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JOLLYBOYの脳内討論 02 政治を考える

(2011年 6月19日記載)

司会サンケル:「脳内討論の第2回、司会のサンケル・マイデルです。さて、今回のテーマは"政治"です」。

脳の前方真ん中の人:「なんか、いきなりヘビーなテーマな気がするんですけれど…」。

サンケル:「また真ん中の貴方ですね…前回も言いましたが、発言は一人3回までですよ。貴方、一回目です」。

サンケル:「ヘビーなテーマと仰いましたが、政治と言うのは、身近な私たちの生活から経済活動や外交まで幅広く関連し影響を与えています。この政治について、皆さんの意見を聞きたいと思います。はい、手を挙げている右側の君!」

脳の右側の人「政治の"何"について意見を言えばよいのですか?目的ですか?方法論ですか?それとも現在の政治の問題点ですか?」

サンケル:「良い指摘だね。交通整理が必要だね。では、まず政治の"目的"について意見のある方…はい、左に座っている君」。

脳の左側の人「政治的な社会と言うのは、歴史的には、小さな単位の家族や同族の共同体の人々によって、外敵の攻撃を防ぐためにできた考えられます。つまり政治社会と言うのは、そもそも論で言うと共同体の"安全"のために存在すると思います。共同体の範囲は今では国家規模と言う大きな範囲になっていますが、基本的には現代の政治の目的も、昔の存在理由と同じだと思います」

サンケル:「なるほど。他に意見は無いかな?真ん中のあなた、どうぞ」。

脳の前方真ん中の人:「政治の目的は、外敵から守ることだけではなくて、共同体内のいざこざを収める目的もあると思います。共同体の中で力のある人が傍若無人な勝手な振る舞いをして弱い人の財産を取り上げたり虐げたりした時に、共同体のリーダーがそれを裁いたり収める必要があります。そうでないと、外敵を防ぐ云々以前に、共同体自体が分裂を起こしてしまいます。言い換えれば、その共同体の人々が幸せに暮らせることだと思います…これは、現代的に言い換えれば"福祉"と言うことです」。

サンケル:「つまり、政治は、一つには共同体の安全のためと、一つには各人の財産や生活の維持、つまり福祉のためにあると言うことだね?他に意見は?はい、右側の君!」

脳の右側の人:「しかし、共同体のリーダーが、常に知恵や分別がある人とは限りません。大きな権力や財力を持った途端に、人々を虐げ搾取するかもしれません。過去の多くの王がそういう権力を振りかざして、自らの領土の人民を苦しめた実例が歴史上いくらでもありますよ」。

サンケル:「討論のテーマが、政治の目的から政治の方法論に移ってきたね。では、その点で意見のある方。はい、左の君」。

脳の左側の人:「絶対王政だけが、国民を苦しめるのではないと思います。王政であれ、社会主義であれ、民主主義であれ、かならず体制が長期化すると腐敗が起こり、権力や財力や警察力の一極集中が起こって、その皺寄せが国民に押し付けられます。完璧な政治制度はありませんが、人類は歴史の中でそれぞれ欠陥はあるけれど、その中で"民主主義"が最も優れていると判断して、この政治システムを採用してきたのだと思います」。

(サンケルが右側の人を指す)。

脳の右側の人:「君らしい教科書的な意見だね。確かにどの政治様式にも一長一短があるけれど、僕は新しい政治システムを生み出しても良いころだと思うよ。しまった、これで3回目の発言だ!これから大事なところなのに!え~と、今はグローバル社会だよ!これだけ多くの人間が国家間を移動しているのに、今のままの政治システムで良いの!?例えば、一人の人が色んな国籍を持つとか、国境を取り払うとか…いや、違うな…ああ、上手く言えない!」

サンケル:「なるほど、興味深い意見だ。では、左の君」。

脳の左側の人:「僕は、国家と言うものの存在理由の必然性はあると思うし、国家が存在する限りはグローバル社会であってもその国の政治参加は自国民に限定すべきだと思うよ。もちろん経済活動で他国から来た人は、その国のインフラや様々な制度を国民同様に利用できる権利はあると思うよ。でも、政治のそもそもの目的が"国民の安全と相互の幸福"のためにある訳だから、その国の法律を受け入れて…つまり政治的社会の契約をその国家と取り結ばなければ、国民にはなれないはずだよね。どんなに企業活動で多額の税金を払っている財力のある外国人でも、その国の法律を無視して治安を乱したり国家を危険にさらしたりする意志を持っている場合は、国民になれないよ…政治社会の本来の目的に反しているからね。ああ、僕もこれで3回目の発言だ。もっと色々と言いたいのに!」

(サンケルが真ん中の人を指す)。

脳の前方真ん中の人:「僕は、最後に現代の政治の問題点を指摘しておきたいと思います。現代の政治は、不正を防ぐために、立法、司法、行政が分かれているのに、実質的には機能不全になってますよね。市民の選挙で選ばれた議員が、いつの間にか周囲の企業や団体の利益誘導ばかりするようになってしまう…議員が選ばれた理由は、国民の安全や福祉のための法律を作るためなのに、その仕事をしていないわけです。こう言う不公正な議員は即刻議会から退場させるべきなのに、利益を求める企業や地域は彼を議員に留まり続けさせます。でもって、議会は官僚組織や企業や地域の"税金分捕り合戦"の修羅場と化してしまうわけです。政治家が国民のための法律を作らず、本来行政を担うべき公僕たる官僚達が、民間企業では考えられないような高額報酬でかつ責任は一切負わないような天下り先を作るために、都合の良い"言語明瞭・意味不明"な法案を次々と作り出す訳です…こうなると国家はもはやモンスターで、国民の福祉など二の次になって国民を苦しめます。日本の箱物行政も年金問題も原発問題も、すべて根っこは一緒です。えっ、発言が長すぎますか!?ああ、もっと言いたいことがあるんですけど!」

サンケル:「色々な意見をありがとう。皆さん、まだ言い足りない事は山ほどあるようですが、今回の討論はこれで終わりです。今後も、それぞれ考えて続けてくださいね。では、また次回!」

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主な参考・引用文献:市民政府論(ロック著/鵜飼信成訳/岩波文庫)、諸国民の富(アダム・スミス著/大内兵衛・松川七郎訳/岩波書店)、詳説・世界史(山川出版)、日本とドイツの二つの戦後思想(仲正昌樹著/光文社新書)、日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか(草野厚著/朝日新書)、在日 ふたつの「祖国」への思い(姜尚中著/講談社+α新書)、帝国を壊すために(アルンダティ・ロイ著/本橋哲也訳/岩波新書)、世界の子供たちからの手紙(文化放送「パンゲア計画」編/集英社)、小さくともキラリと光る国日本(竹村正義著/光文社)、「頭脳なき国家」の悲劇(小川和久著/講談社)、立ち上がれ日本人(マハティール・モハマド著/加藤暁子訳/新潮新書)、大本営発表は生きている(保阪正康著/光文社新書)、司馬遼太郎の幕末・明治(成田龍一著/朝日選書)、日本は国境を守れるか(小川和久著/青春出版社)、文明社会の夜明け(NHKフロンティアーズ)、コモンセンス、他