フェラーリ F40

(2009年5月24日記載)

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 取り上げる順番が時系列的にテレコ(←反対の意味)になってしまったが、エンツィオ・フェラーリに引き続き、今回はF40を取り上げる(※次回は当然"F50"ね…)。

 フェラーリ社の創立40周年を記念して、1987年に登場したのが"F40"。この記念車の特筆すべきは、エンツィオ自身がプロデュースを行なったことである(※そして彼が存命中、自らの手で発表した最後のロードカーとなった)。
 このF40には、もちろん最新のレーステクノロジーが投入されている。F40は、基本的にレースで闘う事を前提に作られた"288GTOエボルツィオーネ"をベースに作られている。つまりF40は、「公道を走るコンペティションマシン(レーシングカー)」なのである。シャシーは、カーボンファイバーやケプラーなどから構成される最先端素材で強化されている。これらの先端素材の使用は剛性と軽量化を両立させ、車重は僅か1,110kgしかない。全長は、4,430mm(全幅1,980mm×全高1,130mm)。

 搭載されているエンジンは、288GTOから進化した3リッターのV型8気筒エンジン。IHIのインタークーラー付きターボチャージャーを2機備え、最高出力は478ps!トルクも58.8kg-m/4,000rpmと言う、正にモンスターパワー。最高速度は、324km/hに達する。サスペンションは、前後ともダブルウィッシュボーン。ブレーキは、前後とも強力なベンチレーテッドディスク。

 F40(御殿場・フェラーリ美術館にて)

 デザインは、お馴染みピニンフィリーナによる洗練されたエクステリア。アグレッシブさと美しさを両立させたデザインとなっているが、全体的なフォルムは伝統的なフェラーリGTのデザインを継承している。リアの丸い左右2灯ずつのテールランプは、まさにフェラーリの伝統を引き継いだデザイン。フロントの3つのエアインテークは、左右がブレーキ用、中央はラジエーター用。リアカウルには多くのエアインテークが設けられ、透明なカバーを通して精巧なエンジンを見ることができると言う、ニクイ演出も施されている。当時斬新だった特徴的な大きなリアウィングは、高速走行時にダウンフォースを生み出す。

 一方でインテリアは、過剰な装飾を配したスパルタンなもの。ダッシュボードは、その価格からは考えられないほど簡素で、コンペティションマシンを髣髴とさせる。ペダルは穴の開いたアルミ製。クロームメッキの剥き出しのシフトレバー&シフトゲートは、フェラーリの伝統スタイル。シートはもちろんバケットタイプ。3点式のシートベルトは、オプションで4点式にも変えられる。走るためのマシンのF40…そのスパルタンなコクピットは快適性が考慮されていないが、多くのオーナーはそれに満足している(※エアコンすら余分であると考えるオーナーもいるそうだ)。
 何台かのF40は、レーシングパーツを装着してイタリアのスーパーGT選手権に参戦し、圧倒的な強さでシリーズを制覇した。


 F40(河口湖自動車博物館にて)

 F40はバブル最盛期の産物で、新車を待てずに中古車にプレミア価格が付いて異常な価格となった。当時の2億円(※最高2億5千万円)と言う馬鹿げた価格は、今は適正な価格で取り引きされているようだ。3,000万~4,000万円でも購入可能のようだ(それでも十分に高いけれど)。「モンスターマシンで、とても常人には運転できない」と言うような神話が数々生まれたが、実は普通に運転できる車のようだ(笑)。アクセル踏み込みすぎると簡単にホイールスピンとたり、マジモードだと刺すように加速したりするらしいけどね。20年以上経った今でも、世にどんどん登場してくるスーパーカーと比較しても、F40のそのカリスマ性と言うか輝きは失われていない。

 F50やエンツィオ・フェラーリは、僕はまだ博物館以外で見たことはないのだけれど、F40は街中で何度か見かけている。ガソリンスタンドでリアカウルを大きく開いているところや、駐車場で停車しているところ等々。基本的に発売当初からヴィンテージカーなんだろうけど、当初400台を予定していた生産台数が最終的に(1992年までに)1300台以上生産されたので、台数に比例して実際に路上でドライブされるオーナーの方も多いのかな。いずれにしても、エンスージアストに大事にされていく車であることは間違いないでしょう。













 マイコレクションより"フェラーリF40"


参考・引用文献
フェラーリ・コレクション     (デルプラド・カーコレクション)
フェラーリと鉄瓶  奥山清行 著 (PHP研究所)
スーパーカーナウ!!       (三栄書房)
フェラーリ美術館説明プレート
河口湖自動車博物館説明プレート


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