フォルクスワーゲン・ビートル
(2002年4月28日記載)
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子供の頃に最も良く街で見かけた外車、つまり最も身近な外車がワーゲン・ビートルだった。当時、うちの親父は三菱の軽自動車に乗っていたのだが、世間一般のサラリーマンが外車に乗るなんて言うのは夢の時代であった。そんな時代に、小学校の同級生の女の子の父親が"ワーゲン・ビートル"に乗っていた。彼女の家は自営業で大通りに面していたのだが、そこを通るたびに白いビートルを目にしたものだった。スーパーカー全盛時代だったので、大衆車ビートルは友達の間では時には「ポロクソ・バーゲン」などと言われたりしたが、本当は子供心にうらやましく思ったりもした。
車名の通り、形はビートル(カブト虫)に似ている。特に、初期のプロトタイプは後方の窓ガラスの替わりに、スリットがあるだけで、今よりもっと虫っぽかった。ワーゲン・ビートルは、ポルシェ博士が持っていた小型経済車製作の夢が、ナチス・ヒトラーの「国民車(大衆車)」構想で実現された車である。実際には一般大衆にビートルが渡ることはほとんどなく、終戦を迎えた。戦後、ビートルの生産は順調に伸び、1972年2月に1千5百7千34台目を数え、T型フォードの台数記録を塗り替えた。その後ビートルは2千万台を突破し、本国ドイツでの生産は1978年に終わったものの、メキシコでの生産は続けられ、通算で半世紀以上作られた世界で最も長く作られた車となった。ビートルは1936年の設計であったが、50年以上の長きに渡ってほとんど変更されることはなかったと言うから、ポルシェ博士の志の高さが伺われる。現在のモデル・チェンジのスピードから考えると、信じがたい長寿のモデルであった。
ビートル(近所にて)
ビートルは、基本設計にあまり変化はなかったものの、排気量のバリエーションによってパワーの違うタイプがある。リヤに積まれた空冷式の直列4気筒エンジンは、984ccから1,548ccの排気量で、パワーは25bhpから50bhp。ボディのバリエーションは、オープンのカブリオレ・タイプもあった。未だに、ビートルの熱烈なファンは多く、独自に改造してオリジナルのビートルに乗る人も多い。
ニュー・ビートル(銀座にて)
さて、本国ドイツでのビートルの生産は終わったが、1994年にフォルクス・ワーゲンはニュービートルを発表した。性能は最新のものであり、パワーも装備も旧タイプとは比較にならないし、内容的にはまったく別のコンセプトのマシンである。例えば、旧タイプはリヤエンジン・リヤ駆動であり、ニュービートルはフロントエンジン・フロント駆動である。
しかし、その「車の形」は明らかに旧タイプを意識している。というより、旧タイプのデザインを現代的に甦らせるべく作られた車が、このニュービートルだとも言える。ニュー・ビートルは、旧タイプと同様丸みを帯びたデザインだが、後部座席は狭いし頭が仕えるし荷室も狭い。スペース・ユーティリティーを考えれば、ワーゲン・ゴルフのような箱型のデザインが良いのは一目瞭然だが、この車はそういう事をまったく目指していないのだ。そういうのが欲しい人は、「ポロやゴルフをどうぞ」と言うことなのだろう。この車を買う人には、遊び心とゆとりが求められているのだ。最近、ニュービートルを街中で見ることもかなり増えたが、ドライバーを見ると若き日にビートルを見て育ったミドル・エイジの叔父さん連中が多いように思う。
追記情報(2003年7月31日記載):2003年7月30日、旧型ビートルの最後の一台がメキシコのブエブラ工場のラインを出た。総生産台数21,529,464台。最後の一台は、ドイツのウォルフスブルクの博物館に展示されるそうだ。8,000ドル(約96万円)の最後のワーゲン達は、ドイツでは14,900ドル(約180万円)、イギリスでは16,000ドル(約192万円)の高値がついているそうだ。ビートルのマニアが多いアメリカでは、米国の安全規準に適合しないため輸入できないと言うこと。残念でした!
追記:2005年6月、オールドビートルのカブリオが走っているのを目撃しました(貴重!)。
追記:2005年6月、河口湖自動車博物館にてビートルの内部構造を見ました。
追記:2005年6月、恵比寿にてニュービートルのカブリオレタイプ見ました。
追記:2008年3月、事務所近辺(台東区内)にて、新車のように大事にされている"白黒ビートル"を見ました。
追記:2009年7月、地元市内にて、七宝焼きのように美しい塗装のビートルを見ました。
追記:2019年3月9日、ライド中に、スバル360を仲良く並んだビートルを見ました♪
マイ・コレクションより"ビートルとニュー・ビートル"
マイ・コレクションより"ビートル・カブリオ"
マイ・コレクションより"ニュー・ビートル"
マイ・コレクションより"コカコーラ・オリジナル・ニュー・ビートル"
マイ・コレクションより"スポコン・ニュー・ビートル"
うちの子供の"チョロQビートル・パトカー"
うちの子供の"プルバック・ニュービートル"
参考・引用文献
カー・コレクション(扶桑社)