岡 山 (1999年 7月記載)
岡山と言えば、何だろう…。岡山城、瀬戸大橋、倉敷、桃太郎とキビダンゴなどなど。しかし僕にとっての岡山の記憶は、そのどれでもなく、なんと新幹線のぞみのグリーン車両とゴミ処理場なのだ。
新幹線のぞみに乗って、東京駅からいざ出発。目的は、岡山のとあるゴミ処理場の取材。実は新幹線グリーン車両に乗るのは、この時が初めてであった。「う~ん、席が広くて余裕がある。」などと思いながら、静岡、名古屋、大阪を超えて、午前中には岡山へ到着。岡山の基礎知識は無かったのだが、駅構内でやたらと「キビダンゴ」のお土産が目立ち、しばらくして「桃太郎伝説」の地であることを知ったのである。
さて、岡山で待ち合わせていたEJ(撮影クルー)のワゴンに乗って、岡山の郊外へ向かう。程なくして、目的地である「ゴミ処理場」へ到着。ゴミ処理場は、たいていどの町でも民家のあまりない郊外に作られる。広い場所が必要なのと、臭いやゴミというイメージが嫌われるからだ。ここの処理場で取り扱われるゴミは、金属やポリなどの不燃物。岡山の処理場は、極力機械化され整然としていた。
ゴミ処理場全景
ゴミは圧縮され、真四角のパック場にされ、埋立地へ順番に並べられて行く。ゴミがいっぱいになったら埋め立てられる予定。とても広い敷地なのだが、それでもいつかは満杯になってしまうのだろう。ここを訪れたのは1994年。それから5年も経っているが、今はどうなっているのだろう。
広―い埋立地
日本は狭いから、今後もゴミ問題は大きくなっていく。ここのような処理場は問題が少ないが、全国には問題を抱える処理場も少なくない。十分な焼却設備を持たずダイオキンシンを放出してしまう処理場の問題、ゴミ埋立地の素材技術の遅れで漏れ出してしまう汚染物質の問題、根本的にはゴミ処理場用地の確保の問題などなど。
理想を言えば、かつての江戸の生活のように、すべてのゴミをリサイクルできるのが望ましい。紙ゴミは、トイレットペーパーなど再生紙に、缶などの金属は再生して使用し、ビンはリサイクル使用に、屎尿・生ゴミは肥料や飼料に、汚泥は焼レンガに、等々。大阪では、これに近いことが可能な処理場があるが、処理施設は高価でランニングコストも安くないので、市民の理解が必要である。また、例えばドイツでは、ペットボトルを丈夫にして何度も再利用しているが、日本の飲料水メーカーはこういう処理を嫌い、行政にゴミの処理を押し付けている。また、我々一人一人が出すゴミの問題だから、一人一人がゴミを出さない工夫と智恵が必要である。つまり、政治、行政、企業、市民が一体にならないと、ゴミ問題は解決できないのである。
というわけで、岡山まで足を運び、日本のゴミ問題の将来について考えてしまいました。でも、せっかく岡山に来たので、キビダンゴは買って帰りました。帰りものぞみだったので、雉や猿、犬は、乗車できなかったとさ。
岡山県:中国地方東部の瀬戸内海側。県庁は、岡山市。北部の中国山地と中部の吉備高原の間に、津山・勝山両盆地がある。岡山平野を中心とする瀬戸内海沿岸は、米・イグサ・ブドウの他、工業も盛んで、瀬戸内工業地帯の一環をなす。面積7,083平方㎞。