フィアット・ムルティプラ
(2010年11月14日記載)
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フランス車とかイタリア車って、時折突飛なデザインの車を世に問う事がある。はまると凄いヒットになるけど、外すと酷いことになる。でも、そんな個性的な車がたいへん"いとおしい"。今回取り上げるフィアット・ムルティプラは、そんな突拍子も無いデザインの車である。
フィアット・ムルティプラ(隣の市にて)
どれだけ突拍子も無いのか、上の写真を見れば一目瞭然。Ａピラーの根元にハイビームを付けると言う斬新なデザインで、何か昆虫みたいな雰囲気…。エクステリアだけがオリジナルなのではない。なんと全長４メートル(※4,005mm)なのに、６人乗りの６シーターなのである。しかし、３列シートと言う訳ではなく、三人掛け×２列なのである。フロントのセンターシートを、座りやすいようにオフセットしてずらしてある。全幅は当然広くて、１,８７５mmとなる(全高は1,670mm／車重1,360kg)。この方式は、最近の日本車では２００４年にホンダがエディックスで採用していたくらいの珍しい方法である。しかし正直、６人フル乗車では、ちと狭いようだ。
←これがホンダエディックスです
３つ後席も、それぞれスライド＆脱着機能を持つ。そう、この車、それぞれ独立した６つのシートを２列に納めているのである。外見も中身も珍しいムルティプラ。このムルティプラの先祖は、こんな車である(※下の写真)。
フィアット・６００ムルティプラ(河口湖自動車博物館にて)
初代ムルティプラは、１９６０年に登場した。まず、この外観について突っ込むと…どっちが前だか後だか分からない(笑)。左右の後部ドアの他、観音開きに開く前部ドアを持つ。そして、僅か３.５メートルの全長に３列シートを配して６人乗りを可能にし、また、シートを折りたためば巨大な荷室となった。ムルティプラとは、"多目的、多用途"の意味。その名が示すように、この車、自家用車、商用車、タクシー…色んな用途に使われた。そう、そもそもムルティプラとは、ＤＮＡからしてこんな面白可笑しい愛すべき車だったのである。その２１世紀的解釈とも言える多目的車が、この新版ムルティプラである。
積まれるエンジンは、１０３psを発揮する１.６リッター直列４気筒ＤＯＨＣ。６人乗りだが、４人しか使わない場合などは、前後の中央席を折りたためばそれぞれテーブルになる。プチ・キャンピングカーファンとしては、ちょっと心をくすぐられる。
走行中のムルティプラを横から見たところ(秋葉原にて)
さて、このムルティプラが日本に導入されたのは２００３年４月だが、２００４年１１月のマイナーチェンジで普通のデザインになってしまった(笑)。やっぱりあのデザインは、賛否の"否"の方が多かったのかな？僕は、あの奇天烈なデザインは個性的で好きだったのだか…みんながトヨタ車みたいである必要は無いしね。
しかし、６人乗りのシートやエンジンなどの中身はほぼ一緒。しかし、価格が２６０～２８０万円なのでけっして安いとは言えない。割高な車を買うには、"人と違う物を持つ喜び"みたいなもんが必要だと思うのだけれど、個性が薄まってしまった今、それ、どうなのかな～？
マイナーチェンジ後のムルティプラ(浅草橋近辺にて)
フィアットも企業だから、車が売れないと困るのだと思うけれど、ムルティプラについては突拍子も無いＤＮＡをこれからも引き継いで言って欲しぞ～。
マイコレクションより"フィアット・ムルティプラ"
参考・引用文献
最新国＆輸入車購入ガイド (ＪＡＦ出版社)
河口湖自動車博物館説明プレート
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