタイプのテスト責任者ヘンリ・ロリダントは密かに命令に背き、たった一台のみ試作車を分解して箱詰めにし、ボディのみ研究室前に吊るしておいて、保管した。そして戦後、2CVは更に改良され、メンテナンスのし易さが追求された。

 シトロエン2CV・チャールストン(草加市内にて)

 1948年、遂に2CVが発表されたが、見たこともないスタイルは一般大衆に衝撃を与えた。多くの人の感想が、「ブリキ小屋」とか「缶詰」等と言うものであった。当時の大統領も、困った様子だっと言う。しかし、2CVの実用性が認められてくると、次第に多くの人に愛され始める。
 最初のタイプは、全長は3,780mmで、重量も僅か400kg。搭載エンジンは375ccの空冷2気筒で、出力は9ps、最高時速は65km/hだった。その後、425cc、435cc、602ccと排気量も増えていき、最終的に出力は29ps(最高時速は115km/h)となった(全長も若干大きくなり3,830mm、重量も560kgとなる)。エンジンだけではなく、バリエーションも増えていった。250kgの荷物を積めるバン・タイプや、4×4モデルのサハラ(なんと前後両方に425ccエンジンを搭載と言う荒技!)も登場。サハラは、後部のトランクルームにもエンジンを積んで無理矢理4WDにしたタイプで、前部のエンジンもしくは後部のエンジンだけでも運転できた。限定モデルも、フランス3、ドーリー、ココーリコ、チャールストンなどが発表されていく。チャールストンはあまりの人気で、正式カタログ・モデルになってしまった。

 2CVチャールストン・後方から(草加市内にて)

 しかし、いくら進化しつつバリエーションを増やしたり限定モデルを出しても、所詮1948年発表と言う設計自体の古さは如何ともしがたかった。車を取り巻く環境は、半世紀近い年月の間にかなり厳しいものになっていたのである。そして1987年4月1日に、シトロエンは2CVの生産中止を発表する。1988年2月に生産は正式に終った(その後も数年間ポルトガルで作り続けられた)。累計生産台数は、385万台以上に及んだ。ここまで大衆に愛された車と言うのは、フォードT型やワーゲン・ビートルなどの僅かな車種だけではないだろうか。日本にも、ファンは多い。アニメ映画"ルパン三世・カリオストロの城"でも、クラリスが運転する車として登場した。僕の子供の頃は、ビートルと同様、まだまだ2CVを街中でちょくちょく見かけた。しかし、今は街中で走る姿をほとんど見ることがない。好きなに車だけに、ちょっと寂しくもある。


2005年6月追記:河口湖自動車博物館にて"2CVサハラ"を見ました!!



2005年10月追記:錆と穴だらけなのに現役で走る2CVを見ました。凄かったです…通行人が振り返ってました。ある意味、羨望。



2006年追記:年末も押し迫った12月のある日、事務所のまん前で2CVのチャールストンを見ました。
車の雰囲気に合う年配の紳士が乗っていて、「撮影しても良いですか?」と聞くと快く承諾してくれました。



2003年6月追記:日本自動車博物館にて、シトロエン11CV(1953年製)を撮影しました。



2008年1月追記:お台場のヒストリーガレージで、シトロエン11B(1953年製)を撮影しました(※2001年にも撮影しました)。



2012年5月4日追記:ヒストリーガレージにて、2CVを見ました。
 


2015年11月22日追記:隣町で、現役2CVを見ました。美しい!
 


2019年3月9日追記:ライド中に、トーベヤンソンあけぼの子どもの森公園にて、美しい2CVチャールストンを見ました。















マイ・コレクションより"シトロエン2CV"

マイ・コレクションより"クラリスの乗る2CV"


参考・引用文献
カーコレクション   (デル・プラド)
PEN No.95   (TBSブリタニカ) 他

シトロエン2CV―フランスが生んだ大衆のための実用車

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