BMW M1

(2014年 6月15日記載)

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 もっと前にBMW―M1を取り上げたかったのだが、いかんせん見たことがなかったので「(街中や博物館で)見かけた」と言うこのコーナーの趣旨から外れるので取り上げることができず、代わりに850iを取り上げたりした。フェラーリのエンツォすら見たことがあると言うのに、このBMWのスーパーカー「M-1」だけは今まで見ることがなかった。
 ところが今年の3月、六本木の森美術館でアンディ・ウォーホル展をやっていて(…僕はお隣の森アーツセンターのラファエロ前派を見たのだが)、美術館のホワイエにウォーホルがペイントした超レアなBMW-M1が展示されていて、初めてM1を見ることができた!!僕にとってM1自体がレアだと言うのに、それがウォーホルがペイントしたバージョンだなんて、なんとラッキーなことか!そんな訳で、今回、ようやくBMW-M1を取り上げることができます

 
前方から見たBMW M1(六本木森美術館にて)

 BMWは、1972年に子会社BMWモータースポーツ社を設立した。当時の従業員は、わずか8名。この会社の業務は2つあり、一つはモータースポーツ用のエンジンやパーツの販売、もう一つはコンプリートカーの販売である。このコンプリートカーに、Mのイニシャルが付くことになる。
 1976年、ミッドシップカーの開発E-26プロジェクトがBMWで始められる。グループ5のシルエット・フォーミュラでメイクス・チャンピオンを獲るためである。当時、BMWは3.0CSLでポルシェ軍団に挑んでいたが、タイトルは獲れなかった。E-26プロジェクトで、BMWは(オイルショックで操業停止に陥っていた)ランボルギーニとの提携を選択した。実は、生産までも彼らに委託するつもりでさえあった。一方、デザインは、ジウジアーロ率いるイタル・デザインに任せることに決定。
 ランボルギーニ・ミウラやデ・トマソ・パンテーラを生んだジャンパオロ・ダラーラをチーフとするランボルギーニ社の開発部門は早速設計に取り掛かり、翌春には基礎設計を終える。イタル・デザインも、エクステリア・デザインを完成させる。M-88と名付けられたパワー・ユニットは、量産型の直列6気筒エンジンをベースにDOHC24バルブヘッドを装着し、ロードバージョンの277ps、グループ4仕様の470ps、グループ5仕様のKKK製ターボチャージャー装着の850psの3種類が用意された。それに耐えられるようにシャシーやサスペンションは徹底的に強化され、ブレーキはベンチレーテッド・ディスクを使った素晴らしい出来のATSブレーキが使われる。
 開発は順調に進み、1977年夏には試作車が走った。1978年春のジュネーブ・ショーでの発表は問題ないように思われたが、E-26プロジェクトは形にならなかった。ランボルギーニ社側の開発進行が大幅に遅れたのである。

 横から見たBMW M1(六本木森美術館にて)

 BMWの首脳陣は協議の結果、ランボルギーニ社を買収することにしたが、ランボルギーニ社の下請け各社がBMW傘下入りを拒んだ。仕方なく、BMWは1978年にランボールギーニ社との提携を解消した。
 しかしBMWは諦めずに、1978年秋のパリ・サロンで、E-26にM1の名前を与えてデビューさせた。BMWは、ランボルギーニ抜きで、このスーパースポーツを世に送り出した。サイズは全長4,360mm×全幅1,825mmで、車重は1,300kg。ロードバージョンのM1ですら260km/hの最高速度と、0-100km/hは5.6秒と言う高性能を誇った。
 BMWは新たにマルケージ社と共同契約を結び、グラスファイバーのボディはイタル・デザインによって仕上げられ、最終組み立てはバウア社に委託し、最終調整はBMWモータースポーツ社で行う…と言う、至極複雑な工程となってしまい、生産性は極端に低かった。このため、ポルシェ911やフェラーリ308の2倍と言う価格になってしまった。素晴らしい性能と実用性を備えながらも、あまりに高い価格で販売は伸び悩んだ。グループ4のレギュレーションである、年間400台生産の達成はどう考えても無理だった。このため、BMWはM1によるワンメイクレースを企画した。1979年から1980年の1年半、F-1グランプリの前座として開催されたが、ラウダやピケなどのトップクラスの人気のドライバーが戦ったため、レースはそれなりに成功を収めた。400台目のM1が生み出されたのは1980年暮れで、レギュレーションの年間400台はクリアーしていないが、特例として1981年以降のグループ4のレギュレーションを与えられることになった。しかし残念なことに、モータースポーツ界はその翌年から新たなカテゴリー、グループCによる世界選手権を開催しようとしていた。BMWモータースポーツ社はF1用のエンジン開発に忙殺されていたこともあり、BMWはこの存在価値の無いM1の製造中止を決めた。BMW-M1の生産台数は、僅か447台である。これじゃ、街中で見かけない訳だ…。

 後方から見たBMW M1(六本木森美術館にて)

 世に400台+アルファしか存在しないBMW-M1。もはや、貴重なコレクターズアイテムと化しているので、今後も見かけることはほとんどないと思うが、今回、実車を見ることができて本当にラッキーだったぁ~。


2020年7月15日追記:サイクリングで栃木県の魔法陣スーパーカーミュージアムに行き、BMW―M1を見ることができました















 マイコレクションより"BMW M1"


参考・引用文献
カーコレクション (デルプラド・ジャパン)  他



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