ホンダ・シビック

(2009年11月1日記載)

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 前回、ホンダのシティを取り上げたけれど、ホンダ車で世界的にもっと影響を与えた車と言えば、やっぱりシビック!この車は、個人的にも想い出がある。小学生の時に、社会見学でホンダの自動車工場に行ったことがある。正に"The・工場"と言った感じで、自動車の大きなパーツがラインにぶら下がって運ばれてきて、次々に組み立てられていく様は壮観だった。工場見学が終わると、当時世界を席巻したホンダ・シビックのカット断面の美しいイラストの下敷きなどをもらって帰った。そう言う想い出である。

 初代シビック(石川県/自動車博物館にて)

 1960年代に軽自動車で四輪市場にデビューしたホンダは、小型乗用車では苦戦した。ホンダが世に送り出したこだわりの小型性能車の"ホンダ1300"は、その高性能の割には世間には受け入れられなかった。その後を受けて登場したホンダの小型車が、CIVICである。1972年に登場したこのシビックは、軽自動車のライフをそのまま忠実に拡大したようなモデルである。全長3,405mmと言うのは、今日の軽自動車のサイズに近い。しかし全幅は1,505mmと、当時としては幅広だった(全高は1,325mm)。車重は僅か600kgと、今日の軽自動車よりもずっと軽い。60psを発揮する1.2リッターの水冷直列4気筒SOHCエンジンはフロントに搭載されるFF駆動で、車重の軽さと相まってスポーティな走りを実現した。サスペンションは前後とも、ストラット方式の独立懸架で、ブレーキは前が2リーディングで、後がリーディングトレーリング。
 またシビックは、安全性への取り組みも入念に実施された。各種耐久テストや突風テストなどを繰り返し、完成度を高めていった。シビックは、デビューするや否や大ヒット車となった。

 1973年には、2速ATのモデルや、1.5リッターエンジン搭載の4ドアハッチバックモデルも登場した。そして、ホンダの名を不動のものにした"CVCC"エンジンも、この年の12月に登場する。
 CVCCエンジンは、1975年から施行される51年規制に対応すべく研究開発されたエンジンである。当時、世界中のどのメーカーも、51年排気ガス規制に対応できるエンジンは作れなかった。しかし、ホンダはそれをやってのけた。しかも、触媒や最燃焼装置と言った後処理無しで排ガスの低減を実現したのである。しかもパワーも、63psの出力も可能としていた。クリーンな排ガスと燃費向上を実現した、複合渦流調速燃焼方式のCVCCエンジン。このシステムを発表した直後から、ホンダは世界中のメーカーから資本提携や技術提携など、様々な企業買収の話が持ちかけられることとなった。
 シビックはその後も進化していく。1974年には、スポーツ仕様のRSが加わる。RSはCVCCエンジンではなく、2基のCVキャブレターを装備して最高出力を76psにアップし、最高速度160km/hを可能とした。
 1975年には、1.2リッター、1.5リッターのシリーズすべてにCVCCエンジンを導入し、トランスミッションもMTとATから選択できた。

 2代目シビック(栃木県/ホンダミュージアムにて)

 1979年、シビックは"スーパーシビック"と称する2代目に移行する。キープコンセプトながら大型化。エンジンは、1.3リッター、1.5リッター共にCVCCエンジン(翌1980年にはCVCCⅡとなり、パワー特性が向上した)。
 世界をあっと言わせたCVCCエンジンは、触媒を使わずエンジンへの負担も少ない理想的なシステムと考えられたが、生産性の悪さや電子制御燃料噴射装置の普及などからその後大きな発展も無く、残念ながら市場から消えてしまう。しかし、CVCCエンジンの優れた技術は、世界の自動車技術の歴史に確かな足跡を残した。

 3代目シビック(東京都内にて)

 1983年には、"ワンダーシビック"と称せられる3代目が登場。顔付きがガラリと代わり、たいへんスポーティになった。3ドアハッチバックと4ドアセダンの他に、多目的5ドアのシャトルが加わった。このシャトルは、Man-Maximum,Meca-Minimum(MMMM)コンセプトをストレートに具現化したもので、3,990mの全長ながらも荷物をたくさん積むことができた。現代のRVモデルの先駆けとも言えるモデルで、傑作の一台と言っても良い。またこのシャトルには、1984年に4WDモデルも加わった。
 しかし、シビックは更に大型化してしまった。ちなみにこの3代目シビック(3ドアモデル)はホンダ党の知人が乗っていて、僕も何度か乗せていただき、なかなか良い車だったと言う実感が残っている(※このホンダ党の方はCityから3代目シビックに乗り換えたのだが、4代目以降のシビックは大きすぎると言って関心を示さず、乗用のセダンのコンチェルトに乗り換え、後年コンパクトなFITを購入した)。

 1987年に登場した"グランドシビック"と称された4代目シビックは、更に大型化。全長は3ドアで3,965mmと、初代と比較するとなんと50cm以上も長くなっている(全幅と全高はそれぞれ1,680mmと1,335mm)。4代目はより、スポーティな方向にコンセプトを振った。4代目シビックの最大トピックスは、1989年のマイナーチェンジ時に追加されたVTECエンジン!1.6リッターVTECエンジン搭載の1.6SiRは、160psの最高出力を発揮した。

 5代目シビック(地元市内にて)

 横から見た5代目シビック(銀座にて)


 1991年には、5代目にフルモデルチェンジ。実用性を犠牲にしてでもボディを低くし、走りのイメージを高めた。中でも、最上級モデルのSiRの1.6リッターのVTECエンジンは170psと言うハイパワーを発揮し、サスペンションは4輪ともダブルウィッシュボーン。1993年には、アメリカ・ホンダでクーペも製造される。全長は、3ドアでも遂に4メートルを超える(全長4,070mm、全幅1,695mm、全高1,350mm)。名前こそシビックだが、コンセプトは初代シビックとはもはや別物。

 6代目シビック/スポコン仕様(東京都内にて)

 1995年、更にフルモデルチェンジして6代目へ。5代目で犠牲にした後席を拡大したため、またまた全長が伸びてなんと3ドアタイプで4,180mmとなる(全幅と全高はそれぞれ1,695mmと1,375mm)。自然吸気にして1.6リッターでも、185psと言うハイパワーのタイプRも登場する。その他、色々とハイテク技術が詰め込まれたモデルもラインナップ、僕の中ではもはやこれはシビックではない(笑)。とにかくシビックなのに"でかすぎ"だろう。定員4人しか乗れないし…。名前だけ残しても、どうかと…。

 そして2000年、シビックは7代目に移行。5ドアと4ドアで登場。全長は4.2メートルを超え、パッと見てもこれがシビックなんだかどうなんだか分からない。2001年には、英国製として3ドアものタイプRも復活(これはまだシビックの面影を残している)。シビックが何であるのか、僕の目にはホンダが迷走しているように見えて仕方ない特筆事項は、2002年にシビック・フェリオ(※シビックの4ドアセダン)をベースにしたシビック・ハイブリットが登場している。

 8代目シビック(4ドアセダン/隣町にて)

 2005年、8代目へ。5ドアは消え、4ドアへ一本化。ユーザーの年齢を引き上げ、上級感を増したセダンとなった。ノーマルの1.8リッターエンジンは、2リッター並のパワーと1.5リッター並の燃費を謳う…。全長は4,540mmで、初代シビックより1メートル以上も長い…安全環境や性能レベルが格段に上がった事の代償(?)。おかげで室内は、相当に広い。ホンダ車らしい走りは健在。先代に引き続き、ハイブリット車もラインナップ。お馴染みのタイプRもラインナップ。

 とまあ、駆け足でシビックの歴史を見てきたが、僕の中での大衆コンパクトカーとしてのシビック認知は、ギリギリ3代目まで。4代目以降は別のジャンルの車だと思っている。今のシビックは、ボーイズレーサーか、もしくは今ひとつコンセプトの良く分からないミドルクラスのセダン。現代、シビックの流れとコンセプトとを受け継いでいるのは、Fitと言って間違い無いでしょう。でも、CVCCエンジンをあの時代に作ったホンダはやっぱり凄かったわけで、初代のシビックはやっぱり名車だったと思う。

2010年7月追記:隣町にてシビック・タイプR-EUROを見ました。歴代シビックで最もかっこ良いと思います。


2010年11月追記:11月16日のニュースで、国内向けのシビックの生産を12月で打ち切ることに決定したと知る。ホンダの顔だった車も、遂にその使命を終えて姿を消すことに。












 マイコレクションより"ホンダ・シビック"

 マイコレクションより"ホンダ・シビック/ラリー仕様"

 マイコレクションより"ホンダ1300"


参考・引用文献
The絶版車File        (インフォレスト)
国産名車コレクション   (アシェット・コレクション)
昭和の名車               (JTB出版)
最新国&輸入車購入ガイド       (JAF出版社)


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