エンツォ・フェラーリ
(2009年3月1日記載)
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さて、この"街中で見かけた名車"シリーズも遂に100回!この100回記念に取り上げる車には、一体何が相応しいのか?単なるスーパーカーではなく、キング・オブ・スーパーカーを取り上げたい!ブガッティEB110、マクラーレンF1、ポルシェカレラGTを始め、ウルトラ・スーパーカーは世に色々とあるが、自分の目で見た事があるウルトラ・スーパーカーと言う事で、"エンツォ"を取り上げる事にした(※以前、ENZOの表記をエンツィオとしていたが、このコーナーからエンツォに統一させていただきます)。
フェラーリ社は、40周年、50周年とその記念ごとに、F40、F50と言うアニバーサリー・フェラーリを出してきた。そしてフェラーリ60周年(※否、正確には55周年事業)に、満を持して送り出したのがこのキング・オブ・スーパーカーの"エンツォ"である。(世に登場した順序がバラバラになるが)今回からエンツォ→F40→F50の順で、それぞれこのシリーズで取り上げていきたい。
2002年に登場した、創業者"エンツォ"の名を冠するフェラーリ社の渾身のプレミアム・ベルリネッタ。F1マシンと同様、走行性能のみを追求したウルトラ・スーパーカー。GTカーと言うよりは、コンペティションマシンに近い。このエンツォのプロジェクトは、1998年にスタートしている。F1グランプリを連覇している絶頂期のマラネロの高度なテクノロジーを注ぎ、最高のF1ドライバー"ミハエル・シューマッハ"の助言を受けつつ、5年もの歳月をかけて作られた孤高のマシンである。
前方から見たエンツィオ(御殿場・フェラーリ美術館にて)
エンジンは、レースで蓄積してきた最新テクノロジーを惜しみなく投入し、6リッター自然吸気の65度V型12気筒エンジンで、660ps(!)を発生する。もちろん歴代フェラーリ・ロードカーでは、最強のパワーである。エンジンは、サブフレームを介してミッドシップに弾性マウントされる(※弾性マウントのため騒音と振動が軽減されている)。エンツィオの性能は、ロードカーの常識を遥かに超えている。最高速度は350km/hをオーバーし、100km/hには僅か3.65秒で達する。400m加速も11秒。すべてがスーパーである。この超高性能を支えるため、エンジンだけでなく、シャシーやサスペンション、ブレーキ、タイヤも専用設計でなければならなかった。サスペンションは、前後ともダブルウィッシュボーンで、プッシュロッド式が採用されている。ブレーキは、ブレンボ製のカーボン・ベンチレーテッドディスクを採用している。カーボンセラミックのブレーキは、公道での使用を考慮して、低温でも効くように改良されたものだ。タイヤは、ビックパワーに対応すべく、ブリジストン社が特別に設計したポテンザ・スクーデリアを履く。6速のギヤボックスは、F1から継承した電子制御メカニカルシーケンシャルタイプである。ギヤチェンジに要する時間は、わずかコンマ15秒!
後方から見たエンツィオ(御殿場・フェラーリ美術館にて)
メカもすごいが、ボディもすごい。F1マシンに市販車用のカウルを被せたような、独特のボディデザイン。このボディのエアロダイナミクスには、特に力が入れられている。F40やF50ではダウンフォースを稼ぐための大型ウィングが装着されていたが、エンツォは装着せず、全部の3つのエアインテークのうち真中のインテークが、フロア下面に多くの空気を導きリアの大型ディフューザーで跳ね上げる事で、強力なグランドエフェクト効果を得ている。また、可動式フロントフラップと可動式リアスポイラーを用いて、速度に応じて自動的にダウンフォースを調整する工夫もされている。単純な美しさではなく、風洞テストでの検証を経て、機能性を突き詰めたデザインなのである。ちなみにこのデザインは、ピニンファリーナの当時のデザイン・ディレクターの奥山清行(ケン・オクヤマ)氏がデザインした事でも知られている。
また材質も、力が入れられている。ボディカウルはサンドイッチ構造を持つカーボンファイバーや、ハニカム構造のアルミ素材で構成されて、剛性と軽量化を両立させている。これだけの最新テクノロジーを投入したV12気筒のビックパワーマシンにも関わらず、車重は1,255kgと抑えられているのである。V8マシンの430より250kg以上も軽いのである。
エクステリアの次は、インテリアに目を向けてみよう。ガルウィングのドアを開いて中に入ると(※F40やF50はガルウィングドアではない)、コクピットはほぼカーボン材で形成され、シートもカーボン材。ステアリングホイールは、F1マシンの意匠を引き継ぎ6つのスイッチを備える。また、マシンを予約したオーナーはマラネロに赴いて、4種類のシートから自分に適合したシートを選ぶのだと言う。
まだまだ突っ込み所が満載のキング・オブ・スーパーカー"エンツォ"。399台の限定販売に対し、66万5000ユーロと言う超高価格だったが、発表直後にあっという間に予約だけで完売。F50と同様に成金的なお金持ちは買えず、購入できる条件も厳しかった。フェラーリと言うブランドを守るための戦略である。例えお金を持っていても無条件には買えない…これがスーパープレミアムカーを世に送り出し続けるフェラーリのフェラーリたる由縁なのだろう。
マイコレクションより"エンツォ・フェラーリ"
マイコレクションより"エンツォ・フェラーリ"
うちの子のエンツォのミニカー
参考・引用文献
フェラーリ・コレクション (デルプラド・カーコレクション)
フェラーリと鉄瓶 奥山清行 著 (PHP研究所)
最新・国産&輸入車購入ガイド (JAF出版)
フェラーリ美術館説明プレート
他
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